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第55話:帰郷

SS書くのも楽しかったり

「ハアアアアッ!!」


長剣が鳥型の魔物を切り裂き二つの刃が単眼の蝙蝠を三つにする。在りし日の記憶、四界層[迷惑の洞窟]内にて。


「今日はこれくらいにしましょ!ここは何だか気が滅入るわ…」


暗い洞窟では神経を使い思った以上に先へと進めない。迷宮を出ると陽は沈みかけ街が赤く染まっている。


「ルイン!また明日ね!!」


頷き合図する。冒険が終わった後、毎日子供達の所へ行く少女を見送り宿へ戻る。


「おかえりルイン」


『ご主人樣!!』


十日も経って居ないのに嬉しさの余り装備の汚れも気にせずその胸に飛び込む。優しく頭を撫でてくれるその人に。




「レンゴ!!」


「おーなんだお前か、つーかこれお前の仕業だろ!」


孤児院の壁が一面色とりどりになっている。


「可愛いでしょ!皆で描いたのよ!!」


「ったく…面倒見てくれてたみたいだな、ありがとよ」


「良いのよ!それよりも足…」


「見ての通りだ、明日から直ぐにでも冒険者復帰だ」


「良かった…レンゴ、私ね!もう震えるだけじゃないから!」


「あ?何だよ急に」


「次は足を引っ張ったりしない!だからこれからも一緒に冒険して!!」


「足引っ張ったって…そんな風に思うなよ、ストロベリル。これからも宜しくな」


「よ、宜しくねレンゴ!!」


握手する義足の青年と派手な髪色の少女。少女の頬が赤いのはきっと夕焼けのせいだろう…。



「どうでしたか?」


「特に面白いことも無かったですねぇ」


ギルド長室にてリリーナとフレアが会話する。


「あーでもぉ、少し面倒になりそうですねぇ」


「リリーナ、出来れば聞きたくないのですが…」


口角をヒクつかせフレアが言う。


「えっとですねぇ、実は…」


その後フレアが頭を抱える。もっと頭を抱える事になるとは知らずに…。




旅の汚れを落とし久しぶりのオコメマイに満足し露天に浸かる。


「やっぱ良いなー」


扉の開く音と共に美しい肢体が目に入る。


『ご主人様…また一緒に過ごせますねっ』


「うん、レンゴの足も問題無いしダンジョンも攻略進めようか」


『はい…』


先に出ようと立ち上がると勃ち上がったそれをルインが優しく包む。暴発気味に放たれた弾を受け止められる。


『美味しかったですご主人様、沢山ありがとうございます!』


「ありがと…」


腰が抜ける程脈打った後先に上がりベッドへ潜る。


「おやすみルイン」


『おやすみなさいませご主人様』


言うまでもなく、ぐっすりと深い眠りにつけた…。


VSルイン 信じられない量を放ち敗北!




目覚めると映る金色の瞳、浅黒い褐色の美しい肌、耳に掛かるくらいの短い髪は黒く艶やかだ。


『おはようございますご主人様』


「おはようルイン」


起きたら目の前に美少女。これ以上幸せな日常があるのだろうか。


朝食を終え準備を整えギルドへ向かう。


「お、兄ちゃん!戻ってきたのか!」


街は殆ど復興が終わっている。中央広場には新しいシンボルなのか4本足を地に付けた青い石が瞳に埋まる竜の彫刻。


「店は直ったみたいだね、弁当4つお願い」


親指を立て合図するおっちゃんに合図を返し串焼きと飲み物も購入しておく。ギルドに着き中へ入ると冒険者達から声が掛かる。


「ようバトラー!!」「レンゴも一緒に等級上がったんだってな?」「おめでとさん!」「闘争者だっけか?ぴったりじゃねーか!」


「おぉ…ありがとう…」


素直に喜んでおく、目的は達成されていないが認められるのも悪くない。


「セイラ!久しぶりね!ルインもおはよう!!」


「久しぶり、相変わらず元気だな」


手を振るルイン。


「昨日はレンゴと会ったわ!足も大丈夫みたいだから今日からまた迷宮ね!」


「そうだね、さくっと進めようか!」


「実は私たちもう4界層まで行ってるのよ!凄いでしょ!」


「ん?そうなの?」


『はい…ダメだったでしょうか?』


『いや?ちゃんと武器を扱ってたんだね、偉い偉い』


ルインの頭を撫でる。


「二人の世界に入らないでよ…」


「通じあってるらしいぜ?待たせたな、悪ぃ」


「おはよ、行けそうか?」


「おはよう!!待ってないから大丈夫よ!」


会釈するルイン。


「問題無し、久しぶりにウズウズしてるくらいだぜ」


「んじゃ早速…」


目ぼしい依頼も無かったのでそのままギルドを後にする。


「ルインとストロベリルは3界層クリアしたみたいだから…4界層からで良いか」


「そんなのズルくない!?」


「3界層じゃレベルも上がんないだろうから意味無いんだよ…」


「なら仕方ないわね…」


「ストロベリル、3界層の記憶教えてくれよ」


「聞いてよレンゴ!誰だか分からないけど森に何かしてあの砂漠が出来たみたいなの!許せないわ!!」


ダンジョンへ向かう途中で物語(ストーリー)を聞き、ストロベリルの選択で4界層[迷惑の洞窟]へ。


「なによそれ…私とルインは大変だったのに…」


「便利だろ?」


アイテム欄(イベントリ)の『だいじなもの』に分類される道具で2メートル先に浮かび半径5メートル程を照らしてくれる発光石。


「今日のうちに終わらせるつもりだからね」


『おっけーです!』


「気合い入れねーとな」


「そんなに早く攻略出来るの?」


低界層なんて作業だ。さくっと進めるに限る。


「メインは飛行か…」


・盲目の翼持ち(ブラインドバード):LV32 目の退化した一本足の鳥。鋭い嘴は毒を有する。


・単眼の蝙蝠(ワンアイズバット):LV30 目の進化した蝙蝠。超音波に依る攻撃は頭に痛みをもたらす。


先攻し一撃で沈めて行く。弓に依る攻撃は飛行型と相性が良く、ルインなら2発、レンゴなら1発で仕留めれる。


「ここ戦い難い!!」


ストロベリルが文句を言うが当たれば一撃で倒せるのだから集中して攻撃してほしい。


「文句言うなよ、さくっとボス迄行くぞ」


潰し穿ち斬り伏せ洞窟を進む。分かりやすく広い場所へ出ると青い梵字の様な文字列(コード)が地面に浮かび上がり螺旋となって集束、霧散する。


・蠢く者(レギオニスワーム):LV40 黒い百足が何体も集まり塊った魔物。蠢(うごめ)く脚は麻痺効果が付く。


『気持ち悪いです…』


「嫌あぁぁぁ!」


ルインが矢を穿ちストロベリルがWS(地砕き)を放つ。地面を抉(えぐ)り礫(つぶて)を飛ばす小範囲攻撃だ。


「ナイス!!」


ストロベリルの攻撃に依って弾けた百足に守られていた肌色の粘土の塊の様な本体へとルインがWS(罰斬り)から投げ戻る鎌(ブーメラン)へと繋ぎ、レンゴの降り注ぐ雨(ストームレイン)が本体を襲う。


「これで終わりっと!!」


WS(ストームレイン)の終わりに合わせ【加速+踏み込み】×【闘志+大旋風・放(半月蹴り)】を打ち込む。


青い光の粒子が消え肌色の物体と戦利品(ドロップ)が残る。


・痺れ百足《パラライズセンチピード》|麻痺効果の有る百足の脚。武具素材として使える。希少級(レア)。


「な?さくっと行けたろ?」


「まぁお前が居ればな…」


「なんか不満だわ…ルインと頑張ってたのに…」


『私は不満なんてありませんからね!』


地面が点滅し視界が白く染まる。



黒い外套の頭巾(フード)を目深く被った者に連れられウェーブ掛かった金髪の美しい女性が洞窟内に現れる。女の耳は尖っており禁忌(エルフ)の特徴(それ)だと分かる。洞窟内の広い場所へ出ると黒い外套の者が口を動かす、金髪のエルフの眼前に闇が広がり太い腕が女を闇へと引きずり込む。黒い外套の者も闇に這入り、闇が閉じると地面から黒い蟲が涌き出る。


「アレがエリナだったってオチは無さそうだな…」


視界が戻り青く暗い明かりを放つ部屋へ。


「このまま進めるのか?」


「いや、キリも良いし…今日は帰ろう」


『あの黒い人は誰なんでしょう?』


『さぁ?美人をたぶらかす悪い男なんじゃない?』


「早く帰りましょうよ!気持ち悪いから体を洗いたいわ!」


急かされダンジョンを後にする。


「換金はやっとくよ、レンゴもストロベリルもまた明日な」


「ありがとよ、んじゃな」


「また明日ね!!」


二人に手を振るルイン。


『ルインもストロベリルもそろそろ武器の替え時だね、ストロベリルはレベル1武器だし


『今のままでも問題無さそうですが…何だか愛着も沸いてきたんです』


『ん?気に入ったならそのままでも良いよ?鍛えれば使えるし』


『鍛える…ですか?』


『そそ、ゼンジさんに相談だけどねー』


自分もお気に入りの装備がもう使える。時間と金を相当に掛けた強力な装備が。


「セイラさん、ちょっと良いですかぁ」


ギルドへ着き中へ入るとリリーナに呼ばれる。


「どうしたの?」


「フレアさんがお呼びですぅ、案内しますねぇ」


「なんだ?」


ギルド四階へ上がる。


「失礼しまぁす、セイラさんをお連れしましたよぉ」


ノックし返事を待ってリリーナが言う。中へ入るとフレアが書類をまとめていた手を止め席へ促される。


「何?なんか依頼?」


「聞きましたよセイラさん、ルルブの依頼を受けなかったって…」


「何だよそれか、別に受ける受けないは勝手だろ」


「そうですけど…いえ、今回はその件では無く約束を果たそうと思いまして…」


そこでギルド長室の扉がノックも無く勢い良く開かれる。


「帰ったぞー!!元気してたか!!」


入って来たのは傷だらけの筋肉隆々な日に焼けた男。素肌の上に直接青銅色で銀の縁取られた胸当てをし、茶色のカーゴパンツ、腰と足には胸当てと同じ色の装備、黒くトゲの付いた肩当てをし、隻眼だった。


「ん?なんだ?リリーナも居るじゃねえか、それに貧相な男と魔女か…」


「先代!おかえりなさいませ!!」


フレアが立ち上がりお辞儀をする。


「条件を忘れたんじゃないだろうなフレア…」


「あ!えっと…おかえりなさいにゃん…ぱ…パパ…」


顔を真っ赤に衝撃的な口調になるフレア。


「良いぞ!我が娘ながら似合わない!それがまた良い!!」


「コホン、紹介しますセイラさん。先代…私のパパで…」


「あー大丈夫、雰囲気で分かったから」


纏う空気(オーラ)が違う。


「そいつがお前の言ってた馬鹿か?」


「始めまして、セイラ・アズミです」


「礼儀はなってるようだな?俺は…」


「西の最強…剛気豪傑のシヴァルバさん、ですよね?」



さぁ、お楽しみと行こうか(最強と呼ばれようか)。



次回バトルです!感想、ブクマ、評価励みに頑張ります!

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