第54話:虚飾
こう、設定とか良いですよね
ルルブに着いて三日目の朝、ギルドにて伝言を聞く。
「結構早かったな…行こうか、ジイさんの所に」
「俺の足も出来てんのかぁ…あのジジイ信用出来んのか?」
「名工グラム、ですよぉ」
「名工ねぇ…まぁゼンジさんの師匠なんだから大丈夫だろ」
店へ行くとチコが迎えてくれる。
「いらっしゃーい…」
「なんか疲れてない?」
「私も手伝いで二日徹夜だからね…お父さんが張り切っちゃって…案内するわ」
カウンターから奥の工房に連れて行かれる。
「来たな小僧…」
不適な笑みを浮かべたジジイが赤い布の掛けられた作業台の前で腕組みして立っている。
「来たぜジジイ…」
「ちょ!セイラさん!!」
「当然俺も居るぜジジイ…」
「レンゴさんまで!止めてください!!」
口調を忘れたリリーナに叱られてしまう。
「ふん…先にひとつだけ言っておくぞ、誰でも使えるなんて武器は作っておらん…」
「話が違うんじゃないのかジイさん」
「ワシの武器を扱うんじゃ、実力も無い奴に持たせられんわ!」
「使えなかったらどうすんだよ…」
「ふん!そんなもん力を付ければ良いだけじゃろ!じゃが…実力さえあればこれはワシの作った武器の中でも間違いなく最高の物じゃ…銘を…虚飾…」
そう言い赤い布を取る。
「き、綺麗ですねぇ…」
「あぁ…こんな剣見たことねぇぜ…」
柄は白い持ち手に金の装飾、鍔も金色で鞘は真っ白。金の装飾も下品ではなく精練された美しさを誇っていた。
「抜いてみてくれるかの?」
刀を取り刃を抜くと禍禍しい赤紫の刀身。腹は真っ直ぐ伸び反った切っ先から背に駆けては広い間隔で波打つ乱れた棘の様になっている。
・虚飾<雷望刃>:攻撃力230 STR+10 DEX+10 VIT-20 【HP吸収・中】【雷電付与・中】【竜種特効・大】 LV1~ALL三次職 血塗られた剣が鍛え直され生まれ変わった刀。凶悪な鬼の爪の力と希望の竜の魂が込められている。伝説級。
「どうじゃ?見事じゃろう?久しぶりに良い仕事が出来た、礼を言うぞ小僧!」
「まぁ問題無いか…まずまずって感じかな」
「なっ、ワシの最高傑作かもしれんのじゃぞ!?」
「ん?あぁ、効果も付いてるし腕は認めるよ…まぁ素材もそこそこの物使ってるしな」
「生意気な小僧じゃのう…」
「んで?肝心の義足は?武器の腕は認めるけど俺達の目的は義足の方だからね」
「刀が次いでじゃったのか?まぁ良い、チコ!用意してやれ!」
「出来てるわよー、お兄さんこっち乗ってちょうだい」
簡易な形のベッドへ器用に移るレンゴ。
「繋げるのは私の仕事だから」
そう言いベッドの下から金属で出来た足を取り出す。
「軽くて丈夫、濡れても錆び付く心配は無い金属で出来てるの」
黒く輝く足の根元部分からチューブや電線が何本も見えている。
「包帯取っちゃうね…って、酷いわね…」
傷は塞がっているがひしゃげた様な足を見て言う。
「今からお兄さんの足の神経を一本一本義足と繋いで行くの、繋がれたらこれはもう義足じゃなくてお兄さんの足になるの、だから…」
そう言い一本の包丁を取り出す。
「ちゃんと耐えてね?」
勢いよく降り下ろされた得物に寄りレンゴの膝上辺りが真っ直ぐに揃えられる。
「~~~~~~~~~ッ!!!!」
「麻酔なんかは無いからね?気絶しちゃダメよ?痛みを確認しながら繋ぐから」
血の止まらない足に粉を吹き掛けるチコ。
「これで金属と肉体が拒絶反応起こさなくなるの、凄いでしょ?」
傷口に掛けられたレンゴは歯を食い縛りチコを睨んでいる。
「じゃ、繋げるわねー」
そう言い胸のポケットから金の針と銀の糸を出す。それをレンゴの足に通し…。
「お兄さん立派ねー、暴れたりしないなんて」
「~~~~~~ッ!!!!」
声にならない悲鳴を上げるレンゴの足と義足の間を恐ろしい早さでチコの手が行き交う。
「一本目終わりッ!お父さん!」
「あぁ」
チコが糸を引っ張るのに合わせグラムが義足を動かす。
「せーのっ」
バチッと音がすると繋ぎ目辺りから煙が上がっている。
「もう一本も直ぐに終わらせるわよ」
同じ様に手際よく作業し再度音がする。
「終わりね、どう?動かせる?」
「頭がお…おかしくなるかと思ったぞ…」
レンゴが立ちあがり言う。
「お?おぉ!?」
「完璧でしょ?指なんかも動かしてみて」
「おぉ…!ちゃんと思った通りに動くぞ!!」
「当たり前じゃ、誰が作ったと思ってる」
「ありがとよジジイにチコちゃん!」
跳び跳ね動きを確かめるレンゴー。
「完璧だな」
「ああ、セイラとリリーナちゃんも礼を言うぜ」
「気にすんな」
「どういたしましてぇ」
「ワシは寝るぞ、また寄っても良いからな…」
工房の奥へ行くグラム。
「はぁ…私も久しぶりに疲れちゃったから寝るわ…代金は要らないみたいよ。お父さん嬉しかったみたい」
「そうか、んじゃお言葉に甘えるよ」
改めて礼を言い店を後にする。
「どうする?今日はゆっくりして明日帰るか?」
「セイラさんにお任せしますよぉ」
「んじゃギルドで依頼でも見てみるか、半端な時間だし明日の朝にここを出よう」
昼食を取ってギルドへ向かう。中へ入ると視線が集まる。ギルド員が駆け寄って来て口を開く。
「セイラさんですよね…ギルド長がお呼びですのでご同行願います」
「なんだぁ?とりあえず行くか」
階段を上り三階の奥へ。
「失礼します、お連れしました」
部屋へ入ると青い立派な鎧を着た銀髪の中年男性が立派な椅子に腰掛けている。
「お前らがラハブの高ランク冒険者か…初日から俺のギルドの奴等が世話になったらしいな?」
「何だよ礼か?気にすんな」
「お前が…まぁ良い、呼んだのはお前達に依頼を言い渡そうと思ってな」
「どんな?」
「ルルブの迷宮、暴風の塔10階層の攻略だ」
「ふーん」
「セイラ・アズミ、レンゴの二名は等級Aになったばかりと聞いたがリリー・ナーライムは此方でも有名な冒険者だ、問題無いだろう?」
この女、名前も作ってたのか。
「報酬は?」
「全ての素材を買い取ってやろう、それに初日の件も不問にする」
「そうか…場所は?」
「ギルドの者にでも聞くんだな、俺は忙しい。用は済んだからもう良いぞ」
「分かった…」
部屋を出てそのままギルドを出る。
「なんか偉そうな奴だったな?場所聞かなくて良かったのか?」
「場所なら私が知ってますよぉ」
「えっ、何言ってんだ?もう帰ろうぜ」
「依頼はどうするんですかぁ?」
「これってギルド依頼だよな?」
「報酬も無いんだよ?受けるなんて一言も言って無いし、それに誰かに頼む態度じゃねーだろ」
宿へ戻り帰り支度を終わらせ荷車へ乗り込む。
「お、お前ら依頼は!?」
如何にも下っ端な風貌の男が声を上げている。
「何だ?」
「俺はギルドに頼まれてお前らの様子見に来たんだ!依頼を放って何処に行くつもりだ!」
「はぁ…あのオッサンに言っとけ、人に頼み事するときは頭を下げろってな」
「喧嘩売ってんのか?セイラ・アズミ!ギルドに報告してやるからな!そして女もナーライム家に伝えておいてやる!!」
「ってよ?」
「勝手にどうぞぉ」
クスクスの手綱を取り出発する。
「じゃあな下っ端!!ちゃんと言っておいてくれよー!!」
「ラハブ程度の冒険者が!!見てろよ!!」
ルルブを出て自分達の街へ帰る。
自然に胸が高鳴る、久しぶりに彼女と会えるからだろうか…。
厨二感をこれからも色々…




