第39話:レンゴ
少し短めです
「またえらい量だな…」
フレアを残しギルド三階、オークスにマウントエイプを見せる。
「また明日で良いか?」
「良いですよ、金ならあるんで」
「カッ!羨ましいねぇ!」
「セイラさん、わたしぃ欲しい物があるんですけどぉ」
「もうちょっと頭の悪そうな奴でも捕まえてくれ」
「そう言えばジン、とうとう勇者になったらしいな!おめでとう!」
「ありがとうオークスさん!これからも頑張るよ!」
「おう!魔王を倒せよ!」
勇者ってのは大変だな…面倒じゃないのかな?
「今日はもう解散かな?食事でも行くかい?」
「俺とルインは宿に戻れば用意されてるしな…」
「俺の家にでも来るか?勇者が来れば家の奴等も喜ぶだろうしな!当然セイラとルインちゃんも歓迎するぜ?」
「じゃあ久しぶりにお邪魔しようかな…」
「おう!」
「うーん、まぁ明日の事も話したいし邪魔するか」
『なんだか緊張します…』
「決まりだな!んじゃ早く行こうぜ!」
「私はぁ忙しいんで残りますねぇ」
図太い、そして忙しいなら上に付いて来るなよと。
ギルドを後にし住民地区を目指す。
途中寄り道をさせてもらい焼き菓子を買っておく。
「何買ったんだ?」
「ん?お邪魔するんだし手土産だね」
「あぁ?んなもん要らねぇだろ、招待すんのはこっちだぜ?」
「俺の故郷のお国柄だよ」
「あぁ、魔王を知らない?」
「変なとこだよね…」
「うるせーなー、良いだろ別に」
「悪い悪い、っと着いたぜ」
回りの家より大きい建造物が見える。屋根は赤いが他の家と違い屋根が丸みを帯びている。敷地も広かったがお世辞にも立派な建物では無かった。
「ちょっと不格好だけどよ、入ってくれ」
「前よりか綺麗になってるね」
「まぁな!」
レンゴが木で出来た両開きの扉を開ける。
「帰ったぞー!」
「お邪魔します…」
ドタドタと足音が聞こえてくる。
「レンゴ、足音多くないか?」
「ん?そうか?」
「「「「「おかえりーーー!!!!」」」」」
そう元気よく子供達に出迎えられる。
その数なんと17名!やっぱ多いだろ…。
「おう!ババァは?客が来てる、それにお前ら!ジンが勇者になったぞ!なんか買って貰っとけよ!」
「レンゴ…まぁ良いんだけどさ…」
「ジン兄ちゃんすごいね!」「俺ドラゴンの人形が欲しい!」
「すごいね!ぼくはおかしがいい!」「キレイなお姉ちゃんだ!」「レンゴにぃの彼女!?」「皆!先におめでとうございますでしょ!」
少し回りの子供たちより年が上そうな女の子が声を上げる。
レンゴがわしゃわしゃと子供たちの頭を撫で、ルインが囲まれて困惑している。
「なぁジン、脳が追い付かないんだけど?」
「ん?あぁそうか…この街じゃ普通、というかどの地域でも丸い屋根は大体そうなんだけど…」
「なんだよ?勿体ぶんなよ…」
「怒る事でも無いでしょ…まぁ言ってなかったと思うけどここは孤児院だよ、レンゴはここで育ったんだ」
「あぁ…だからか…」
「だからって?」
「レンゴの二つ名…」
保護者から来てたのか。
「レンゴは面倒見が良いんだ、レンゴより上の人達は皆出ていったけどレンゴは残って依頼で稼いだお金なんかはここに渡してるんだよ」
「そうか…」
「僕も協力するって言った事があるんだけどね、そんなに頼りなく見えるか?って怒られちゃったよ」
「ふーん…」
面倒見が良いのは確かだろう、最初出会った時も忠告してくれようとしてたみたいだし。
「何二人で話し込んでんだよ?行くぞ!」
「了解、あぁ、そうだこれ子供たちに食べさせてやって」
途中購入した菓子を渡す。
「あー悪いな、おらガキんちょ共!これ貰ったから部屋で大人しく食ってろ!」
「やったー!「兄ちゃん名前は?」「あんまつよそうじゃないね!」「うん!服もかっこよくないしね!」「お姉ちゃんがいちばん格好いいんじゃない?」「でもレンゴにぃがいちばんかも!」「あ・り・が・と・う!先にお礼でしょ!」
「「「「「ありがとーーー!!!」」」」」
「あぁ、うん…」
「そっちの兄ちゃんがセイラ、こっちの姉ちゃんはルインだ!二人とも強ぇからな!」
「わかったー!」「うん!」「本当につよいのー?」
「お姉ちゃんいっぱい武器持ってるー!」
「おら、部屋戻れ!あんまり五月蠅いと怒るぞ!」
子供たちがキャーキャー言いながら奥へ行く。
「悪いなうるさくて」
「いや?子供の時はあんなもんだろ?」
『皆元気でしたねー』
「レンゴってお兄ちゃんしてるよね」
「からかうなよジン、んじゃとりあえず奥で話すか、飯も出すからよ!」
そう言い子供たちの向かった反対の方へ案内される。
白い長テーブルのある部屋へ入る。
「適当に寛いでくれ」
そう言いながら食器棚のグラスを4つ取りだし、大きな金属製の箱を開け白い液体の入ったガラス容器からグラスに注ぎ持ってきてくれる。
「ほら、バルバルの乳だ」
「ありがと…ん!冷たい!」
「魔道庫から出したんだから当たり前だろ…」
なるほど、冷蔵庫って訳か。
キッチンもあり、小さな魔石が幾つか敷かれたおそらくコンロの様な場所も二つあり、1つは大きい鍋が置かれている。
「ガキ共ババァに言ってくれてねぇのか…?遅ぇな…」
「遅くて悪かったね、全く…客人を連れて来るなら先に言っておきなさい…」
白髪の女性が表れる。皺の刻まれた肌、厳しそうな性格が伺える顔立ち。その表情が優しく変わる。
「こんばんはお客人さん、レンゴが世話になってるみたいだねぇ…私はメヌエット、ここで子供達の母親変わりをやっているよ」
「こんばんは、セイラ・アズミです。彼女はルイン、共に冒険者です、レンゴ君には僕達もお世話になってるのでお互い様ですよ」
ニコっと微笑んでみせる。
ルイン、ジン、レンゴがぎょっとした表情になる。
「おやおや、育ちが良いんだろうねぇ礼儀正しい子だ…ジンといい貴方といい…どうしてレンゴなんかを相手にしてくれてるんだろうね…」
「レンゴ君の人柄が良いからですよ、貴女のお陰でしょう」
「嬉しいことを…今日はゆっくりしていって大丈夫だからね…レンゴ、ちゃんとするんだよ?」
「分かってるよ…部屋送るか?」
「大丈夫よ、今日は調子も良いからねぇ」
「そっか…早く寝ろよババァ」
「はいはい…それじゃあ…」
メヌエットが部屋を出る。
「おいセイラ!なんだよさっきの!レンゴ君って!アッハッハッハ!」
「びっくりしたよ…セイラ君ってやっぱり良い育ちなの?」
『私も少し驚きました…』
おいおいルイン、ちゃんと敬語使ってるの何回も見てるだろう…。
「別に普通だろ、基本だよ基本」
相手にも依るが日本なら初対面でいきなり馴れ馴れしく話す事の方が珍しいだろう。
「今日は…おっ、煮込みだな…ドンタンの肉か?」
レンゴが鍋の蓋を開ける。
「点れ」
そう言うと鍋の下に敷かれた魔石が赤く輝きだす。
「すぐあったまるからな」
そう言い棚から長いパンの入ったかごを運んでくる。
本当に直ぐ温め終わったようで四人分の皿と深いボウルの様な皿によそって持ってきてくれる。
「ヤトにも食べさせてやってくれ」
「ありがと、ヤトー」
「ピイ!」
レンゴに頬ずりし早速頂いている。
「んじゃ俺らも食おうぜ!」
「ご馳走になるね」
「じゃあ、いただきます」
『いただきます!』
「いただきます!」
「いただきます!」
皆で手を合わせて。
「ところで明日はどうするんだい?」
「界層進めるか?」
「そうしようとは思うけど先ずはジンの防具見に行かない?俺も見たいもんがあるからさ」
「確か…緑鋼装備だったよね」
「そそ、暫く使えるから損は無いし」
「セイラの見たいもんってのは何なんだ?」
「マジックボックス」
「うん?セイラ君は持ってるよね?」
「まぁね、でも欲しいんだよ」
「んじゃ職人ギルド街と正門の方にも行くか」
「そう言えば正門の方が商人ギルド街になるの?」
「一応な、入った瞬間活気があるだろ?」
「まぁ結構色んな店もあるっぽかったしな…結構分かれ道も多いから分かりにくいんだよな…」
「商人ギルド街、冒険者組合街、職人ギルド街、住民地区、衛兵地区、宿屋街に迷宮街が二つで
全部を合わせてラハブの街だよ」
「まぁデカイ街だからな!」
『どこにいってもお店はいっぱいありますよね!見てるだけでも楽しい街です』
『そう?また色々見て回っても良いかもねー』
『はいっ!』
ドンタンの煮込みはビーフシチューの様な味でパンを付けながら食べると中々美味しかった。デザートとして皆に至高の実を渡す。
「なんだこれ!?とんでもなくうめぇ!」
「こんな美味しい果物があるなんて…!」
ルインとヤトも美味しそうに食べるが慣れて来たのか最近はここまで感動してくれる事は無いので素直に嬉しい。
そのまま少しゆっくりさせて貰う。
「じゃあそろそろ帰ろうかね」
「分かった、泊まっていってくれても良いんだがルインちゃんも居るしな。ジンはどうする?泊まってくか?」
「そうだね、それじゃお言葉に甘えるよ」
「んじゃまた明日、ギルドで」
手を泳がせ、ルインはお辞儀をする。
「おう!また明日な!」
「明日も頑張ろう!」
その場を後にし宿へと戻る。
「ごめんリーラさん、夕食は済ませたから要らないです」
「かしこまりました、洗濯物だけ後で取りに伺いますね」
「お願いします」
部屋へ戻りルインが武器をカチャカチャと外す。
「うーん、やっぱあった方が便利だよなぁ…裏技も使えるし」
『何がですか?』
「んーーーー、内緒」
『むぅ…気になります…』
「先に体洗ってきな」
『はい、それではお先に頂きます』
ルインがシャワーを浴びている間にヤトを喚び露天へ行く。
体を洗い終わり湯に使っているとガラッと音を立て勢いよくルインが這入ってくる。当然体を密着させ隣へ。
目が釘付けになるのを拒否出来ない。
『どうされましたか?』
「ん、いや…その綺麗な色だなーって」
『そうですか?髪と目の色もそうなんですがこの肌も魔女と同じらしいんですよ…』
まぁそこの事じゃ無く薄いピンク色の方なのだが。
「へぇ…まぁ魔女云々なんて古い考えってガウンも言ってたしどうでも良いでしょ、俺はルインが魔女だろうと何だろうと気にしないし」
『ありがとうございます…』
「この前みたいな事があったら又ぶっ飛ばすだけだし」
『あまり無理はなさらないで下さいね…何かあったら私…』
「平気平気」
ルインの頭を優しく撫でる。女の人の髪の毛を触るが癖になりそう。
『はぅ…』
「先に上がるね、ゆっくりして大丈夫だから」
『はいっ』
ヤトを戻し部屋へ戻る。汚れ物は外のカゴへ。少しするとルインも上がる。ふとした時に黒い下着が浴衣から覗きドキドキする。
「今日はなんだか長かったね…そろそろ寝ようか」
『はいっ』
ベッドへ潜る。
「おやすみルイン」
『おやすみなさいませご主人様』
本能を抑える事に成功した自分を褒めてやりたい。
次回長くなるので半端な文字数ですが一回区切って更新です




