第33話:夢
投稿遅れてすみません
「くっそ…またアイツか…」
目覚めが悪くなる夢を見た。
『おはようございますご主人様』
「あぁ…おはようルイン…」
『具合でも優れませんか?』
「いや、大丈夫ちょっと嫌な夢を見ただけだから」
『そうなんですね…』
ルインが抱き付いてくる。
「ありがとうルイン、心配は要らないから大丈夫だよ」
朝から豪華な食事で腹を見たし装備を整える。
自分は腰に銀の籠手を下げるだけだが…。
「ギルドに着いてその度に決めて行くつもりだけど基本的にはモンスター討伐をしていくから」
「はいっ!」
心なしか嬉しそうなルイン。
「戦闘狂の気があるからな…」
『ご主人様がですか?』
「いや…俺は強い奴に勝つのが好きであって戦闘狂って訳じゃ無いよ?」
『そうなんですね…』
「無双系も嫌いじゃないけどね」
『昨日は無双してましたよ?』
少し話が合わないが仕方無い。こっちの無双はゲームの事だ。
「まぁ相手が弱すぎたって事だね」
『ご主人様が強すぎなんだと思いますが…』
「つかあのくらいの事ならルインもすぐ出来る様になるよ?」
『えーっと…頑張ります…』
ステータス差があれば簡単、あとは技術の問題だ。
「行こうかー」
『はいっ』
宿を出てギルドへ向かう。
中央広場へ行くと中心にある八角形のシンボルは砕けたままだが出店やベンチは修繕されている。
「おーい!兄ちゃん!昨日暴れてた兄ちゃん!」
「ん?」
茶髪でアゴ髭の似合うナイスミドルな男に手招きされる。
どうやら弁当を販売する出店の主らしい。
「兄ちゃん昨日は凄かったな!久しぶりに血が騒いだぜ!」
「はぁ…どうも…」
「ほら、これ持ってけ!」
そう言って木の箱の弁当を2つ渡される。
「えーっと…」
「兄ちゃんはそんな風に見えねぇが、嬢ちゃんの格好からして冒険者だろ?昼にでも食ってくれ!」
「いくらですか?」
「今日はおごりだ!良いもん見れたしな!気に入ったらまた来てくれよ!」
「んじゃありがたく…」
「ハッハッハ!また面白いもん見せてくれよ?」
快活に笑う男の店を離れギルドへ。途中さっきの店主と同じように何人かに呼ばれその度に何かしら持たされる。
『なんだか有名になってますね?』
『まぁ皆仲が良いんだろ』
井戸端会議でもしてるんだろうか。
ギルドへ入ると視線が集まる。
自分とルインに半々ずつくらいか。
広いギルド内一階の奥、階段横の壁一面に依頼表が貼られている。探しにくいが大体の危険示唆別に分けられている。
「とりあえず討伐対象が多いので経験値稼いで…」
ドンッ!依頼が貼られた壁にチンピラ風の若い男が手を付く。
すぐ真横だ。
「ブフォ!壁ドン!」
「なに笑ってんだ、お前昨日中央で暴れたらしいな?」
「くっくっく…壁ドン…くふっ…んあ…そ、それが?」
ツボに入ってしまう。だってこんなお約束な…。
ルインが不思議そうに見つめてくる。
「お前…何も知らないだろうから教えてやる…」
「おっ?新顔が目立ちやがって…お前の実力見てやるよ…的な感じか?」
他のパターンだとこの街のボスが呼んでる…とかもあるか?
ここに居るって事はコイツも冒険者だろうから可能性は低いか。
「何言ってやがんだ?俺が言いたいのは…」
階段から女性が降りてくる。溜まっていた冒険者達の顔が青ざめ震える者も居る。
『ご主人様…あの方は昨日の?』
『ギルドマスターのフレアさんだね、良い殺気だしてるよ』
「この街のギルドマスターは怖ぇぞ?」
チンピラ風の若い男がそう言い早々に去る。
どうするか…昨日の感じだと話せば分かってくれるタイプだと思うが…。ルインが服の裾を摘む、その手が震えているのが伝わってきた。
「おはようございますフレアさん、眉間にシワ寄せてどうしたんですか?ルインが怖がってるんですけど」
殺気は消えない。
「おはようございますセイラさんにルインさん、朝から貴方が来たと聞いたら自然こうなったんですよ」
「ルインが怖がってるので殺気を出すのやめません?可愛い顔も台無しですよ?」
更に殺気が強くなる。
「お話をしましょうか、付いて来てくれますよね?」
「はぁ…アンタ何か自信あるんだろうな…まぁここはギルドだ、その自信は実力からか…」
「それが何か?」
少しイラついたのが分かる。
「衛兵長から話は来てないか?」
「いいえ、何も?但しここの冒険者達から既に話は聞いています…あろう事か騎士と争ったと」
「それで?」
「貴方、この街で名を上げると言ってましたね?ならば冒険者で居る限りは私の管轄下です。結構な事ですが…たまに居るんですよ、夢を語るのが好きなだけの半人前が」
「へぇ」
「そんな冒険者に勝手をされるとギルドとしても困りますので…私が直接指導してあげるんです」
「誘ってんの?アンタも悪くないけどたまに居る冒険者に教えてんだろ?ナニをか知らねぇけど尻軽はなぁ?」
煽りで返す。
「あまりふざけないで貰えますか?」
フレアが殺気を更に強くし睨み付けてくる。
「あの新顔バカなのか?」
「フレアさんに喧嘩売ってんのかぁ?」
「相変わらず怖ぇなぁ!」
辺りがざわつく。
「ふざけてんのはそっちだろ?突然なんだ?昨日と言い今日と言い…ここの奴等に聞いただぁ?ソイツが嘘だったら?それともアンタのギルドだから無条件に信用してんのか?」
「ハッ、貴方はまだ実積も何も無いでしょう…」
「だから信用出来ない?クハッ!程度が知れるなぁ!冒険者のレベルも、アンタの実力も!迷宮大都市?こんな女に管理されてダンジョンも可哀相だな!」
「口が過ぎますよ!」
そこでフレアにだけ殺気を向ける。
「なっ…」
「どうした?これだけ言われて何もしないのか?」
フレアに歩み寄る。
「く、来るな…来ないで…」
殺気を強めながら。
カタカタとフレアが震えている。
動けないフレアの耳元で囁く。
「ひとつ教えてやろう、俺達は襲われた側、証明は衛兵長のパルムドールがしてくれる」
それだけ言いギルド入り口へ向かう。
『ルイン、今日は帰るよ』
『は、はい!フレアさん突然怖く無くなりましたね?』
ざわつくギルドを後にして説明する。
『ルインが、まぁあの場の全員がフレアにされた事を俺が本人にだけしたってだけだよ』
『うー、んん?』
『フレアは加減の仕方も分からない程度の実力って事』
『ご主人様は仕方が分かる…怖がらせるのが得意って事ですか?』
「ブフォ!うん、まぁそれで良いや!」
『フレアさんより凄いって事ですねっ』
ルインの頭を撫で、一旦宿へ戻る。
「おかえりなさいませ、お昼をお持ちしますか?」
「ただいまリーラさん。弁当があるんで大丈夫です、この子の分だけお願いします」
ヤトを喚び出す。
「かしこまりました、直ぐにお持ちしますね」
部屋へ戻ると直ぐにヤトの分が運ばれて来る。
「ヤト、お礼して」
「ピィーーー!」
ヤトがリーラさんに頬擦りする。少し驚いているがリーラさんが優しい表情になる。
昼は付かない筈なので銀貨2枚渡す。
「とりあえず食べて…今日どうするか考えよう」
『はい!』
「いただきます」
『いただきます!』
弁当は全体的に濃い味付けだったが冒険中ならちょうど良さそうだ。主食は豆の煮た物で濃い味付けのおかずと合っていた、がパンだけは別に買おうかなと考える。少し物足りないと感じるのは自分だけだろうか…。
「ルイン、パンとか欲しくならない?」
『いえ…?ダイダイの煮たものがありますから…』
豆はダイダイで主食としても普通か。
「ん、なら良いや」
『はぁ…』
昼食を終える。
「クエ受けるつもりだったけど…今日は街の周り散策でもしようか!」
『はいっ!』
ヤトを戻し宿を出る。
中央広場で水を買い、職人ギルド街へ続く別れ道を進む。
『職人ギルドの方から外へ出れるんですか?』
『ん?知らないよ、でもこれも冒険じゃない?』
『そう言われると…その通りですね!』
攻略サイトも無い、小さくてもこれは冒険だ。
『冒険者だからね、何でも楽しまなきゃ!』
『はいっ!ご主人様とならどんな事も楽しいですけどね!』
二人してニコニコしながら職人ギルド街を進む。
暫く行くと開いた状態の大きな木製の門が見える。
門の外には鱗装備の衛兵が二人見える。
「街の外へ出たいのですが…」
若く濃い茶髪のがっしりとした男に話し掛ける。
「ん?街の外へ行くときは特に許可は要らないが…おや、君は確か…昨日は大変だったね」
「知ってるんですか…」
「現場に駆け付けた一人だからね、依頼かい?まぁ君程の腕だと大丈夫だろうが気を付けて」
「はい、では」
片付けをしてくれた人か。感謝しつつ門の外、道なりに進む。
『モンスターが出てきたら弓で牽制、そのまま双剣、大鎌、全部使ってね』
『はい!』
『弱すぎたら仕方無いけど、一撃で死なない相手には意識して武器を切り換えて』
『理由を教えて貰っても良いでしょうか?』
『うん、分からない事はどんどん聞いて。で、理由なんだけどルインの場合は武器が多いよね?』
『はい』
『それぞれの武器事に熟練度…どれだけ武器を上手く扱えるかって目安があるんだけど満遍なく使わないとルインの職業、三操者の特性が活かせないんだ』
『その特性はどんなものなんですか?』
『武器を切り換えると切り換えた数だけ与ダメージ…簡単に言うと攻撃力が上がるんだよ』
『成る程…ありがとうございます!』
『うん、徐々に色々覚えていけば大丈夫だからね』
『はい!頑張ります!』
暫く進み別れ道を右に、森の広がる方へ行く。
森の中へ入り綺麗に鋪装された道をそれ、道の無い森の深部へと這入る。モンスターは出てこない。
散策していると岩肌の洞窟を発見する。
「やっぱあった!ラッキー!」
『これは…洞窟ですね』
「うん、迷宮だけどね」
『ダンジョンなんですか!?』
「そだよー」
集中し視る事で情報が頭に入ってくる。
・゛狼の泉゛
低級の魔物の種族名+単一ワード
「典型的な初級ダンジョンだな」
ルインの熟練度上げにピッタリ。
「ルイン、分かってるだろうけど気は抜かない様にね」
「はいっ!」
ダンジョンへ這入る。
殲滅、開始!
そろそろ強敵登場させたいですねー




