第31話:お人好し
すみません、一ヶ所調整手間取り遅れました
眠りから覚め、目蓋を開くとルインと目が合う。
『おはようございますご主人様』
「おはよう、えーっと…先に起きたら部屋で寛いでて大丈夫だよ?」
『いえ、気にしないでください』
「そ、そう…」
起きた瞬間から良い気分になれるが少し気恥ずかしい。
「今日までゆっくりするつもりだけど一応装備はしっかりしてね」
『はいっ』
アイテム欄から武器を取り出しルインに渡す。
「今日は…そうだ、ラゼバルトだっけ…ゼンタさんの弟の店に行こうか」
『かしこまりました、武器を替えるんですか?』
「んー、今のレベルじゃ替える必用無いからなぁ…」
ステータスの確認。
:セイラ・アズミ 武術家 極者
LV8 HP4910 TP1988
STR 348 攻撃力494+15+359
VIT 261 防御力370
DEX 328+2
AGI 311
INT 134
MND 221
CHR 181
思わずにやけるステータスの高さ、嬉しいことにもう上がりづらい熟練度が359…9つも上がっている。
ルインのステータスも確認しておく。
:ルイン 三操者 小鬼殺し
LV5 HP460 TP220
STR 52+2 攻撃力67+(20+15+45)+58+47+4
VIT 33 防御力42+32 火耐性小 水耐性大
DEX 51
AGI 47
INT 29
MND 31
CHR 32
差は激しいが成長は十分。
「装備ってちゃんとレベルと職業に合った物を選ばないとステータスが大幅に下がるんだよね」
『そうなんですか?』
「ん?常識じゃないの?」
『初耳です…』
「そっか…まぁルインの装備はちゃんと選んでるから安心して」
『はいっ!』
少しゆっくり過ごしているとノックが聞こえる。
ルインが対応し、朝食が運ばれてくる。
赤い魚の切り身、ウィンナーを茹でた物に目玉焼き、野菜の小鉢が三品、白いスープ、緑の果物をカットした物、ヤト用にも大きな魚を焼いた物が出てきた。そして…
「米っ!」
「ご存知なんですか?こちらジープから仕入れている珍しい主食でオコメマイと言うものなんです」
昨日と同じ女性が答えてくれる。
「ジープは知らないですけど…俺の故郷も同じ主食だったんで…お姉さん、お願いがあります」
「フフッお上手ですね、お姉さんなんて年じゃありませんよ」
どう見ても20代前半~から半ばなんでお姉さんだろう。
イベントリから金貨60枚出しお姉さんに渡す。
驚いた表情のお姉さんに
「十日分先払いします、俺の主食は全部オコメマイでお願いします!」
「か、かしこまりました!ありがとうございます」
別に銀貨1枚を渡し、お姉さんが部屋を出る。
「ルイン!食べよう!いただきます!」
『は、はいっ、いただきます…』
オコメマイは日本の米より少し固かったが十分満足させてくれた。スプーンで食べたのでちょっとだけ微妙な気持ちになったが…。
『不思議な食べ物ですね…でも美味しいです』
ルインも好きみたいで何故か少し嬉しくなる。ジープの事も気になるが今は只、米に感動する。
朝食を終え部屋を出ると受付でお姉さんに呼び止められる。
「お客様、長期宿泊表に記載しますのでお名前をよろしいですか?」
「はい、セイラ・アズミです。彼女はルイン、二人とも冒険者をやっています」
「セイラ様とルイン様ですね、冒険者…きっと腕の立つ冒険者様なんですね。ありがとうございます」
「お姉さんのお名前は?」
「私ですか?従業員のリーラと申します、どうぞ贔屓に」
「リーラさんね、了解。何かあればお願いします」
「かしこまりました、お気をつけて行ってらっしゃいませ」
宿屋を出て途中甘酸っぱい飲み物を買ってギルドを目指す。
『依頼を受けるんですか?』
『いや、今日はゆっくりするよこれだけデカイ街なら職人ギルドとか商人ギルドなんかもあるはずだから場所の確認にね』
『ゼンタさんの弟さんの所でしたね』
『そそ』
ギルドへ入り昨日と同じ、緑髪の女性の受付へ。
「おはようございますぅ、早速お仕事ですかぁ?」
「いえ、ラゼバルトと言う武器屋に行きたいのですが…」
「あーゼンジさんの所ですねぇ、それですと中央広場まで行って右下の分かれ道を真っ直ぐですねぇ…職人ギルド街に腕を組み合った看板の小さなお店が大通りから外れてありますよぉ」
そう言いながらサッと大雑把な地図を書いてくれる。
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ー ⬜ ー
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簡易だが分かりやすい。
「ありがとうございます」
「はいー、又何かあればおっしゃってくださいねぇ」
ギルドを出て教えられた道を進む。
『どんな人かな』
『腕が良いとおっしゃってたので職人気質な方なんじゃないですか?』
『ゼンタさんも雰囲気そんな感じだったしね』
暫く歩き、広い場所へ着く。そこらかしろから鉄を叩く様な音が聞こえ、冒険者風な人々が店へ出入りしている。
大通りを外れた場所と言っていたので裏路地を探す。
『あっ、あそこじゃないですか?』
ルインの指差した方向に看板が見える。
日本のコンビニサイズの店だった。
扉を開くとカランカランと音が鳴り、奥から若い、優しそうな男性が表れる。
「こんにちは、ラフィンのゼンタさんの紹介で寄ったんですが」
「いらっしゃいませ、兄の紹介ですか?」
「ゼンジさんですか?」
ゼンタとは年も離れていそうで顔も似ていない。
「はい、私がゼンジです」
「えーっと、今日は装備を替えるつもりで来たわけでは無いんですが…」
「大丈夫ですよ、良ければ店内を自由に見て行って下さい」
そう言われたので遠慮無く物色していく。
`視`たところ全ての武器防具が良質以上の物で、どれも何らかの効果付きだった。粗方物色が終わりゼンジに訊ねる。
「全部ゼンジさんが作ったんですか?」
「はい、昔から何かを作るのが好きで…ルルブで修行を積んで自分の店を持てるようになりました」
「良い腕ですね」
正直な感想を言う。SSR級こそ無いが効果付きになると゛闘争者達の宴゛では鍛冶の熟練度が高くないといけないはずだ。
「ありがとうございます。良ければ今後ご贔屓に」
「はい、又来ますね」
双剣コーナを眺めていたルインを呼ぶ。
『欲しい装備でもあった?』
『いえ、只、どれも美しい物ばかりでした』
良い目を持っている様だ。
ゼンジに会釈し店を出て裏路地を散策する。
「キャーー!もう少しお待ちをー!」
「待てねえなぁ!」
何処か芝居掛かった叫び声が聞こえた。
声の方へ行き、物陰から確認する。
派手な化粧の女と痩せたツンツン頭の男が目に入った。
分かりやすい。
「お姉さん!どうしましたか?!」
一人の男が表れた。両サイドを短くした茶髪、全身を皮の鎧で固め片手剣と片手盾を携えた好青年。
「実は借金の期限で…うっうっ…」
女の頬に涙は伝っていない。
「なんだよ兄ちゃん、そいつの知り合いか?違法でも何でもねぇ、借用書もちゃんとある借金だぜ?」
「不当では無いのか…いくらだ!?」
「なんだよ兄ちゃんが払ってくれるってのか?今月の支払いは5万ネルだ!」
「なんとかこれで手を打ってくれ無いか?」
「お兄さん、良いんですか!」
「目の前で困っている人は放って置けないですよ」
「へぇ、まぁ金さえ払ってくれれば誰でも構いやしねぇ…4万ネル…ちと足りないがまぁ良いだろう」
ツンツン頭の男がこちら側に歩いてくるので息を潜める。
『借金ですか…不当では無いなら仕方無いですね…それにしても優しい方も居るんですね…』
『ん?いや…アレは…』
「ありがとうございました!何かお礼でも…」
「いえ、大丈夫ですよ」
「そうですか…それでは失礼します、本当にありがとうございました!」
「はい、次からはちゃんと期限を間に合わせる様にしてくださいね」
派手な化粧の女もこちら側に走って来る。
『ルイン、気付かれ無いように後を付けるよ』
『はぁ…かしこまりました』
少し離れた所で笑い声が聞こえる。
「言った通りだろ!?どんな街でも馬鹿は居るんだよ!」
「本当ねぇ!いやーお姉さんどうしましたか!?なんて格好良いとでも思ってるのかしら?アッハッハッハッハ!」
まぁ思った通り。
『こう言う事、分かった?』
『はい…それにしても…酷いです…捕まえますか?』
『そんな事しないよ、さ、戻ろ』
『はい…』
来た道を戻り、大通りに出ると先程の男がベンチで休んでいる。
「んーー、まぁ良い勉強か」
騙された男に声を掛ける。
「こんにちは」
「えっ?えーっとこんにちは」
「お兄さん、さっきの騙されてるよ」
率直に告げる。
「さっきの?えっ?」
「路地裏で女の人助けたでしょ?アイツ達がグル、要はカモられたって事」
「そ、そうなのか…」
「まぁ勉強なったと思って次からは気をつけなよ」
突然のお節介だろうが忠告しておく。
「そうか…良かった…」
「あ?何がだよ」
「ん?だってあの女の人は借金をして無かったんだよね?困っていないなら良かったよ…」
「ふーん、まぁそれで良いなら良いけど」
「一応礼を言っておくよ、ありがとう」
「どういたしまして…」
「僕の名前はジン、この街で冒険者をやっている」
「セイラ、彼女はルイン。同じく冒険者だ」
「そっか…同じ街の冒険者だ宜しく!」
「あ、あぁ…」
理解出来そうに無いお人好しと握手を交わす。
笑顔で手を振りながらジンが中央広場の方へ去った。
「良い奴…なんだろうな…」
『不思議な方でしたね』
そのまま暫く散策を続け一度中央広場へ戻る。
すると何やら騎士らしき集団が目に入った。
爬虫類の目玉の様な印の入った旗を掲げている。
『何かあったのでしょうか?皆さん少し慌てているようですが』
『さぁ?詐欺師が出たーとかじゃない?』
「まさか嘘の情報か?」
「いえ、確かに見かけたと…」
「くそ…これだけの人員を導入しているんだぞ!」
ざっと30人程。上官らしき人物がぶつぶつ言っている。
「しかし…」
「言い訳は要らん!もう一度職人ギルド街を探しな…おせ…」
「どうされましたか?」
上官らしき人物がこちらを見つめる。
「居たぞ…囲め!あそこだ!」
野次馬達を押し退け騎士達が周りに集まる。
『これは…?』
ルインを庇うように上官らしき騎士の前に立つ。
「やっと見つけました…魔女様、どうぞこちらへ」
そう言った上官らしき騎士の持つ盾には掲げた旗と同じ印が刻まれている。
その瞳の色は金色だった。
簡易地図ずれていないでしょうか?




