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第22話:楽々

さくさくっと

目が覚めるとヤトの姿は見えなかった。途中で戻ったのだろう。

ルインはまだ目を閉じている。プニプニ。

ルインモーチモチ~♪とやってるとルインが恥ずかしそうに目を覚ます。


「おはようルイン」

『おはようございます。あの…何を?』

「ん?あぁ、もちもちだから」


?が消えないが気持ちいい。暫く弄んだあと食堂へ降りる。


「どうだ!旨いか!」

「ピイィー!」


「ヤト!」

「ピイィー!」


「あん?なんだ…金眼の…」

「えっと…ネイルさんのお父さんですよね?」


「ちっ…他の客がそろそろ来る。さっさとそのモンスター仕舞え」

「ヤトに何か食べさせてくれていたようですが…」


「昨日の残りを処理してただけだ」

「ヤト、お礼をして」

「ピィ!」


「おぉ…」

ヤトが頬擦りするとネイルのお父さんの顔が緩む。

厳つい顔して可愛いのが好きなんだろう。


「えっと、店主さん?」

「……ニールだ。なんだ?」

「僕たちは暫くこの宿に滞在させてもらうつもりです、良ければヤトのご飯も用意してもらうと助かるのですが…勿論お代はお渡しします」


「フンッ、気が向いたらな」

ぶっきらぼうに答えるが顔は緩みっぱなしだ。


「あ、セイラさんおはようございます!朝食の用意をしますか?ってお父さん!その子は確か…ヤトちゃん?」


「あぁ、そうだよ。ニールさんに懐いたみたい」

「お父さん動物大好きだからね!」

「うるせぇ!とっとと仕事しろ!」


やっぱり。ニヤニヤしつつニールさんを見る。


「フンッ、まぁその小っこいのも用意してやる。だが他の客に迷惑だけは掛けるなよ」

「了解」


席に着き、朝食が運ばれてくる。ベーコンとキャベツのスープとサクサクのパンだ。


「いただきます」

『いただきます?』


手を合わせて食べ始める。


『俺の故郷の…儀式?みたいなもんだよ』

『ご主人様の故郷…』

『まぁ気にしないで、島国で独特な文化もあったし』

『はぁ…』


「ごちそうさまでした。んじゃ買い物してギルドに行こうか」

『はい』


ニールさんに何か与えられてるヤトを喚び戻す。

ニールさんは落胆しているがいつまでも出してはおけない。

睡眠でTPの回復が追い付いていただけで普段は喚んでいるだけでTPは削られていく。


「ネイルさん、2日分追加で宿代支払っておきます」


「はい、確かに。ありがとうございます!」


部屋に戻り洗濯物をネイルさんに渡して東門へ向かう。


「お兄さーん」

「ん?」


あの出来る店員だ。


「何かお探しですか?」

「あぁ、ルイン石を見せて」

「ぐっ」

握りしめていた絆石を店員に渡す。


「その石を入れられるポーチみたいなのが欲しいんだけど」


「綺麗な色ですねー、これだと…少しお高いですが…」


そう言うと窪みのある綺麗な銀色の腕輪を取り出す。


「こちら魔法の品(マジックアイテム)になっておりまして、窪みにお好きな宝石なんかを嵌めると勝手に調整してくれるんですよ?」


「フム」


「手首にも自動的に調整しますんでぴったりかと…」


「フムフム」


「通常4万ネルのところ今ならなんと2万5000ネル…」


「買った!」


「ありがとうございます!」


またもや乗せられた感はあるが良しとする。

ルインの左手に着け確認。


『大丈夫そう?』

『はい!ありがとうございます』

満面の笑顔。気に入ったようだ。


「店員さんありがとうございました。また」

「こちらこそありがとうございました!」


噴水広場でバルバルの乳とナクの実を買い、ベンチで腹にいれる。朝食が足りない訳では無いがなんとなく健康に良さそうだから。ルインもニコニコだし。


ギルドへ着き、何時もの受付へ。早い時間だからか冒険者でギルド内は溢れていた。


「おはようミラ、先にクラスチェンジお願い。俺が狩人でルインは魔術士で」


「おはようございますセイラさん…えっと…セイラさんは昨日魔術士にクラスチェンジしたばっかりですよね?」


「うん…まぁ色々やっときたいからさ」

「はぁ…分かりました…」


『ご主人様は何でも武器を扱うんですか?』

『んー俺のメインは決まってるんだけど…』


「終わりましたセイラさん」


「おっ、ありがと。んじゃ適当に依頼選んでくるかねー」


「あの、セイラさんは…いつもの事ですが…ルインさんもその格好で冒険に出かけるんですか?」


「そのつもりだけど…」


「そうですか…でしたらせめてギルドの修練場でレベルを上げてから依頼を受けませんか?」


「ん?何それ詳しく」


「はい、あんまり利用する冒険者様は居ないんですが、ギルドの地下には魔石を使った修練場があります。ご利用料金を頂くのですが、魔石からは過去、ギルドで捕らえたモンスターが封じられて居て低レベルですが実戦的な訓練をする事が出来ます」


「そんなのがあるのか…ミラ、2人分お願い」


「えっとあくまで低レベルの冒険者様にと言うものなんですが宜しいですか?」


「大丈夫、お願い」


「分かりました、お2人で1万ネルになります」

「はいっと」

「それではご案内しますね」


地下へ降りる階段に案内され無機質な空間に着く。

中央にはバスケットボール程の魔石が鎮座している。


「危なくなったりしたら警報器を押して下さい。魔石に触れるとモンスターが現れます」


「分かった、ありがと」


「私は仕事に戻りますので、無茶しないようにして下さいね?」

「ん、了解」


ミラが戻るのを確認して思わず口元を緩ませる。


「曜日クエ的な?くはーっ!捗るねぇ!」

『ご主人様?』


「あー取り敢えずルイン、装備渡すね」

『はい…』


「んで、その杖の先に俺が昨日使ってたような光を意識して」

『はい…』


「ふっ」と息を洩らすと、杖に光が集まる。


「ん、上出来。それを…光を留めながら、分離させて発射する想像をしてみて」


杖の先から弱攻撃(魔弾)が放たれる。


「よし、それを昨日見たように意識を途切らせずに連続で打ってみてごらん」

『はいっ』


観ているのはやはりデカイ、難なく弱連打(マシンガン)を成功させる。


「んじゃ俺がモンスター喚ぶからルインは出てきたモンスター片っ端から倒していって」

『はいっ頑張ります!』


頑張る事は何も無い作業だが…。ルインに経験値取得増(ルーキーシリーズ)装備とパワーポーションを渡し、魔石に近付く。


『んじゃ始めるよー、肩の力抜いてー』

『はい!』


魔石に触れる。一瞬光を放つとゴブリンが姿を現す。


ゴブリン LV5


「おっ、良いレベル…」


ボンッと音を立てゴブリンが弾ける。


『ご主人様!?大丈夫ですか!?』


『大丈夫大丈夫、バンバン喚ぶからどんどん倒して』


其処からはあっと言う間。レベル5を最大効率で狩る。


ルイン:成長限界に到達。マスタリーの証として【魔術の心得】を習得。


「んーー効率的ー!ルイン、次は俺の番だから装備渡して」


『ご主人様?えーっとこれで強くなっているのですか?』


「ん?まぁ今はそんなに強くないよ?たかがベーシックだし」


『はぁ…でも…なんで…?』


自が出てる方が可愛いよなーなんて思いながら言う。


「んー今は強くなるために必要な事を終わらせてる途中…でもこの作業も楽になったよ」


『分かりました…』


「んじゃルインは離れて、今からの俺の闘い方をしっかり見てて」

『はい!』


ポンポンっ…5回石に触れゴブリンを喚ぶ。

ステップを踏み、回避を交ぜながら弓を引く。穿つ、穿つ、穿つ。弓を背負いナイフを取りだし突き、引き裂く。

5体の小鬼は一瞬で生を終わらせる。


「まぁこんな感じか…?」


石に触れ、ゴブリンが現れると同時にナイフで突き、石に触れ、バックステップと同時に矢を放つ。作業は続く。


狩人の成長限界に到達しました。マスタリーの証として【狩人の心得】を習得。


『ルイン、1階に上がってクラスチェンジしよう』

『はい…えっと更新はしないんですか?』

『大丈夫大丈夫、慌てない慌てない』


「んっと、欠片とかあるけど…後からギルドで回収するか?」


そのままにして受付に向かう。


「ミラ、クラスチェンジお願い。俺が戦士でルインが狩人」


「はいっ…きゃあああああ!どうしたんですかセイラさん!無茶しないように言ったじゃないですか!」


視線が集まる。効率的に殺ったのでまだまだ昼前、冒険者も多い。


「大丈夫、怪我は無いから。それより早くクラスチェンジしてくれ視線が痛い」


「えーはい、分かりました…本当にお怪我は無いんですね?」


「大丈夫だって、心配要らない」


「本当に気をつけて下さいね?」


クラスチェンジを終え、再び地下へ。


『ルイン、モンスターは俺が喚ぶから弓だけで闘って、矢は無くならないから気にせず射って良いよ』


夢幻の矢筒 攻撃力30 AGIに依る攻撃力補正。 伝説級(SSR)LV1~戦狩弓三大

細長い矢筒に3本の矢が常備される。対象に当たると消える。


『行けます』

『あいよー、それじゃ行くよー』


ヒュンッ…ゴブリンの頭に突き刺さる。ワンピースの美女から次々と放たれる矢。光を帯びたそれはヒュンッ、ヒュンッと正確に目標を捉える。通常であればゴブリンと言えど3、4発程は耐える。

それを全て一撃で倒して行く。当然、ワンピースの美女が持つ、金色の武器に依る力だ。


「うっし、狩人終わりっ!ルイン、休んでて」

『はい、また見てますか?』

『うん、良く見てて』


イベントリから取り出す。ショートソードより短く、ナイフより大きい、双剣を。


6体ゴブリンを喚ぶ。

気付くまで待ち、攻撃を受ける。寸前で避け反撃(カウンター)。右手の剣で1体を仕留め逆手にし、もう1体の首と胴を斬り放す。

直ぐに回避とステップを織り交ぜた高速接近をし、カウンターを受け距離の離れたモンスターに左手の剣を刺す。回転するように2体斬り伏せ最後の1体を両の剣で突き、引き裂く。

休まずに召喚を続ける。シュッシュッシュッ…血は吹き出さず断末魔の声も上がらず。黙々と死を積み上げて行く。


戦士が成長限界に到達しました。マスタリーの証として【戦士の心得】を習得。


【戦士の心得】上級職(セカンド)以降効果適用。レベルアップ時STRボーナス+1


「順調順調…ルイン、そろそろお昼にしようか」


『はい!それにしても凄い…』


「これくらいの事ならルインもすぐ出来るよ」


受付へ戻りミラに少し出るのを告げる。

ギルド内は少しざわつくが気にしないでおく。

ミラが濡れた布を渡してくれたので顔と腕を拭う。

礼をしギルドをホクホク顔で後にする。


そこそこの(いつもの)店へ。マスターにお薦め2人分と肉料理を頼む。


「あいよ、ドンタンの腸詰めと温野菜の盛り合わせ、バルバルの鉄板焼だ」


「おっ、ウィンナー!いただきます!」

『いただきます』

ヤトも喚んでバルバルの鉄板焼を食べさせる。

バルバルはどんな生き物なんだろ?


「ごちそうさま、マスターの料理の中で一番美味しかった」


「それ茹でただけだぞ…」


会計を済まし、ギルドへ戻る。

もう少しで作業が終わる。

いよいよ本格的な成長が始まる。

PV4000、ブックマーク20突破。

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