第18話:初夜
短いです
「お代は結構です。ルインを大切にしてあげて下さい」
そう言われ奴隷舘を出る。ルインが3歩後ろの距離で付いてくる。
「取り敢えず…ごめんなルイン、宿探しがまだなんだ」
ルインは首を横に振る。
「無理して喋る必要は無いからな。あーでももう少し此方に寄ってくれるか?」
トコトコと1歩後ろに距離を詰める。
「いちいち可愛いなっ!」
照れているのか浅黒い肌が熱を帯びる様に赤らむ。
本当もう可愛いなっ!
「ドラゴンの看板の宿屋探してるんだけど…見当たらないんだよなぁ…あ、ルイン、後で仲間を紹介するな」
頷きながらルインが指を指す。
「ん?あれは…やっぱこれってドラゴンなの?」
ルインが頷く。
竜の足下にすら及ばない下級竜種の看板。
「まぁ良いか…行くよ」
カランカランッと扉のベルが鳴る。
「いらっしゃいませー!」
少しそばかすのある女性が明るく出迎えてくれる。
「お二人様ですか?あ…奴隷を連れて居ますと相部屋のみになります」
「あぁ…それじゃ相部屋をお願いします」
「はい、お二人で1泊1万8000ネル、朝夕にお食事が付きます。」
「あ、それじゃあ直ぐ夕食頂いて良いですか?」
「畏まりました、3階の307号室になります。直ぐにご用意しますので部屋にお荷物を置いてからまた此方にお戻り下さい」
「分かりましたルイン、先に階段上がって」
「?」
部屋に入るとそこそこ広く、大きなベッドが1つあった。
ベッドの前に小さめのテーブルと椅子も2脚ある。トイレも備え付けであり、少し狭いが風呂もある。
見慣れた風呂の形だが全く使い方が分からない。
「先に見せとくか」
ルインをベッドに座らせ目の前に立つ。
「驚くなよぉ?」
金色の瞳でじっと見つめられる。
「黒く赤く…その身に力を宿し顕現せよ!ヤトーーーー!」
圧倒的厨ニ感を宿し、顔を真っ赤にしながら拳を掲げる。
「ピイィーーー!」
目を見開きながらルインは拍手をしてくれる。
「くっ…殺せっ!どんな辱しめを受けようとも…!」
「ピイィ!」
ヤトが首に巻き付き頬刷りをする。ルインは心配そうにこちらを覗きこんでくる。
気を取り直して。
「ルイン、龍を見るのは初めて…だよね?コイツはヤト、これから一緒に行動する仲間だからな」
「ピィッ」
っとルインの胸元へ。
ルインはヤトの首とお腹を優しく撫でている。ピィピィッとヤトもご満悦様だ。
「よし、ヤトー戻れっ」
「ピィッ!」
無限の紋様にヤトを戻し部屋を出る。
階段を下り、食堂へ案内される。
既に料理は用意されている。
「ごゆっくどうぞ」
湯気の立つ、ビーフシチューの様な深めのお皿に入った物。それにパンが2つずつ。
「んじゃ食べよう」
席に着く。と、ルインがお皿を床に移す。
「なっ!ルイン!なにしてんだよ!」
声を張り上げてしまった。ルインは不思議そうな、困惑の表情を浮かべている。
「テーブルに皿を戻すんだ…これから食事の時は一緒のテーブルで食べよう」
少し目を潤ませてルインが席に着く。
恐らく身分差。こっちじゃ普通なんだろう。それでも
「ごめん、怒ってる訳じゃ無いんだ…只、俺が嫌なだけ…だから一緒に食べよう」
安堵の微笑みがルインに浮かぶ。
「ん、それじゃあ…いただきます」
ルインも釣られる様に手を合わせる。
「うまっ!うっま!」
空腹も手伝ってか美味しく頂いた。味は完全にビーフシチュー、しかし肉が旨かった。パンも柔らかく、すぐに無くなってしまう。
ニコニコとルイン嬉しそうなので満足しながらルインを見つめる。可愛い…。するとルインがおずおずとまだシチュー残った皿を差し出してくる。
「違うから!違うから!」
そんなに物欲しそうに見えたのだろうか?少し戸惑いながらルインも食事を食べ終わった。
「ごちそうさまでした。ところでお風呂ってどうやって使うんですか?」
片付けをするさっきの女性に声を掛ける。
「はい、別料金になりますが1万ネルで1回分のお湯を放出する魔石を貸し出ししておりますご利用されますか?」
高い…がいい加減拭うだけじゃ気持ち悪い。
「んじゃお願いします」
「はい、直ぐに用意しますね」
小さな石鹸と石が2つ入った桶を受け取る。
石と石を合わせれば自動でお湯を貼るそうだ。
部屋へ戻り、お湯をはる。一方の石から水が溢れだし、もう一方の石からは熱を発する。こんな仕組みなのか…。
ベッドルームへ戻るとルインがベッドに座って居たので横に座る。
ルインと目が合い、じっと見つめ合う。するとルインの肩が震え、そっと目を閉じる。
「違うから!」
心臓がバクバクする。震えていた、突然見知らぬ男に連れて来られたら不安も恐怖もあるだろう。なんとも言えない空気になり、ヤトを喚ぶ。そしてイベントリから至高の実を3つ取り出す。
「ピィッ!ピイィ!」
早速ヤトが勢いよく食べ始める。
「ん、デザート。美味しいから食べてみて」
自分も実をかじりながらルインに渡す。
恐る恐る口を付けると目を見開き一気に食べ終える。
「ハハッ、気に入ってくれたみたいだな」
思わずポンッとルインの頭を撫でる。さらさらの絹の様な感触。
「そろそろ風呂溜まるけど先に入る?」
首を横に振ったので先に風呂場へ向かう。
服を脱ぎ、石鹸を使って体を洗う。替えのあるのが下着だけになっていたので洗濯も済ませる。湯加減も調度良い。
「ぷあぁーーー!」
湯に浸かり、気分は極楽極楽。
「やっぱ風呂だよなー」
パタン。扉の閉まる音が聞こえる。そしてガラッと浴室の扉が開かれる。
「ブフォッ!ル、ルイン?!」
一糸纏わぬその美しい姿を隠そうともせずにルインが表れる。
何も言わず浴槽へ這入ってくる。
この狭き戦場に闘いの火蓋が切って落とされる。
全て。全てが眼球に焼き付く。
「ルイン…?」
じっと見つめられる。
理性を保ち、必死に本能に抗う。
「あっくっルインっ」
驚く程キメ細やかなルインの手に触れられる。熱く燃えたぎる男の部分を。辿々しいが丁寧に大切な物を扱う様に。
「ルイン!ちょっ!」
果てる。驚く程早く。引くほど止めどなく。
「ッッハッハッ!ルイン…何を…!」
「………」
何も言わずルインは浴室を後にする。
「くっ…反則だろう…」
VSルイン結果は完敗。
浴室を出てベッドルームへ。
「ルイン…ありがとう?」
優しい笑顔が返ってくる。
「もう寝ようか」
ルインが床に寝ようとするのを止めて一緒のベッドで寝る。
体は熱く、少し寝苦しかったが直ぐに深い眠りに落ちた。
溜まってる…ってやつなのかな?




