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第6話 『紅蓮に染まる重戦車』

ご覧いただきありがとうございます!




本作は、名前と使命以外の何もかもを忘れたの電脳戦士と普通の高校生が「二人で一つ」になって戦う、王道特撮リスペクトのSFバトルアクションです!




巨大化変身、武装、合体など、僕たちがあの頃夢見たロマンをこれでもかと詰め込んでお届けします。




それでは第6話『紅蓮に染まる重戦車』お楽しみください!


「ハァァァァッ!」

 合体を果たしたユナイトが、赤黒い質量空間を力技で引き裂きながら地を蹴った。

 超質量の拳が、アンキローダーの眉間へ向けて炸裂する。

 


 ドォォォン!!



 大気を震わせる衝撃波。重装甲のユナイトによる渾身の一撃は、さしもの『歩く要塞』をも大きく仰け反らせ、その巨躯を数メートル後退させた。


 いける――!


 勇樹とユナイトの脳裏に、確かな手応えが走る。

 しかし、未来の侵略者は甘くなかった。

 姿勢を崩したアンキローダーだったが、低く唸り声を上げると、即座にその太い尾を限界まで引き絞った。先端の巨大な鉄球ハンマーに、油圧のバグデータが超高圧でチャージされていく。



グルァァァァッ!!



「しまっ――」


 凄まじい風切り音と共に放たれたのは、空間ごと標的を粉砕する『クラッシュ・テイル』。

 防御の姿勢を取る間もなく、ユナイトの脇腹へメガトン級の鉄球が直撃した。



 ドガァァァァァン!!!!



『がはっ……!?』

「うわあああッ!」


 ユナイトの巨体が弾丸のように吹き飛ぶ。そのまま建設途中の高架橋の鉄骨を何本もヘし折り、背後のコンクリートビルへと背中から激しく叩きつけられた。

 ガラガラと音を立ててビルが崩落し、大量の瓦礫がユナイトの身体を容赦なく埋め尽くしていく。



 ピピッ、ピピッ、ピピッ――!



 真守の手元に残されたスマホの画面が、血のような赤色に染まり、無機質なアラートを鳴らし響かせる。

『WARNING:侵食率50%を確認しました。電脳世界と現実世界との接続リンクが開始されます。』

「クソ……! 空間が物理的に破壊され始めてやがる……!」


 現場へとようやく追いついた真守が、崩れゆくビルを見上げて忌々しげに吐き捨てた。侵食率が50%を超えたことで、世界の裏側にいたはずの怪獣の質量が、本格的に現実世界へ染み出し始めている。タイムリミットは、もう目の前だった。


「すごい……ビルがまるでおもちゃみたいに崩れていく。こんな現象、現代の科学のどこを探しても載っていませんね……」

 真守のすぐ後ろ、息一つ切らさずに追いついてきた彗香が、感嘆したように呟いた。


(ユナイトのエネルギー残量、甘く見積もって40前後ってとこかしら。新フォームのプロトタイプを実戦投入せざるを得ない状況――すべて、計算通りね)


「吉良、危ないから下がってろ!」

「キャッ… ――」


 真守は彗香を背に庇うように一歩前に出ると、人差し指の『ハックサック』をアンキローダーへと向けた。



パチチッ!



青い電子の火花が爆ぜ、一本の『銃口』が形成される。


「――、JACK MODE(ジャックモード)起動」


 真守がホログラムキーボードを左手で超高速タイピングし、昨日解析したばかりのバグラウンドの消滅データを引き出す。


「勇樹! ユナイト! そのまま潰れてるタマじゃないだろ! 新コードを叩き込む、受け取れッ!」


 真守は銃口(指先)をビルを埋め尽くす瓦礫の山へと向け、トリガーを引くように親指を振り下ろした。


「――コード・インジェクション!!」



 バシュゥゥゥゥウン!!



ハックサックの銃口から眩い紅蓮の光弾が撃ち出された。光の弾丸はアンキローダーの威嚇をすり抜け、瓦礫の隙間で押し潰されていたユナイトへと正確にジャックインされる。


 その瞬間、崩落したビルが内側から爆発したかのように、凄まじい高熱の波動が周囲の瓦礫を消し飛ばした。



『FORM CHANGE:U-B-K-A(Unite-Bg-Knight-Aggressive)』


『BOOT: The Wild Charge of My Fist』



『おおッ!燃えてきたぞおぉぉぉッ!!!』


 炎のような紅(くれない)の光の中から、地鳴りのような咆咆が響き渡る。ベースの黒いボディが内側からの高熱で燃えるような赤へと染まり、シルエットが一回り大きなマッシブへと変貌した姿。 キックを封印し、純粋な超パワーのみで全てをねじ伏せる重装甲格闘型――ユナイト・アグレッシブが、今ここに覚醒した。




*




グルァッ!?



 アンキローダーがその変化に本能的な脅威を感じ、さらに『質量増加』の重力を極限まで引き上げる。周囲のコンクリートがメキメキと陥没し、空間そのものが自重で歪んでいくほどの超重力。

 だが、アグレッシブフォームとなったユナイトは、重厚な足音を響かせ、その重力障壁を正面から力技で踏み砕いて前進した。


『重いデータなら、こっちの質量で踏み潰すだけだ! 行くぞ、勇樹!』

「応ッ!!」


 ユナイトは真っ赤に燃え盛る巨大な拳を突き出し、アンキローダーの顔面に強烈なアッパーカットを叩き込んだ。



 ドゴォォォン!!



凄まじい衝撃波が走り、ビルほどの巨躯を持つ怪獣の頭部が大きく跳ね上がる。間髪入れず、ユナイトは怪獣の懐へと踏み込み、左右のショートフックを肉厚な皮膚へと叩き込んだ。重低音の打撃音が連続して響き渡る。慌てた怪獣が体勢を立て直し、再び巨大な鉄球ハンマー『クラッシュ・テイル』を猛スピードで振り下ろした。迎撃するユナイトは、それを避けない。


『ハァッ!!』


真っ赤に熱を帯びた両腕をクロスし、迫り来る鉄球を正面からガッチリ受け止めた。



ガシィィィン!



激しい電子火花が四方に飛び散り、周囲のコンクリートを焦がすが、ユナイトの頑強な重装甲はビクともしない。


『ほう、なかなかガッツのあるやつですね。あの質量を真っ向から受け止めるとは』


彗香のインカムから、遠隔で監視していた漆原の驚愕の声が漏れる。彗香自身も、カメラを構えたまま「へえ……すごい出力……」と小さく目を見張った。


『これで、終わりだぁぁぁッ!!!』


ユナイトは受け止めた鉄球を力任せに引き剥がし、怪獣の無防備な胸元へと肉薄した。勇樹とユナイトの叫びが完全に重なり、拳に紅蓮の爆炎が宿る。

 その瞬間、世界から一切の色彩が消え去った。

 現実の景色が急激に反転し、周囲が緑色の文字列とデジタルグリッドが無限に広がる『マトリックス(電脳データ)空間』へと変貌していく。敵の油圧式装甲も、周囲の瓦礫も、すべてが純粋なプログラムの配列として剥き出しになる。



『「必殺――『レジーナ・ラッシュ』!!!!」』



ドカァン!!



 一撃目のストレートが怪獣の胸板を抉る。



パキィン!



その凄まじい衝撃波の風圧によって、マトリックス空間の虚空へガラスのようなひびが入った。



 ドカカカカカカカカァン!!!!



 目にも留まらぬ、超連続拳撃。一撃ごとに大爆発を引き起こすプログラミング拳が叩き込まれるたび、空間のひび割れは蜘蛛の巣のように四方八方へと激しく広がっていく。

 どれほど頑丈な油圧式装甲だろうと、それを上回る圧倒的なパワーの連打の前には無意味だった。怪獣の自慢の装甲が粉々に弾け飛び、世界の構造そのものが拳の威力に耐えかねて悲鳴を上げる。



グ、ガァァァァァァ……ッ!?!?



そして放たれた、最後の一大ストレート。



ドゴォォォォォン!!!



怪獣の腹部にあるデータ・コアを拳が完全に撃ち抜いた。 



――パリィィィィィィィン!!!!



刹那、世界を覆うマトリックス空間が限界を迎えて木っ端微塵に砕け散る!

 電脳世界の崩壊はそのまま、現実世界の空間へとリンクした。

 アンローダーが光の粒子となって爆散、完全消去(デリート)されるのと同時に、勇樹たちの目の前にある「現実の空気」そのものに、まるで鏡が割れたかのような巨大なひびが「メキメキメキッ!」と走り抜けたのだ。現実と電脳世界の境界が完全に歪んだ、あまりにも凄まじい激突の余波。

 だが、直後に世界の『自動復元プログラム』が緊急起動した。

 へし折れた高架橋の鉄骨、粉々に砕け散ったビル、そして空間に刻まれた大きなひび割れすらも、ビデオの逆再生のように瞬時に元の綺麗な姿へと完璧に修復されていく。スマホの画面に表示された侵食率は、一気に『0%』へと引き下げられた。


「ふぅ……。なんとかなったな……」


変身を解除し、ヘトヘトになって戻ってきた勇樹。真守が「お疲れ、勇樹。完璧な初陣だったな」と不敵に笑う。日常の景色へと戻った建設現場で、二人が勝利のハイタッチを交わしようとした、その時だった。



パチ,パチ,パチ、



「本当に、素晴らしいものを見せていただきました。二人ともお疲れ様です。」


静かな拍手を送りながら、彗香が二人に歩み寄ってくる。その顔には、先ほどまでの知的好奇心に溢れた少女の表情は、もうなかった。どこかはにかむような、けれど底知れない甘さと冷たさを孕んだ『含みのある笑顔』。



―― 西川くん、木下くん。……あなたたちは、どうしてそこまでして、その怪獣を倒すの? ――



静かな声が、平穏を取り戻した戦場に、冷たく響き渡った。

第6話をお読みいただき、本当にありがとうございました!


 アグレッシブの必殺技『レジーナ・ラッシュ』の空間ごと叩き割る演出、書いていてめっちゃ興奮しました。電脳世界のマトリックス空間が割れて、現実の空気までメキメキとひび割れていくシーンがアニメ好きにはたまりません!!



 激戦を終えたのも束の間、ラストは吉良彗香が「なぜ怪獣を倒すの?」と不穏な笑みで問いかけてきます。次回第7話、彼女の口から語られる「正義の矛盾」と冷酷な精神攻撃に、勇樹たちはどう立ち向かうのか……



「新フォームカッコいい!」「格闘バトル熱い!」と思ってくださった方は、ぜひ【ブックマーク】や【評価(☆マーク)】での応援をよろしくお願いいたします!

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