第4話 『炸裂!ユニオンビーム!!』
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本作は、名前と使命以外の何もかもを忘れたの電脳戦士と普通の高校生が「二人で一つ」になって戦う、王道特撮リスペクトのSFバトルアクションです!
巨大化変身、武装、合体など、僕たちがあの頃夢見たロマンをこれでもかと詰め込んでお届けします。
それでは、第4話『炸裂!ユニオンビーム!!』お楽しみください!
「なら、その瞬間に叩き落すだけだ!」
真っ暗になったスマホの画面を強く握り締め、俺が不敵に笑ってみせた、あの敗北の放課後から数日。 作戦会議の夜、真守の部屋は電子の要塞と化していた。
元々自作PCやオカルトデータの解析が趣味だった真守は、俺のスマホから抽出したユナイトの「残響データ」を前に、一睡もせずキーボードを叩き続けていた。
「いいか勇樹。あの日、お前のスマホが異常過熱して処理落ちした原因は単純なバッテリー切れだけじゃない。ユナイトの深層データに、現代のスマホのOSでは処理しきれない、巨大な『未知の暗号化領域』が存在するんだ」
真守が画面を指差す。そこには、赤く点滅する文字列があった。
『ERROR: UNKNOWN CODE [U-N-I-O-N]』
「今のスマホの画面タップじゃ、この領域にアクセスすらできない。だから、僕の指を『未来の規格』に同期させる」
真守が机の引き出しから取り出したのは、市販されているごく普通の、スマホゲーム用の黒い布製指サックだった。どこにでもある、ただの繊維の塊。
だが真守は、それを自作のICチップや電磁コイルが剥き出しになった奇妙な自作デバイスへ接続し、俺のスマホに残るエメラルドグリーンのノイズエネルギーを無理やりその指サックへと流し込み未来への同期始めたのだ。
バチバチッ!
火花が散り、布製の指サックが青白い光を帯びて変形していく。
「ハック、サック……。大先生ユナイトと一緒にお前のソフトウェアのコードを逆コンパイルして作った、電脳空間専用のインターフェースだ。これなら画面を介して、ユナイトの領域を直接書き換え(ハック)られる。――そんでもって、この暗号の奥で見つけたのが、これだ」
真守がエンターキーを叩くと、画面に眩い極大の波形データが映し出された。
「『U-N-I-O-N-BEAM』。二人の絆が最大値に達した時、胸のコアから放たれる最強の収束光線コードだ。」
「最強…」
『すごいな!真守!天才じゃないか!!』
真守はへへッと照れくさそうに頭をかく。このイケメン、本当に憎たらしい。
「……ただし、これを使うにはユナイトの出力を一時的に限界突破させる必要がある。だから、このハックサックにデータを弾丸として装填し、僕が直接ユナイトへ撃ち込む(ジャックインする)システムを構築した」
指先が銃口へと変形する『ジャックモード』。真守の執念が、ただの高校生を最前線の戦士へと変えた瞬間だった。
そして今。再び、街が闇に包まれる時が来た。
*
「勇樹、ターゲット接近! 侵食率、急速上昇中――現在45%!」
高層ビルが立ち並ぶ、現代の街並み。
昼間だというのに、頭上には光を完全に遮断する真っ黒な雨雲が渦巻いていた。
カミソリのように鋭い暴風がビルの隙間を吹き抜け、看板や信号機を激しくガタガタと揺らしている。
「真守、ガジェットの準備は!?」
「いつでもいける。僕たちの『ハックサック』の初陣だ、お前のせいで処理落ちなんてさせてたまるか」
隣を走る真守が、人差し指にあの黒い指サック――『ハックサック』をはめて、俺のスマホの画面に触れた。
瞬間、パチチと激しい電子の火花が走り、真守の手首から手甲、割れて浮き出た血管のように眩い水色の幾何学サイバーラインが一瞬で駆け巡った。
「システム起動、ハックモード(HACK MODE)!」
真守が指先を外側へ向けて大きくピンチアウトする。
スマホの液晶から光の粒子が飛び出し、空中に透過型の立体モニターとホログラムキーボードが何枚も鮮やかに展開された。スマホの裏側には、真守が用意した超大容量モバイルバッテリーと、けたたましく回転する冷却ファンが物理的に括り付けられ、凄まじい風切り音を立てている。
「ユナイトの深層データをハッキング完了。――よし、ユニオンビームのプロテクトをいつでも解除できるようにスタンバイした! だが、今の出力じゃ撃てない。まずは奴を下に引きずり落とすぞ!」
『ハハッ、有能な真守が相棒で助かるよ! いくぞ勇樹!』
スマホの中から、ユナイトの凛とした声が響く。
「応! コード:ユナイトッ!」
俺は暴風に向かって両手をX字にクロスし、右手を天へと大きく突き上げた。
『BOOT:戦闘プログラムを実行。現実世界へデータを転送します。』
激しいエメラルドグリーンの光がビル街の闇を裂き、俺の意識は上空へと実体化する。黒のボディに赤と青のライン、銀の装甲を纏った『絆の戦士ユナイト』が、大通りの真ん中に力強く踏み出された。
「はあああぁぁッ!!」
ユナイトの巨体が地面を蹴り、空中へ跳び上がる。
今回はスマホに頑強な充電ケーブルとファンが繋がったまま。現実世界の地上では、真守がその巨大なバッテリーを抱え、汗を垂らしメガネを歪ませながら、俺たちの三次元的な跳躍に合わせて大通りや路地裏を全力で並走していた。
「はぁ…はぁはぁ。そこだ、跳べ勇樹!!」
地上で真守の十本の指が、ホログラムキーボードを超高速で叩き、画面をフリックした。
バキィン!
その瞬間、はるか上空の空中、プテラノドン型怪獣の目前にガラスが固まる音を立てて六角形の『ハニカム型の足場』がリアルタイムで生成された。
「サンキュー、真守!!」
『ハァァァアッ!!』
空中に出現した電子の足場を、ユナイトの鉄脚が力強く爆砕する。
それを踏み台にしてさらに加速し、渦巻く嵐の中、逃げ回る翼竜型怪獣の懐へと肉薄した。
キィィァァァアッ!
怪獣が金切り声を上げ、カミソリのような鋭い爪を振り下ろしてくる。
ユナイトはビル壁を真横に蹴ってその一撃を空中スレスレで回避すると、跳躍の勢いを乗せた猛烈な空中回し蹴りのラッシュを繰り出した。
ドガッ! ドガァン!
ドガアアアアンッ!!!
一撃ごとに激しいデジタルノイズが飛び散り、怪獣の半透明な肉体をビル壁へと叩きつけていく。激突の衝撃で高層ビルのコンクリートが粉砕され、破片が雨のように降り注ぐ中、ユナイトの連撃が怪獣の体力をゴリゴリと削り取っていく。
だが、翼竜型怪獣も負けてはいない。
大きな翼を激しく羽ばたかせ、ユナイトを拒絶するような最大出力の暴風を至近距離から解き放った。
『ぐわああっ!?』
あまりの猛風に、ユナイトの巨体が空中へと押し戻される。
しかし、その暴風が激しく大気をかき乱した、まさにその刹那。
怪獣の背後、天を覆っていた真っ黒な雲が、自身の風圧によって一瞬だけ不自然に引き裂かれた。
雲の隙間から、一筋の強い『太陽の光』が地上へと真っ直ぐに差し込む。天然の最強の電磁波が、怪獣のデータ構造を強制的にかき乱す。
「今だ勇樹!! 奴の気流データが乱れた!!」
地上から真守の絶叫が響く。真守の指サックがホログラムのエンターキーを強く叩いた。
「新技の強化コードを構築完了! 撃ち込むぞ、受け取れぇぇーッ!!」
真守が人差し指を空へと向けた。ハックサックの先端が金属音を立てて変形し、SF映画のような『サイバー銃口』へと姿を変える。
――バシュゥゥン!
放たれた水色のデータ弾が夕空を一直線に貫き、ユナイトの胸のコアへと吸い込まれるように着弾した。
その瞬間、俺の瞳がエメラルドグリーンに、ユナイトのバイザーが鮮烈な水色に、ギラリと同時に輝き出す。二人の心が完全に一つに溶け合い、精神のシンクロ率が限界値を超えて120%へと跳ね上がった。
バチチチッ!
視界のすべてに激しい電子ノイズが走る。
一瞬にして周囲のビル街が消失した。一面に緑色のデジタルコードが上から下へと超高速で流れ続ける、純粋な電脳データの空間へと世界が完全に書き換わる。
その歪んだ空間の中心で、ユナイトは地に足をつけ、両腕を大きく広げた。全身のプラズマエネルギーが胸のコアへと一極に集中していく。銀の装甲の隙間から漏れていた水色の光が限界突破を起こし、周囲のデジタルコードを激しく巻き込みながら、渦を巻く巨大な光の球へと凝縮されていった。
――― 行くぞ、相棒!! ―――
『ACTION CHORD:U-N-I-O-N-BEAM(Unite-Network-Infinite-Output-Nexus)』
『BOOT: The Ultimate Ray of Our Bond』
『「必殺――ユニオンビームッ!!!!」』
放たれた水色の極大熱線が、空間のデータごと、急降下してきていた翼竜型怪獣を正面から完全に呑み込んだ。咆哮を上げる暇すら与えず、その肉体を内側のバグデータごと分子レベルで直接融解し、瞬く間に完全消去していく。
突き抜けた衝撃のあと、耳が痛くなるほどの静寂が訪れた。
サラサラとマトリックスのデータ空間が解けていき、現実の世界に引き戻される。一瞬、元のどんよりとした曇り空が視界に戻るが――その直後。
ビームが残した凄まじい熱量と圧倒的な余波によって、天を覆っていた黒雲が丸く巨大にブチ抜かれ、世界は一気に、眩しいほどの『晴天』へと生まれ変わった。
*
粒子となって、俺の身体が誰もいない大通りのアスファルトへと静かに着地した。
砕け散ったビルも窓ガラスも、世界の復元プログラムによって、まるで最初から何もなかったかのように元通りに修復されていく。
「はぁ、はぁ……、やった、な……」
巨大なバッテリーを抱え、息を完全に切らした真守が、泥だらけになりながらもニヤリと笑った。ハックサックの回路ラインが、静かに消えていく。
「ああ、お前のサポートのおかげだ、真守」
俺が真守と拳を突き合わせた、その時だった。
――― ゾブァッ… ―――
背筋に刺すような冷たい戦慄が走った。
周囲の空間が、ジリジリと陽炎のように歪み始めている。
「なんか、すっげー熱くないか?」
「――っ? 勇樹、まだ終わってない……波形が、赤い!?」
真守がスマホを見て目を見開いた。
俺たちが弾かれたように顔を上げると、はるか遠く、一番高いビルの屋上から、俺たちを静かに見下ろす影があった。
『ムム…よく見えないな』
ユナイトがユナイトサーチで調べるがその姿ははっきりとは見えない。
そこにいるのは、周囲のコンクリートをドロドロに溶かすほどの、紅蓮の炎を纏ったライオン型の電脳怪獣。
怪獣の凶悪な背の上には、俺たちと同じ学校の制服を着た、見見知らぬ黒髪の女の子が乗っていた。 女の子は、手にした『レトロなカメラ』のレンズをこちらへ向け、カシャリ、と冷たいシャッター音を響かせる。
彼女の隣には、高級な黒スーツに身を包んだ、190cmはあろうかという巨漢の男が、感情を一切失った目で仁王立ちしていた。
「……お嬢。あの者たちが、未来を脅かす新たな『戦士』ですか」
「そうよ、巌。……カメラ映りもばっちり。戻りましょう」
女の子――吉良彗香がはにかむような、しかし底冷えする笑顔でレンズから目を離す。
次の瞬間、ライオン怪獣と制服の少女、それと黒スーツの巨漢『漆原巌』は、爆発する炎のノイズと共に、夕空の闇へと完全に掻き消えていった。
「あいつら……一体、何者なんだ……」
青空が戻った現代の街の裏側で、さらに巨大で、過酷な『波乱』の幕が上がろうとしていた。
第4話を読んでいただきありがとうございます。
真守のサポートによって、見事エアフロイズを完全消去したユナイト!
世界の修復プログラムによって街に平穏は戻りましたが……ラスト、ビルの屋上から彼らを見下ろす視線が。同じ制服を着た少女・吉良彗香と、黒スーツの巨漢・漆原巌。そして、周囲をドロドロに溶かす紅蓮のライオン型電脳怪獣……
最高の勝利の直後に現れた、現代に潜む未来の侵略者たち。彼らの登場によって、勇樹たちの日常はさらなる激動へと巻き込まれていきます!
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