第2話 『爆誕・絆の戦士ユナイト』
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本作は、名前と使命以外の何もかもを忘れたの電脳戦士と普通の高校生が「二人で一つ」になって戦う、王道特撮リスペクトのSFバトルアクションです!
巨大化変身、武装、合体など、僕たちがあの頃夢見たロマンをこれでもかと詰め込んでお届けします。
それでは、第2話『第二話 爆誕・絆の戦士ユナイト』お楽しみください!
ドクン
俺の心臓が、自分のではない「もう一つの鼓動」と完全に重なった。
「勇樹が……消えた……!? いや、ユナイトの中に……!」
教室に取り残された真守の驚愕の声が、なぜか遠く離れた俺の耳にハッキリと届く。
目を開けると、そこは一面が漆黒の、デジタル化された宇宙空間だった。
足元にはホログラムのグリッド線が広がり、頭上には星の代わりに膨大な「0」と「1」のデータストリームが銀河のように渦巻いている。
その中心に、画面の向こうにいたはずの戦士――ユナイトが立っていた。
『お待たせ相棒! さあ、手を伸ばして。一緒に世界を救おうか!』
ボロボロだったはずの彼は、いつもの気さくな笑みを浮かべて、俺に向かって右手を差し伸べていた。
「ああ……! いくぞ、ユナイト!」
俺がその手を強く握り締めた瞬間、データ宇宙をシステムログが高速で駆け抜けた。
『FORM CHANGE:YOUR-KNIGHT』
『ALL SYSTEM:GREEN』
――ピキィィィィン!!――
激しい光のエフェクトと共に、ユナイトの姿が一変していく。
シンプルな銀と青だったカラーリングは、夜の闇を溶かしたような漆黒のボディへと変わり、そこへ燃えるような赤と、静かなる青のラインが走る。全身を覆うのは、さらに鋭利で重厚になった銀の装甲。 そして何より、装甲の隙間という隙間から、濁流のような水色の電磁エネルギーが、バチバチと火花を散らしながら眩しく漏れ出していた。
『これが君の『勇気』と同調した、私たちの本当の姿だ!』
重低音を響かせるユナイトの声。
『BOOT:戦闘プログラムを実行。現実世界へデータを転送します。』
次の瞬間、俺たちの意識は完全に一つになり、現実世界で力強く立ち上がった。
*
『凄まじいパワーだ!!』
「すげえ……力が溢れてくる!」
俺が宇宙空間で右足を一歩踏み出すと、数十メートルの巨人――絆の戦士も全く同じタイミングで地面を爆砕した。
突進してくるトカゲ型怪獣の顎へ、烈烈なカウンターのローキック。
ズガァァン!
肉厚な金属皮膚を凹ませ、怪獣の巨体を一撃でひるませる。
いける。この力なら、勝てる!
――だが、調子に乗ったのは数秒の間だけだった。
「う、ぐあ……っ!? なんだ、これ……!」
突然、激しい目眩が俺の脳を襲った。
無機質な宇宙空間の風景と、ユナイトが見ている「数十メートルの高高度から見下ろす街の風景」という、体験したことのない2つの異なる視界がダイレクトに重なり合って高速で点滅し始めたのだ。
遠近感が狂い、上下左右が反転するような凄まじい脳の揺さぶり。
数万トンの質量のズレに、俺の精神が悲鳴を上げる。
『勇樹、持ちこたえろ! 今、君は現実世界と、電脳世界、両方の情報をその脳で処理している。負荷もハンパないだろう!』
「くそっ、前が、よく見えねえ……!」
よろけるユナイト。その隙を、怪獣が見逃すはずもなかった。
容赦なく振るわれた巨大な尾が、ユナイトの胸部を真横から強打する。
ドガアアアアン!
激しい衝撃波と共にユナイトの巨体がビルに叩きつけられ、胸のランプが警告の赤色へと点滅を始めた。防戦一方の、最悪の窮地。
その時、粉々に割れた教室の窓から、真守の必死な絶叫が響いた。
「勇樹!ユナイト!! 怯むな!! ネットの都市伝説を思い出せ! 奴ら電脳バグは、体内に溜め込んだエネルギーを貯める胃袋…つまり、『腹のコア』が唯一の弱点のはずだ! 腹を狙えぇぇーーッ!!」
肺が破れんばかりの、真守の魂のナビゲーション。
その言葉が、混濁する俺の意識をパッと繋ぎ止めた。
「真守……! よし、ユナイト!」
『合点承知! ユナイトサーチッ!!』
『BOOT:YUNAITO-SEARCH』
黄色い複眼が鋭く光り赤外線モードへと切り替わった。怪獣の腹部をスキャンすると、そこには真守の言う通り、激しく拍動する巨大なエネルギーの塊が赤く浮かび上がっていた。
『まずはその大振りの尻尾を止めさせてもらうッ!』
怪獣が再び凶悪な尾を激しくしならせ、俺たちの頭上めがけて振り下ろしてくる。
先ほどなら目眩のせいで直撃していただろう。
だが、今の俺たちには敵の動きが手に取るように見えた。
ユナイトの巨体が、極限のスピードでバックステップを踏む。
直撃を紙一重でかわした瞬間、尾が地面を叩きつけて激しい爆煙が上がった。その爆煙を乱暴に切り裂きながら、俺たちは怪獣の懐へと一気に跳び込む。
「はあああぁぁッ!!」
俺が宇宙空間で右足を鋭く一閃すると同時に、絆の巨人の右脚が、超高熱の水色プラズマを纏って爆発的に駆動した。
ズガァァァァンッ!!!
怪獣の左膝へ、容赦のない後ろ飛び蹴りが直撃する。
強烈な衝撃波とともに怪獣の巨体が大きく傾ぎ、金属質の皮膚にピキピキと無数の亀裂が走った。
「まだまだぁッ! ユナイト、次だ!」
『オッケー相棒、コンビネーションといこう!』
咆哮を上げて噛みついてくる怪獣の顎を、鋭いバク転でかわす。
そこからすかさず、軸足に全ての質量を乗せた、怒濤の連続回し蹴りを怪獣の側頭部へと叩き込んだ。
ドガッ! ドガァン!
ドガアアアアンッ!!!
一撃ごとに火花とデジタルノイズが激しく散り、怪獣の体力がみるみる削られていく。
完全に動きを止め、その場に膝をつく怪獣。
激しい息の荒さに合わせて、奴の腹部のコアが、過負荷により真っ赤な光を限界まで放ち始めた。
「ユナイト、今だ! 最大出力でぶち抜くぞ!」
『いつでもいけるよ、勇樹。――さあ、全力の絆を刻もうじゃないか!!!」
―――ターゲット、ロックオン―――
ここから、俺たちの反撃の時間だ。
その瞬間、俺の瞳が黄色に、そして巨大なユナイトの複眼が鮮烈な水色に、同時にギラリと輝いた。
二人の心が完全に一つに溶け合い、精神のシンクロ率が限界値を超えて120%へと跳ね上がる。
バチィチチッ!
視界のすべてに激しい電子ノイズが走った。
「――っ!?」
息を呑んだ次の瞬間には、周囲の風景が一変していた。夕暮れの教室も、茜色に染まった街並みも一瞬にして消失する。代わりに広がったのは、一面に緑色のデジタルコードが上から下へと超高速で流れ続ける、純粋な電脳データの空間。マトリックスのただ中に放り込まれたかのような、果てのない仮想世界。 その歪んだ世界の中心で、ユナイトの漆黒の巨体が滑らかに深く沈み込んだ。
両手と片膝を地面につけ、爆発的な推進力を一極に溜める――
『クラウチングスタート』の構え。
全身の銀の装甲の隙間から、水色のプラズマエネルギーが過負荷を起こして激しく吹き出す。その凄まじい熱量に耐えかねるように、ユナイトの巨体の輪郭そのものが、バチバチと光の粒子へとフェーズ転換を始めていった。
――行くぞ、相棒――
示し合わせたわけでもないのに、俺とユナイトの声が完全に重なり、デジタル宇宙を震撼させた。
『「――プラズマダッシュッ!!!」』
地面を、空間のデータそのものを爆砕して飛び出す。
その刹那、ユナイトの巨体はもはや物質としての形を留めていなかった。一本の、巨大で、圧倒的な『水色の光の矢』へと姿を変え、音速の壁を置き去りにして空間を一直線に奔る。
ズガァァァァァァンッ!!!!
閃光となった俺たちは、トカゲ型怪獣の腹部のコアを、正面から寸分の狂いもなく完全に撃ち抜いた。 突き抜けた衝撃のあと、耳が痛くなるほどの静寂が訪れる。
――バキィン!
世界そのものにガラスのようなひび割れが走った。
緑色のデータ空間がサラサラと砂のように解けていき、元の夕暮れの教室、元の夕闇の街の風景へと、世界が現実の重力を取り戻していく。
俺たちの遥か背後で、腹に巨大な風穴を開けられた怪獣が、苦悶の咆哮を上げる間もなかった。
巨体がみるみるうちに緑色のデジタル粒子へと分解され、シュアァァ……と霧のように空中へ消え去っていく。
――勝った…――
静まり返った夕暮れの街で、俺たちは静かに立ち上がった。
ふと見上げると、怪獣の爪痕でえぐれていた校舎の屋上や、粉々に割れていた窓ガラスが、まるでビデオを逆再生するように不自然に『修復』されていく。
「……現実が、戻っていくのか?」
『電脳怪獣を消去したからね。世界の復元プログラムが働いたのさ。――お疲れ様、勇樹。真守もサポートありがとう。最高の『絆』だったよ』
頭の中に響くユナイトの声は、いつもの気さくなお兄さんのトーンに戻っていた。
光の粒子に包まれながら、俺の身体が教室の床へと静かに着地する。
「勇樹!! お前、お前マジでヒーローになっちまったな!!」
真守が興奮を爆発させながら、俺の肩を激しく揺さぶってきた。
机の上にポツンと残されていた俺のスマホを取り上げると、画面の中のユナイトが、親指を立ててウィンクしてみせる。
『これからもよろしく、私の相棒。……おっと、激しく戦いすぎて、普通のスマホのバッテリーが残り2%だ。私は一度眠らせてもらうよ、じゃあね!』
プツン……
画面が真っ暗になる。
「あ、おいユナイト!?」
「消えちゃった…」
嵐のような放課後が去り、静まり返った教室に、夕日がいつも通りに差し込んでいた。
俺と真守は顔を見合わせ、それから、真っ暗になったスマホの画面をじっと見つめた。
俺たちの、誰も知らない戦いは、まだ始まったばかりだ。
第2話をお読みいただきありがとうございました!
勇樹とユナイトの真の姿『YOUR-KNIGHT』、そして必殺の『プラズマダッシュ』、いかがでしたでしょうか!真守のナイスアシストのおかげで、初戦をなんとか突破することができました。
しかし、ラストで発覚した「スマホのバッテリー残量=活動限界」なんともリアルな問題……w!
次回、この弱点が早くも勇樹たちを大ピンチに陥れることに!?
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