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国なんて知ったこっちゃない、俺に大事なのは嫁だけだ  作者: 七風


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16/33

この屋敷 居心地いいにゃ~

### サイド猫 猫は見た!


私はエリザベス。


この屋敷で暮らしている。


猫型の魔獣らしい。


まあ、どうでもいい。


人間の言葉は分かる。


でも、人間には教えていない。


「にゃー」と鳴いていれば、可愛い猫だと思ってもらえる。


そのほうが楽だ。


今日もマリーちゃんの膝の上。


「エリザベス、今日も可愛いですね」


撫でられる。


頭。


首。


背中。


また頭。


……多い。


ちょっと多い。


でも。


「ふふっ」


マリーちゃんが嬉しそう。


……まあ、いいか。


私は目を閉じる。


ちょっとだけ嬉しい。


そこへ旦那が来た。


「お、エリザベス。今日もマリアンヌに甘えてるのか?」


「にゃー」


旦那が笑う。


この人も悪くない。


何しろ。


「そういえば、試作品ができたんだよな」


旦那の手にある袋。


(にゃーる)


猫用のおやつ。


美味しい。


とても美味しい。


「少しだけな」


旦那が開けてくれる。


私は舐める。


(うまい)


もっと。


「今日はこれだけ」


……少ない。


「にゃー……」


駄目らしい。


仕方ない。


あとで探そう。


この屋敷には、もう一ついい場所がある。


メイドたちの部屋。


「まあ、エリザベスちゃん」


「また来たの?」


「お菓子、少しだけですよ」


(ここはいい)


私は椅子の下で待つ。


お菓子が出てくる。


もらう。


食べる。


満足。


次も来よう。


そしてセバス。


この人間も面白い。


普段は真面目。


でも。


庭の隅。


誰もいない。


セバスが猫じゃらしを持っている。


「…………」


「にゃ?」


「少しだけですよ」


振る。


右。


左。


私は飛びつく。


楽しい。


セバスも楽しそう。


(セバス、隠れて遊ぶの好き)


まあいい。


夜になった。


屋敷が静かになる。


旦那も寝た。


マリーちゃんも寝た。


使用人も寝た。


私は廊下を歩く。


そして。


旦那の研究室。


扉の隙間から見える。


にゃーる。


(あった)


私は部屋に入る。


机の上。


届かない。


前足を伸ばす。


落とす。


床に落ちた。


音がする。


……まあいい。


袋をくわえる。


絨毯まで運ぶ。


ここなら静か。


袋を前足で押さえる。


噛む。


ビリッ。


開いた。


(よし)


ちゅ。


ちゅ。


ちゅ。


(うまい)


そのとき。


足音。


私は袋から離れる。


座る。


普通の猫になる。


扉が開いた。


「……ん?」


旦那だった。


「エリザベス?」


「にゃー」


旦那が床を見る。


空になった袋。


私を見る。


「…………」


私も見る。


「……お前、まさかな」


「にゃー」


首を傾げる。


「……気のせいか」


旦那は出ていった。


足音が遠ざかる。


私はしばらく待つ。


もう来ない。


(危なかった)


残ったにゃーるを舐める。


(うまい)


今日は満足。


明日もメイドのところへ行こう。


セバスとも遊ぼう。


マリーちゃんには撫でてもらおう。


旦那には、にゃーるをもっと作ってもらおう。


この屋敷。


結構いい。


私はエリザベス。


今日も猫として暮らしている。


――猫は見た!


……にゃーるも盗んだ。


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