第四十一話 チキン
この回は最終章一発目なので、まあ軽めに行きます。
約二週間が、アレから経過した。
街はクリスマスムード一色になっていた。
だがバイト民族の俺と夏菜にとって、クリスマスイブは戦場である。
理由は簡単だ、チキンが、だとか、ケーキのための牛乳だとか卵だとか……って、大忙しなのだ。
お盆の時も死ぬほど忙しかったが、クリスマスに関してはその比ではない。
しかも今日に関しては不運な事に、俺は12時から7時までのシフト……という、真面目に大忙しな時間帯な感じだ、せっせかせっせかと品出しをしなくてはいけないし、お客さんの対応もその都度しなくてはいけない。
夜7時になる頃には、俺はもう、クタクタだった。
まったく、事前に準備しとけよな……とは毎回思うんだけど、こればかりは仕方ない、天命だと受け入れよう。
俺は家に帰って晩飯を食った。
夏菜もバイトで大忙し、とは聞いているので、外寒い中で俺は牛丼屋で待ち合わせをする事にした。
ということで、夜9時。
俺と夏菜は牛丼屋に行って、店に入って牛丼を頼む。
「……どうだったよ、バイト。」
「疲れたよ、ホント……お客さんがいつもよりかはさ? 少なかったらしいからアレだったけど……ドライブスルー、あるじゃん? アレの対応が大変でさー……」
「だよなぁ……俺もだよ……俺はスーパーだからさ、アレだけどよ……桁が違いすぎたわ、今日に関しては……」
お互いに苦笑いしか浮かばない。
まあ……本当に、牛乳とか、卵とかはそうなんだけど、なぜチキンを買うんだろうな……と、俺はいつも思う。
どっかの漫画で読んだ、「クリスマス=ニワトリ大虐殺日」はあながち間違ってねえんだろうな……と。
その分、そのニワトリ様に感謝してみんな食うんだろうな、ともいつも思う。
けれど、チキン、という単語を思い浮かべた時、俺はふと思った。
俺自身のケジメがまだ済んでいないことに、俺は気付いた。
言うまでもなく、美空との関係を断ち切る事だ。
けれどそれは夏菜に言うことではない、俺自身の戦いだ。
過去に目を背ける臆病者じゃねえんだ、ちゃんと俺の口から別れを告げないといけないんだ、美空と、完全に。
と、ここで夏菜が。
「……かっちゃん?? どうしたの? 急に難しい顔してさ?」
「……いや、なんでもねえ。ああ、そういやあさ、初詣、一緒に行かねえか? スーパーが丁度正月さ、休みなんだよ。」
「えー? 急にクリスマスからお正月って、それなに?」
夏菜は満更でもなさそうな顔だったが、まあ、承諾はしてくれてるみたいだし、大丈夫か……という感じだ。
「そりゃあ、行くよ? でも今日はさ、クリスマスを楽しも?」
「……そうだな……そりゃあ、そうだよな。」
喧騒は店の中でもクリスマスムードに駆られて騒がしい。
でもその中でも俺たちは静かに、二人っきりのクリスマスデートを楽しんだのであった。
色々ゴタゴタが起こりますけど、最後はハッピーエンド的な感じで終われればいいかな、と思います、「ビタ恋」は。
なのでまあ、最後までお付き合いくださいませ。




