第三十四話 カミングアウト
早く落とし所を見つけたい、この物語の。
52話で終える予定だったけどもっと早く終わらせてもいいのかもしれない。
現在葛藤してます、沢城と同じようにwww
俺はある休日、バイト後に夏菜とデートに行くことになった。
流石に高校生の資金力なら遠出にはいけないので、普通に札幌の中心街に来ていた。
で、まあ久しぶりにロープウェイに乗ったわけだが……俺は夏菜に自分のことを打ち明けなければいけないと思っていた。
美空との関係を。
そして去年までの自分の体験と実情を。
「……夏菜……俺よぉ……お前に明かさなきゃいけねえこと……あるわ……」
「……? なに? 珍しいね、かっちゃんから話切り出すなんて。」
たしかに夏菜の言う通りだ。
話題を切り出すのは大抵夏菜からだから。
俺は正直トークは得意な方ではない。
自信を取り戻した夏菜が俺を引っ張ってくれているので、そこはぶっちゃけ助かっている。
俺も話を合わせられるし、いい具合に聞き役にもなれるから。
「………そういやあよ……俺のこと、お前に話してなかったよな……ワンチャン知ってるって思って言わなかったけどよ……」
「? 知ってるってなに??」
まあ、クラスは別だったし、知らなくても無理はないか、と思った俺は明かすことに一気に気持ちが傾いた。
「……俺は……いじめられてたんだよ……ずっとってワケじゃねえ、けれど……お前と付き合い始めてから………その夢ばかり見る……まるで俺を何処にも行くなって縛るように……罵声の嵐だよ、キモいだのクサイだの……しかもそのタイミングで美空だぜ? 幼馴染とはいえ顔も見たくねえ……」
「井浦さんと……幼馴染だったの?」
「ああ……ガキの頃から知ってるからな……クラスもほぼほぼ一緒だったし……」
「うん……しんどいよね……昔から知ってる子にそんなこと言われたら……」
「……あの学校は俺のことを知ってるやつが少ねえからいいけどよ……なんだかんだ、いい奴ばっかだしな……」
夏菜はどう思っているのかは俺はよく分からない。
同じ元ぼっち族だからこそ、俺たちは繋がれたのだとは思う。
でもそれであの悪夢が毎晩襲ってくるのだからたまったものじゃない。
過去から目を背けるな、と俺にメッセージを送っているような気もする。
本音で言えば、美空とは完全に手を切りたいという気持ちがある。
だがそれはアイツが許しはしないだろう。
「約束」を反故に俺がするのはアイツにとっては許し難いのかもしれないから。
「……かっちゃんはさ、自分で解決したい……って思ってる……?」
「……自分で解決出来る問題なら解決はしてえよ……けれど……和解しようって考えはねえよ……消せねえ記憶だからな……」
「私もさ、何ヶ月もかっちゃんと付き合ってきてさ……思ったんだ。……かっちゃんって、思ったより繊細なんだな、って……だから気にし過ぎなんだと思うよ? 私の知ってる限りでさ、誰よりも人のこと考えて行動してる人だから……傷付きやすいのは分かるよ? だから私でよかったら力になるよ? だってさ……かっちゃんが居なかったら今の私はないもん。」
なんと嬉しいことを言ってくれるのだろうか、俺の彼女は。
俺は不思議と泣いていた。
何故かは分からない。
もう、泣かないと決めていた俺の涙腺が一瞬で崩壊した。
俺は夏菜を彼女に選んで本当に良かった、そう心の底で思った。
「ちょっ……!! か、かっちゃん!? 大丈夫!? 私、なんか変なこと言った!?」
「わりい……なんでかわかんねーけど……嬉しくってよ……」
「もう……可愛いなあ、かっちゃん……」
「そりゃー……どうも……」
なんと言うのだろうか、俺は久しぶりに……誰かに本当の意味で心を許すことができたのかもしれない。
夏菜を一生懸けて大事にする、俺はそう誓った。
次回、桐ヶ谷さんと沢城の絡み。




