第二十九話 夏菜、積極性を出す
沙里奈のアドバイスを受けて、夏菜が動く。
最低評価食らってモチベーション低下なうなんですが、頑張ります。
ムカつくからこそ、俺の信念を貫くまでです。
翌日。
俺は昨日の渡辺との食事会のことを夏菜に聞くことにした。
「あのよー、夏菜……昨日渡辺とどんなこと話してたんだ?」
「えー? 別に大したこと話してないよー。かっちゃんのこと話しただけだよー?」
「そ……そうか……うん、それなら、いいんだよ……」
俺はどこか歯切れ悪い感じになった。
ホッとしたのが半分、ちょっと夏菜のことが気になっているのが半分。
「でさー……もっとさ、ギューッ……ってしていいのかな?」
「へ?」
突然何を言い出すんだ、夏菜は……と、思った矢先に俺の右腕に身体を押し寄せる。
「こーやったらさー……もっと恋人っぽくなるのかなー、って。」
ちょ、待て、胸が! 夏菜の隠れ巨乳のおっぱいが俺の腕に!!! いや、確かに恋人っぽくはなるけども!!!!
いや、側から見たら万歳なのかもしれないけど! 心の準備って意味で今は辞めてくれよ!!! 嬉しいけども!!
「……そう、だな……しばらくそうするか……」
「えー? かっちゃん歯切れ悪いな〜??」
満更でもないんだけど、すっげえ恥ずかしい……。
恋人ライフだからコレは宿命なのか……? 俺はそんなことを思いながら学校へ行く電車へと乗って行ったのだった。
「あいっかわらずラブラブだなー、沢城、お前〜〜。」
桜田が揶揄うように、俺の肩をツンツンと突いてくる。
まあ、何ヶ月も過ごして桜田の性格はおおよそ把握したので、今更悪い気はしない。
「……お陰様でなー……まだ手探りだけどよ。」
「そーは見えねーけど。」
「それが上手くいかねえんだよな。お察しの通り恋愛なんて全然わかんねーからさ、毎日が勉強になってるんだよな……」
「あんだけ仲良いのに!? わかんねーってどういうことだよ!?」
「まださ……キスとか行けてねえんだよ。お互い遠慮しちまってさ?」
「純情かよ、そんな見た目して!!」
「……悪いかよ……恥ずかしいだろ、誰が見てるか分からねーところで及べるかっての。」
「……まあ、性格上もあるのかもな。相性上はいいかもしれねーけどさ、沢城お前……今のままでいいのか?」
「……だよなあ……もうちょっと進展あった方がいいか……」
「おう、絶対そうするべきだわ。和吹さんも待ってんだろ、絶対そーゆーの。」
「そうだな……」
微妙な、煮え切らない関係だということを明かした俺は、少し気が楽になった感覚がしたのだった。
帰り道。
俺は夏菜と、ゲーセンで格ゲーをして遊んでいた。
遊びとはいえ、俺たちにとっては真剣勝負。
まあ、相も変わらず接戦で、互角なんだけども。
それが終わり、クッション椅子に座り、水を飲む。
「はー、楽しかったー♪」
……夏菜は何故か元気そうだった。
まあ、最近は入学式当初からは想像つかないほど明るくなっているのだが、本来の和吹夏菜はこんな感じだ。
人当たりが良く、明るい笑顔を見せる、そんな姿を。
……そう考えたら俺はちっとも変わってない。
これでいいのか、とは思ってしまうが、夏菜はそういう俺のことを好いてくれているのでしばらくはキャラ変しない方針で行きたいな、とは思ってもいるのだが。
「……お前、また腕上げたよな……」
「えー? かっちゃんも上手くなってるよ??」
「及びませんよー、和吹さんにはー。」
まあ、これもいつも通りになりつつある。
……マンネリやってても上手くいかないのは分かっちゃあ、いるのだけど、不器用な俺にはこれくらいしか思い浮かばない。
桜田みたいにもっと柔軟に考えられれば上手く行くのにな、とは思いつつ。
「……あのさ、かっちゃん……」
顔を赤らめた夏菜がこっちを見ている。
「な、なんだよ……」
俺がそう言った瞬間、俺は夏菜に後頭部を両手で掴まれた。
そしてあっという間に唇を奪われた。
まさかの形での2人での初キスだった。
「ん! んんん!!(ちょ! ちょい待て!!)」
俺がそう言うと、夏菜は満足したかのように口を離した。
かと思ったのだが……
「……もう我慢できない……♡」
夏菜の目はもう、完全にメスの目だった。
これには焦ってしまう。
「ちょ!! 待てってオイ!!! 待て、俺の方からも!!!」
そうは言ったのだが、めちゃくちゃ緊張する。
それもそうだ、こんな積極的になるとは予想外だったからだ。
俺は落ち着け、と言わんばかりに鼻で軽く息を吐く。
それでもってお互いに目を閉じ、キスを交わした。
その感想は、というと。
長い。
俺も興奮してくる。
でも柔らかい。
リップの味も……シトラスの味がして、脳内グチャグチャだった。
「……一歩前進……なのか……?」
俺は口を離した後、ボソッと一言呟いた。
「えへへ……そうだね、かっちゃん♡」
……まあ、夏菜がニコッと笑っているので正解なのだろうな。
だが夏菜がここで立ち上がり、俺に想いも寄らないことを言った。
「ウチ……来る?」
「へ? お、おう……」
夏菜ん家に入った俺は、いや、俺たちは、というべきか。
この後なんというか……まあ、そこは皆様のご想像にお任せするとしよう。
次回、ビターテイストパート。




