第二十八話 惚気
夏菜が今まで見せなかった表情を書きます。
この回は沙里奈視点でお送りします。
基本的に夏菜視点は無いですww
というわけで、私は夏菜ちゃんとスイーツ店に足を運ぶことになった。
甘いものが好きだと言う話は沢城くんから聞いていたのだが、こうも美味しそうに食べられるとなぁ……しかも速い。
ペースが掴めない。
私は話を切り出そうとした。
「夏菜ちゃんさぁ……最近沢城くんとはどうなの?」
「えー? うん、上手くはいってるよ?」
何か嬉しそうな顔だ。
よほど沢城くんのことが好きなんだろうな。
「あー、こんなこと言うのもなんだけど、沢城くんが悩んでそうな顔してたからさ、今日夏菜ちゃんから見てどうなのかなー、って思って誘ったんだけど……」
「そーかなー? かっちゃん、そんな感じには見えなかったよ?」
それじゃあ夏菜ちゃんと上手く行ってなくて悩んでるというわけではなさそうだ。
いや、夏菜ちゃんの顔の感じを見て上手く行ってないと判断するのはおかしいか。
「そっかー……じゃ、別のことなのかな? 私の思い違いだったらアレだしな……」
「かっちゃん優しいからねー……あんまりガツガツ来るタイプじゃないし。」
「沢城くんって意外とピュア……??」
「うんうん、ホントにカワイイの。冗談も真に受けちゃうタイプだし、ああ見えて。」
だんだんと夏菜ちゃんが饒舌になってきている。
沢城くんの好きなところだったらなんでも語り尽くせそうな感じだった。
隙あらば奪ってやろうと思っていた私が馬鹿だったということをまざまざと思い知らされた。
私は沢城くんのことを知らなさすぎる。
一緒にいるとそんな意外な顔まで知ってしまうのか、と考えると羨ましいなと思う。
私は交際の進展のほどを聞こうと思った。
「夏菜ちゃん、その……沢城くんとはどこまで行ってる?」
「? どこまでって??」
「へ? ああ、いや、その……き、キスとかさ、手を繋ぐとか……どこまでしたのかなー……って。」
夏菜ちゃんの天然っぷりに私は振り回される。
多分そこまで行ってないのかな、と。
まあ、付き合いたてだからそんなには……
「うーん……手は繋いでるし、一緒にも帰ったりしてるから……でもキスはまだ考えられて無いな……恥ずかしいし……」
「え、その誘いすらもないの!?」
「そーそー……お互い恥ずかしがって、なかなかそこまでいけなくてさー……」
「……喧嘩とかはなさそうだね。」
「うん、今のところはない。」
ホントに純真なんだろうな、と思った。
私は恋愛経験自体はないんだけど、仲を進展させなければ話にならないと思い、アドバイスをする。
「うーん……夏菜ちゃんに合うかどうかはわかんないけどさ、なんて言うんだべか……もっと積極的にいけばいいのかなー……って気はした。」
「? 私がもっとグイグイ行けばいいのかな、それって。」
「そー……だね、自分からキスして、とかって誘っちゃえば?? 多分本人も待ってるだろうし。」
「えーー?? ……うん、わかった。やってみる……ね?」
「うん、私も応援してるから、頑張りなよ?」
……こうやって受け止めてくれる人が、沢城くんには大事なんだろうな、と私は思った。
申し訳ないけど私には彼の全てを受け止められる自信は無い。
学級関係のことで一緒に仕事をし始めてからなんとなく思っていた。
沢城くんと夏菜ちゃん、2人ともどこか似ているって。
今の私では到底無理だな、と感じていた。
だからしばらく見守ろうと思う。
2人の「友達」として。
次回は夏菜がアドバイスを受けて一肌脱ぐ。




