第二十七話 恋のキューピッド、何故か沢城に……
ホントにドロドロ展開って、恋愛ものはあんまり人気がないらしいですね、見たくないもの見てるような感覚になるそうなので。
後半戦は夏菜以外のヒロインの視点からも心境を語って行こうかなー、と思ってます。
俺は夏菜と付き合い始めてから、自分に少し自信は持てるようにはなった。
電話しても楽しいし、勿論デートをしていても楽しいなと心の底で思える。
……まあ、夏菜も夏菜で、俺の前ではめちゃくちゃ奔放になるから振り回されることもあるんだけど、そんな夏菜も好きだ。
でも何故か「悪夢」だけは脳裏によぎる。
夏菜といることが人生で最も楽しいはずなのに、時折浮かぶのは忌まわしき記憶。
まるで、掴んで離さないかの如く、ずっと。
交際開始から1ヶ月が経過はしたのだが、どうしてもあの時の記憶だけは忘れられないでいた。
後期も委員長副委員長の関係になった俺と渡辺。
クラス配布の資料を運ぶ時に、渡辺と話す事になった。
「沢城君さー、夏菜ちゃんとお付き合い、始めたんでしょ?」
「ん? あ、ああ……」
歯切れが悪い。
考え事をしながらプリントを運んでいるが故か、あまり上手く行ってないように聴こえてしまう。
「そのー、さ。夏菜ちゃんと付き合ってみてどう??」
急に踏み込んでくるんだな、コイツ……。
まあ、答える義理は俺にはある、ちゃんと答えよう。
「なんか夏菜、吹っ切れたみたいでさ……あんな奔放なやつとは思わねえよ。でもそういうのもやっぱ可愛いな、って思うな……」
なんで人の事情にズカズカと踏み込んで来るんだ、渡辺は……まあ、それだけじゃない、桜田も渡辺と似た感覚だ。
ハッキリ言ってそういうのは鬱陶しいから辞めていただきたかった。
だって俺たちがしているのは超絶清い交際なのだから。
「んー……まあでもいいんじゃない? そういう付き合い方も。最近沢城君、なんか悩んでそうだったから夏菜ちゃんと仲悪いのかな〜、って。」
「……毎日手ェ繋いで帰ってますけど……??」
悩んでいるのは確かに正解なのだが、夏菜との関係は……まあ、キスするとはまだいかないけど、ラブラブなのには変わりない。
変わりないんだけど……というのが今の悩みだ。
自分との戦いに突入している最中なのだから。
「じゃー、もしさぁ……沢城君。」
「なんだよ。」
「もし私に付き合ってー、って言われたら……付き合っちゃったりする??」
ニヤニヤしながらそんな質問すんなよな……と思いながら、俺は答える。
気持ちは変わらない。
「絶対NOだわ。俺には夏菜しかいねえから……な。」
「ホントにマジメだよねー、そういうとこ。もっとナンパってもいいのに〜。」
「俺はそういう性分じゃねえよ……」
別に渡辺の事は嫌いじゃないし、むしろ俺たちのことを応援してくれているのは分かるんだけど……時折こういうところがあるから予定に付き合うとかはちょっと遠慮してしまう。
最近はちょっと警戒しているほどだからな……と俺はそう思ったのだった。
私、渡辺沙里奈は時折考えてしまう。
確かに沢城君と夏菜ちゃんは非常に仲が良い。
結ばせたのは半分私なのにな、と思う時がある。
でも何故かわからない、この2人を見ると幸せな気分になると同時に、心臓がバクバクと跳ね上がってくる。
沢城君は一途だし、夏菜ちゃんも同様だ。
これはなんだろうか。
黒い気持ちと言えばいいのだろうか。
ここ数週間は特に、沢城君のことを考えてしまう。
委員長、副委員長という関係性じゃなくて、「ひとりの男の子」として、彼を考えてしまっている。
しかも時折こんなことを考えてしまう。
夏菜ちゃんから沢城君を奪い取りたい、と。
もう友達の間柄じゃなくて、恋敵に夏菜ちゃんは私の中でなってしまっていた。
私の中でときめきが爆発寸前だったのに、伝えられない気持ち。
夏菜ちゃんとスイーツ店に行こうかな……とは思う。
というわけで、放課後。
「夏菜ちゃん……スイーツ食べにいかない?」
「? 急にどうしたの? サリちゃん。」
「あー……いや、沢城君のことどうなのかなー、って聞いてみたくて……」
「えー?? まあ……いいよ?」
「じゃ、決まり。オススメのところあるからそこ行こ?」
私は沢城君に、夏菜ちゃんを借りてく、と伝え、夏菜ちゃんとスイーツ店に向かっていったのだった。
不穏な空気!!
沙里奈ってなかなか自分に素直になれない娘なので、たまにこうやってゲスい感情になることもありますwww
次回はこの話では久しぶりすぎるくらいのガールズトークですかね。
この話を読んだ皆さんは、ドロドロ展開という「沼」に足を踏み入れた、という事になりますwwww




