第二十六話 悪夢という苦い思い出
今回から後半戦です。
沢城が葛藤していく様子をご覧あれ。
ーお前キメエんだよ!! 近よんじゃねえよ!!ー
ー触んじゃねえよ! 臭えんだよ、沢城!!ー
俺はそんなことを言われている夢を見て、ガバッと起き上がった。
「ハァ……ハァ……夢、か……ったく、嫌な思い出だぜ、全く……」
夏菜と交際することになった翌日だ。
目を閉じれば閉じるたび、この光景が浮かぶ。
忌まわしい記憶。
全く、何をやってんだか俺は。
今日は夕方に夏菜とデートに行く予定だってのに。
俺は幸せになってはいけないのか? そんなことをアイツらに言われている気がする。
旧3年1組の奴らに。
「……ったく、インキャが彼女の1人くれえ作ったって良いだろうがよ……」
俺はそう呟き、バイトへ行く準備をしていった。
仕事中もデートのことが楽しみなはずなのに、今朝の夢の記憶が脳裏から離れない。
俺はお客さんに「いらっしゃいませー」とは言うのだが、イマイチ覇気が出ない挨拶になってしまう。
これだったら桐ヶ谷さんに悟られてもおかしくない。
流石に正直にこのことを話すわけにもいかないしな、あの人はそこまでの重そうな経験をしてないだろうし。
そんな中で仕事は進み、俺は休憩時間中に桐ヶ谷さんに声を掛けられた。
「どこか今日は上の空みたいな顔してるけど……何かあったかい?」
「いえ……特には。」
「え〜? うっそだ〜? 絶対なんかあったよね??」
「まあ……文化祭のことは感謝してますよ、桐ヶ谷さん。ありがとうございました。」
俺はなんとか話を誤魔化そうとするが、桐ヶ谷さんは勘のいい人だ、これしきで逃げれるとは思えない。
「急に話変えてくるんだね。それで? 夏菜との進展は?」
「……まあ、交際することになりましてね。……なんか、お互い好きだったみたいで。」
「ほー……それはそれはおめでたいねえ!! 今日なんか奢るよ?」
「……なんでなんすか……今日バイト後にデート行くんすけど?」
「えー? 釣れないなあ……ま、頑張りなよ?」
「そうっすね……ありがとうございます。」
なんか、気を遣ってもらえたので俺は少し気が楽になった。
午後四時。
俺と夏菜は橋の下の河川敷で釣りをしている。
「……折角のデートなのに釣りでいいの?」
夏菜が俺に意図を聞く。
「……まあ、色々ゴタゴタあったからな……ちょっと落ち着きてえな、って思って。」
「ふーん……そっか……まあでも、かっちゃんがそうしたいなら私は付き合うよ?」
「ありがてえな、そう言ってもらえると。」
……とはいえ釣れてはないんだけど。
俺の釣りセンスは、ぶっちゃけボウズだからしゃあないけど。
こんな時間が長く続けばいいのにな……俺はそんなことを考えていたが、現実はそうは問屋を下さなかった。
あの後で俺を巡るゴタゴタがあるなんて、俺はまだ知らなかった。
次回はまさかの展開です。
お楽しみに。




