第十六話 戦い、戦い抜いて。
オンライン大会終了後の会話。
まあ、また2人がゲーセンにいるんですけど。
お盆に差し掛かる頃、格ゲーのオンライン大会が開催された。
日本一を決める大会で、俺と和吹はまず、「北海道ブロック予選」にエントリーし、試合に臨んだ。
臨んだのだが、結果は俺は準々決勝敗退、和吹はベスト4敗退と、上には上がいることを思い知らされたのだった……
その翌日、俺はゲームセンターで和吹に会った。
で、また特訓する。
北海道ベスト4までに上り詰めた和吹とベスト8止まりだった俺とでは天と地ほどの差がある、と思い知らされてしまい、圧倒されてしまった。
「沢城君……どうしたの? 今日調子悪い……?」
負けが込んでいる俺に対して和吹が聞いてくる。
やめてくれ、俺が惨めになるから……。
本音はそうだった、しかし、和吹の強さは認めざるを得ない。
「いや……お前が強くなってるだけだよ。俺よりもずっと。」
まあ、実際事実だから。
和吹はそんなことない、って謙遜はしてたけど、俺に関しては悪い意味でわやだった。
何せ新パターンをまだ使いこなしきれていないし、上手く使えた時でも和吹に負けているんだから。
というか、和吹がバイトが今日ない、っていうから俺もバイト後に付き合っているって話ではあるんだけども。
とはいえ何処かのタイミングでお疲れ様回を開催しなければ……。
遊びに行くのとデートをするのとではまるで違うのだが、周囲から見ればやっぱり仲睦まじいカップルに見えるのかもしれない。
どうせなら今のうちに和吹と距離を縮めておけば、告白もスムーズに行くかもな……と考えたりもする。
「……どうしたの? ボーッとしてるけど、さっきから。」
俺がデート(?)に誘おうか、どうしようか、って悩んでいるところに和吹が心配そうに声を掛けてくれて、俺は我を取り戻す。
あまりにも上の空すぎた……とりあえず答えを返す。
「ああ、いや、別になにも。パターン練習しとかねえとな。って思ってさ。」
咄嗟に誤魔化す俺だったが、和吹はグイグイくる。
「……の割には手、動かしてなかったけど……?」
「うっ………わ、悪かったな!」
途端に恥ずかしくなる。
本当に何考えてんだ俺は。
マジでどうにかしてる。
俺はいつものマスク越しで息を吐いた。
で、和吹をどこか行かないか、と誘おうとした。
「あのよ……和吹……」
「え……? ど、どうしたの?」
「………俺、明後日バイトないんだけどさ……その……昼間、どっか行かねえか……?」
「……え? わ、私なんかでいいの?」
「……逆に誰がいんだよ。……空いてたら、でいいからさ……その、反省会とかしてえから、個人的に。」
俺自身は奥手なタイプだし、女子が苦手だから本当に女の子を何かに誘うっていうのが人生で初めてだ。
断られるかもしれない、と思いつつも勇気を俺なりに振り絞った結果だった。
和吹の顔が赤面状態になっている。
俺も本当に照れくさい。
「ほ……ホントに、いいの?」
「お、おう……い、行きたいところとかは、お前が決めていいからさ……!」
「うん……私なんかで良ければ……よろしくお願いします。」
……ん? なんかちょっと、勘違いしてねえか……? 別に告ったわけじゃないんだけど……。
格ゲー好きの小動物系女子かと思いきや、意外と天然なんじゃないのか? 和吹って……。
俺はそんな和吹がすっごく可愛くて仕方なかったのだった。
で、二日後。
バイトもなかった、ということらしいので、一日中和吹の予定に付き合うことになった。
あとは急な予定が入らないことを祈るしかない、そんな感じで俺は手稲駅の前でソワソワしていた。
何しろ女の子と2人っきりで遊ぶのなんて、ガキの頃に美空と公園とかで遊んだっきりだからな、事実としてあるのが。
その時からアイツは俺のことを揶揄っちゃあ、いたけど。
今じゃたまに会うくらいで、ほぼ疎遠になったからいいけどな。
そうこうしているうちに和吹が来た。
予定よりお互い30分前だったから、楽しみにはしていたし、してくれてたんだろうな、と考えるとなんだかほっこりする。
……まあ、全身黒の俺に対して和吹は白いワンピースに麻製の平たい帽子を何やら被っていた。
その顔には化粧水とか日焼け止めクリームを塗っている感じだったが、それ以外に化粧とかは施されていない、それなのにめちゃくちゃ綺麗に俺の目には映った。
……夏だからか、普段は着痩せしていて分かりづらかった和吹の巨乳もよく膨らんでいるのが分かる。
しかしそれを差し引いてもめちゃくちゃ暑い……。
熱中症対策は必須だな、そう思って俺は事前に清涼飲料水を買っていた。
それを渡そうとしたところ、和吹が俺に聞いてきた。
「に、似合ってる、かな……? その……男の子と2人っきりで遊ぶの……初めて、だから……」
ちょっと恥じらってる感じも、はにかんだ笑顔も、俺の萌え心に豪速球どストライク。
実は俺、結構なSなんだよな……奥手だけど。
「……お、おう……すんげー、似合ってる。」
似合いすぎもいいところだ。
何でこんなにも可愛いんだろうか、好きな人って……。
気恥ずかしすぎるので、飲み物の入ったペットボトルを手渡して、
「じゃ、行くか。」
と、ベンチから立ち上がって、駅の改札まで向かっていった。
和吹も付いてくる。
目指すは札幌駅中心街。
新千歳空港行きの快速エアポート号に乗り、俺と和吹は札幌駅へ向けて出発していったのだった。
次回、初デート(?)です。
まあ、まだ交際はしてないんですけどね……www




