第十三話 美智留に相談してみた
新章開幕。
夏休み編です。
登場人物紹介は、美空です。
井浦美空 手稲紅玉高校一年 手稲本町中出身 バドミントン部 161センチ 49キロ 3サイズB86W59H87 好きな食べ物 手稲丼 趣味 動画を見ること
沢城とは幼馴染であり、イジメの主犯格でもある。
バドミントンに関しては全道大会に進出するほどの実力ではあるが、裏の顔はかなり小悪魔でサディスト。
沢城のことを好きなのだが、上記のこともあり交際には至っておらず、沢城からは嫌悪感を抱かれている。
人望はあるのだが、表向きにすぎない。
最近俺は頭がぼーっとするようになった。
寝ても覚めても、和吹のことを考えるようになった。
悪い夢も最近見ていないし、仕事も多いがまあ、中学の時よりかは充実している。
さて、仕事に行くわけなのだが、どうも集中できない日が続いている。
まあ原因は粗方分かっているのだが。
夏休みなのでお客さんもそれなりに多いし、スーパーはこういう時ほど働かなければいけない。
そんな中で俺だけ色事に浮かれるのはな……そんなことを思い、俺は溜息を吐いた。
と、その時、桐ヶ谷さんに声を掛けられた。
「おー、珍しいね、君が溜息だなんて。」
「ああ、桐ヶ谷さん……お疲れ様、です。」
相変わらず綺麗な顔でサバサバした態度だ。
「なんだい、歯切れ悪いなあ。……仕事のことかい? 何か悩んでいることがあるのかい?」
「いえ……別に……仕事では、ないですけど……」
「ほー……それじゃあアレかい? プライベートのことかな?」
「……そうっすね……ちょっと、相談したいことが……」
まあ、桐ヶ谷さんはスーパー以外で俺と会うことはないので、相談しても大して問題ではないな、というのが本音だった。
「なんだい、なんだい。……じゃあ仕事後ね。今日同じじゃん?」
「ええ。お願いします。」
ということで、俺は桐ヶ谷さんに恋愛相談をすることとなった。
仕事後に、俺と桐ヶ谷さんは、ラーメン店で食事を取りつつ相談することにした。
「実は……ですね……俺、気になってる人が……いましてね……」
まあ、気になる人とは和吹のことなのだが。
「おー、あれだけ女の子が苦手だった君がかい? いいねえいいねえ。……で、どんな子だい?」
「……まあ……同じクラスの……この前言った……地味っ子、です。」
「あー、ゲーセンで会った、って言ってた子?」
「そうですそうです。」
ふーん、と、桐ヶ谷さんはそう言いながら頷いて聞いていた。
で、俺にこう話す。
「うんまあ……確かに君も地味だから気は合いそうだけどねえ。」
「桐ヶ谷さん、どういう意味っすか。」
「ああ、ごめんごめん、悪い意味じゃあないんだ。いい意味で、いいカップルになれそうな気がするんだ。君と、その子。」
「そう……っすかね……? ただまあ……アイツの気持ちが……わかんねーんで、なんとも言えねえっすけど……」
俺は桐ヶ谷さんの言葉に首を捻った。
人付き合いがお互い良い方ではないので最初だけな気がしなくもなかったのだが。
「ほー……やっぱまだ、自分に自信がないって意味かな? 沢城君は。」
「そー……っすね……その部分がまだありますね、俺の中には。」
「ホント不器用だねえ、沢城君は。……ところで、その子の名前は?」
「和吹……夏菜、っすけど……」
和吹の名前を聞いた桐ヶ谷さんの目が途端に丸くなった。
「え……どうしたんすか? 何か不都合でも……?」
「夏菜と同じ高校だったのかい!? 沢城君!!」
飄々としている桐ヶ谷さんの姿ではなかった。
かなり驚いているようだった。
「え、ええ……そうっすけど……アイツとなんか、関係があったんすか??」
「いや関係があるも何も、私は夏菜と近所なんだよ! ……まさか君が夏菜に惚れていただなんて……ビックリだよ……」
「その……近所もなにも……どういうご関係なんすか?」
と、桐ヶ谷さんはコップの水を一気飲みした。
そして一息吐き、話しだす。
「まあそんな大したことじゃないんだけどさ、母親同士が仲良くて、夏菜も私の家でしょっちゅう遊んでたんだよ、小さい頃に。……はー、ビックリした。まさかここで夏菜の名前を聞くとは……それで、どこに惚れたんだい?」
とはいえ俺も恋心としては、まだほんのりなので、まだちゃんと和吹のことは知らないのだが、とりあえず話すことにした。
「うーん……仄かに、ですけど……まあ悪いやつじゃないんで……なんだろ、ちょっと、抜けてるところっすかね……あとは単純にもっと知りたい、っていうか……」
「まーね……夏菜は悪い子、ではないから分かるよそこは。……しっかしまあ……夏菜も不器用だからね、君と似てて……沢城君、一個、いいかい?」
俺はこの言葉に固唾を飲んだ。
そして桐ヶ谷さんはこう、言った。
「焦らなくて良いよ、恋愛は。今のままやっても上手く行かないのは見えるから……もうちょっと仲良くなってから気持ち伝えればいいんじゃない? ……一年生が終わるまで時間はあるんだからさ、君みたいな人は特に焦ったらダメなタイプだと思うのよね。……本当に頭から離れられないんだったらさ、、いっそ夏菜のこと……思い浮かべながら……しちゃえば……」
「桐ヶ谷さん、それ以上はやめてくださいって!! 顔! ニヤついてますって!!」
悪戯に笑顔を浮かべながら右手を上下に動かしている桐ヶ谷さんを見た俺は慌てて制止した。
「いーじゃないか、この感じだったらいずれ童貞を捨てれるじゃない?」
「だからなんで下ネタになるんすか!! はしたない!!」
「ホラ、声が大きいよ沢城君。……やっぱりムッツリだね、君。本当に面白いよ。」
「誰のせいなんすか!! 責任転嫁しないでくださいって!」
「アハハ、やっぱからかい甲斐があるね。……じゃ、そろそろ行こうか。」
「そうっすね……ラーメン、ご馳走さまでした。」
こうして俺たちはラーメン店を後にした。
「それじゃ、また明日ね。沢城君。」
「ええ。今日はありがとうございました。」
俺は桐ヶ谷さんと別れて自宅に帰った。
桐ヶ谷さんはつぶやいた。
ポツリと一言。
「運命って分かんないもんだね。夏菜。」
手稲は俺も数年前までは割と行っていたので、店は割と分かります。
次回は夏菜パートです。




