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第四話 完成カロンの家

 広大な敷地を持つ魔王城跡地にぽつんと立つ家は、昔の日本農家の平屋と言った感じの作りの横に、農具を入れる倉庫だけというシンプルな作りだった。


「平屋サイコー!」

「何をいきなり叫んでいるのよ」


 ようやく日が昇り始めたというタイミングで、カロンは外に出てまずいきなりそれを叫んだ。

 幸いな事に、敷地内から外へは音が伝わらないらしく、どれだけ大声を出しても問題は無かった。

 ほぼ同じタイミングで目覚めたユーリカは、外に出て叫んでいるカロンの後頭部を叩いて突っ込みを入れたのだった。


「いやどうせ、異界の境界線で音が遮られるんだから吠えたっていいじゃないか迷惑掛からないし」

「寝起きの私の頭にはあまり有難くありませんわ」


 そう言いながら二人は、引き込んだ水路から桶に水を汲み顔を洗い、排水路の方へと流し、ユーリカが食事の支度を始め、カロンは水路を使い四面に区切りをつけた畑予定地を耕し始めるかと思ったが、農具入れの方から、昨日貰っておいた道具類を取り出し色々と農具らしき物をでっちあげていった。

 一つは丸太をチャクラムの穴とほぼ同程度の太さに削り、チャクラムの片側を丸太と垂直にもう片側を斜めにした三角型に欠いてその欠片でチャクラムを丸太固定していった。その輪の欠ける方向を互い違いにしたものを拳程度の幅で並べ自分の体の三倍程度の幅までそれが完成すると、自分の体よりやや長いハンマー二本

を取り出し、丸太の両端に軸を打ち付けるとハンマーと軸を回転できるようにつないだ。

 ハンマーの持ち手部分の方をローブでつなぎ合わせ、ローラー状にしたものを完成させる。


「朝食出来ましたわよって、これは何ですの」

「ああなんか、むかーし女神に夢で見せられた奴を真似してみたんだが、確かこんな感じで、上手く出来ていればこれを引っ張ると土が耕かせた筈なんだ」

「へえ、あとで早速試してみましょう」


 出来上がっていた朝食はサラダとスープにパンとシンプルではあったがパンが大変おいしく、これだけ作れるならあの時なんでケーキなどを作ろうとしたのだと言われ、顔を真っ赤にしながら慌ててたからそれしか思いつかなかったのですわとそっぽを向きながら答えられ、返答に困ったカロンもお、おうなどといった返事しかできなかった。


 朝食も済ませると、早速上手く出来ているのかを試すために、畑予定地でチャクラム丸太を引っ張ってみたが、重量が重すぎたのか、折角耕されても丸太部分で均してしまい上手く行かず、二人して発想は良いみたいだけど何かが上手く行かないと頭をひねっていた。

 いったん保留にして、ピッケルで耕そうとしてみたが、これもまた大変過ぎるので、今日は諦めて、きちんと鍛冶屋で農具を作ろうと言う話に落ち着き、早速鍛冶屋に手配してもらうためにもと、町役場へと移動していった。

 到着すると、先ほどまで畑で色々やって居たせいで、かなり泥だらけのままだったのもあり、まずは浄化をし清潔になさってくださいと注意され、外に出て軽く払ってから浄化をかけ再度払い入りなおした。


「よっす、早速で悪いが鍛冶屋で農具を作ってくれ」

「偉い諦めるの早いでんな」

「やー女神の夢で見たものっぽいのを再現してみたが上手く行かないでな」

「どんな感じのだったんで」

「大きくないからここで出すわ」


 そう言って先ほど作った丸太を収納から出して見せたところ、カンゴロウがこれもしかしてコレ以外に車輪ついてたりしてなかったかと聞かれ、ついてたと答えると、思考の海へと入っていった。


「ところでカロン殿は女神の夢と言っておりましたがそれは一体なんですか」

「あー勇者はたまに女神が夢に出て来るんだよ、いろいろ教えてくれるんだけど、なんかさっきのはすべてが解決した後に農民に戻る際はこちらを授けますとか言って見せてくれたものを再現してみようかと」

「なぜ再現しようなどとお思いになったのですか」

「やーだってさ、今回あくまで解決した場合だけど、解決できてないじゃん、もらえないなら作ってやるかっておもうじゃん」

「カロンはん、ひとまずこれなんとなーくは判ったで、ただすぐには作れんで、図面引いて特注せなあかんから、図面が出来るまでだけでも一月ぐらいは先やな」

「お、流石カンゴロウじゃあ頼む、出来上がって上手く行ったら世界中で広めようぜ」

「せやな、上手く行けば大儲けやな」

「それで、鍛冶屋でしたか、入口の警備の片方連れて案内させればいいですか」

「それでたのむ」


 外の警備の一人に案内してもらい鍛冶屋へは思ったより時間もかからずについた。

 中には偏屈そうな爺が二人で炉と向かい合っていた。


「「ガキが来るところじゃねえけえれ!」」

「おいマテや、なりはこんなんなっちまったが、これでも数日前までは勇者と姫様だ。その物言いは無いんじゃねえか」

「うむ、なかなか面白い事を言うのここの二人は」

「「でも今はガキだろ」」

「まぁ、ガキだろうと良いだろ、客だ農具が欲しい鍬などを作ってくれ、費用は町役場に請求してくれ」

「「農具だと、その辺に転がってるのを持っていけ」」

「姫さんはそれでいいかもしれんが、俺は重くても良いからクソ頑丈なのが欲しい、その辺のじゃすぐ壊れちまう」


 そう言うと、二人はこちらを振り返り、カロンに近寄ってくる、その後からだのヨウヨウな場所を掴み確認すると、奥へ行って鍬を二本持ってきた。


「「お前さんなら一本ずつ両手に持って使った方が早い、あとこれで良い」」


 渡された鍬を両手に一本ずつ持ちふるってみる、違和感もなく問題は無いが、頑丈さはどうなのかというと、そこの石床でも殴って確かめろと言われたので殴ってみたが、折れも歪みもなく問題なく扱える良品だった。


「これは素晴らしい、いくらだ」

「「気にすんな、あとで町役場に請求する」」


 自分の獲物はさっさと収納にしまい、ユーリカの農具を選んだ。

 二人共の農具がそろったところで、早速戻り畑を耕し、一部は水田を作るために隣の畑区画に土を移動させた。

 流石脳筋軍団とでもいうべきか、本来なら数日以上はかかる筈の内容を、夕方までに済ませてしまい、早速種植えまで済ませていた。

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