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04.魔術魔法講義

04.『魔術魔法講義』



銀熊亭。見た目は木造の建てだがしっかりとした作りの為か古びた感じはしない。

中に入ってみれば一回は酒場か食堂として開放しているようで、今の時間でもそこそこの人がいる。

そういえば昼食を取り損ねていたことを思い出して、お腹が減る。


「お昼いいですか?」


「なら食べながら説明でもしようか」


何を頼んでいいのか分からない私を気遣ってかリジェネが勝手に注文してくれた。

来たのは日替わりB定食。多分生姜焼き定食と同じだろう。

あぁ、まともな食事が美味しい。


「今までどんな食生活を送っていたのやら」


「基本保存食で食い繋いでいました。だからまともな食事が嬉しいんです」


「あとその敬語は辞めてくれ。これから私達は家族となるのだから」


「それは身元保証人になってくれるということ?」


「そのつもりで引き取ったのさ。それに養子に迎えるつもりだから家族だ」


「リジェネが母親かぁ。何か似合わないかな」


「失礼だな。というか君は本当に6歳か」


「自称ね。そこはあまり気にしない方がいい。絶対にリジェネじゃ慣れないと思う」


精神年齢でいえば30歳近い。前世でも年齢は数えていないから正確には分からない。

だけどリジェネも年齢的には私に近いと思う。外見的に。


「確かに君の方が色々と知っていそうだな。歴史も魔術も技術も」


「逆に常識が分からない。だからこういう状況になっているかな」


「それは私が教えるさ。まず初めに何が聞きたいかな。この場だと君から情報提供は期待できそうにない」


「過去に魔族と戦争は無かった?それが今から何年前なのか知りたい」


あの戦争直後に処刑されたからそこから逆算するのが一番手っ取り早い。

その後に何が起こってここまで文明レベルが低下したのかも気になる。


「歴史書には3000年前と記されている。私の研究でも概ね間違っていないという結論だ」


かなり未来に転生したものだ。でもそれなら納得もできるかな。

それほどの年月が経っていれば天変地異や人類の戦争などで文化形態が一度崩壊したのかもしれない。

だから技術的な衰退が起こった。


「その後に人類同士の戦争、神の怒りにでも触れたのか自然災害が一斉にやってきた」


考えている通りのことが起こったのは確からしい。というかあの後に戦争するとか馬鹿か。

人類全体の総数自体が減っていたのに、何を考えて更に被害を拡大させているのやら。

それで自然災害に対する備えも整えられなくて自滅か。うん、人類馬鹿だ。


「自業自得でしょ。でもこれで歴史についてはいいかな。あとは図書館で調べればいい」


「事情がありそうだから深くは聞かないが。他に何かあるか?」


「魔術についてかな。私の場合は殆ど独学みたいなものだからどういうものなのか教えてほしい」


「魔術は先程話した通り取り込んで放つ。素養があるのならばこれが基本的なことだな。そこから属性ごとに系統が分かれる。

風、水、火、木、土、光、闇、氷、雷と他にもありそうだが。だから先程の刃には驚いた。言ってしまえばあれは無属性だろ」


「確かに魔力だけで作り上げたからその中のどれにも当て嵌まらないね。となると全てを習得することは無理という事?」


「適性があるみたいだ。火を扱えるなら逆に水が苦手。風と土も同じだな。複数の属性を扱えるなら上級魔術師といわれる」


「ちなみにリジェネは?」


「5種類扱えるから、ちょっとは有名だぞ」


得意顔だね。でも残念、私は全種類いける。魔法限定だけど。

しかし適性と来たか。色々と面倒な手順を踏んでの行使をしているのだろう。

でもそれを考えると地形効果があるかも。火山地帯の魔素は火属性を多く取り込めるから火の魔術が強くなるとか。

魔術を習おうかと思ったけど、効率悪そうだし止めようかな。それよりも武術の方が興味深い。


「今のままで使用した方が効果的かな」


「だがおいそれとその力を使うのは止めておけ。無用な混乱は避けたいだろ」


「ごもっとも。魔術ぽく行使する程度に抑えておく。ちなみに一般的な詠唱速度は?」


「上級者で5秒から3秒といったところだな」


「あれ?そうなると何で今回は驚かれたのかな」


「自分の見た目を考えろ。何処の世界に6歳児が上級並の詠唱速度ができると思う」


それもごもっとも。ただ時間だけということは無詠唱もできる人はいるのだろう。多分目の前の人も。

自分がリジェネの立場だったら驚くだろう。小さな子供が自分並みか、自分以上の技術を身に着けていれば。

そうなれば自信無くすだろうな。


「さて私ばかり説明しているのも不公平だ。部屋に移動しよう」


ですよね。一方的な情報の提示はメリットがない。こちらからも情報を提供しないと。

それにリジェネは信用できる気がする。これは私の勘でしかないけど、何だろう言葉にするには難しい。

相手を信用することで、相手の信用を得ようとしているように思える。

というか一応は家族となるのだから信頼関係を構築しないとどうにもならないか。


「それじゃ次は私の番。何が知りたい?」


「その魔力貯蔵というのを教えてほしい」


確かにこれを学べば魔術に応用できるし、高速使用が可能になる。ただこれは慣れが必要。

素養があれば一か月位で習得できるが、通常なら3年から5年くらいか。もっと長いかもしれない。

それはやってみないと分からないけど。


「じゃあまずはこれだね」


魔力の球体を作り出す。本来ならば外部の魔素を取り込んで魔力に圧縮、それを放出するのではなくある部分に閉じ込める。

それを続けることでその部分の魔力に対する耐性を上げて、貯蔵するための準備を行う。

今から行う事はこの方法を効果的に行うためのもの。


「これは浸透系の魔力で練ったもの。受け取って」


球体のままリジェネの身体へと押し付ける。部分は心臓。身体の中心部が貯蔵庫としての役割を担う。

リジェネが最初に感じたのは違和感だろう。浸透系の魔力が身体全体に行き渡り、他人の魔力が身体の中に入り込んできている。

違和感から不快感へ。この方法は心臓だけでなく身体全体の魔力耐性を上げるもの。


「魔力を常に体内に留めておくから身体に負担を掛ける。だから魔力への耐性を上げて身体への負担を減らすのが目的。

まずはその魔力を自分の魔力へと変換することに慣れて。そのままだとあくまでも他人の魔力。蓄えることは出来るけど変調の原因になるから」


「簡単に言ってくれる。他者の魔力変換なんてやったことすらないぞ」


「ですよね。でもそれが出来る出来ないでこれからの作業が格段に変わっていく。他者の魔力変換が一番面倒なんだから」


「つまり魔素を変換するよりも難しく、以後の魔素変換が効率的にできるということだな」


「正解。ちなみに変換が終わった魔力は心臓に集めるように。これは同時にやってこそ意味があるんだから」


それに私自身も魔力耐性を上げる必要がある。幾ら知識と技術があっても、身体だけは前のままとはいかない。

魔法をあまり使わないといっても、使わざる負えない状況がやってきた時に魔法に制限があっては意味がない。

私は慣れているからいつも通り魔力循環を毎日やっていれば耐性も得られるだろう。

あとはリジェネ次第かな。何日掛かるかな。そういえば一つ聞いていないことがあった。


「リジェネは魔法という技術を知っている?」


「魔女が使っていた技術だったと伝えられている。現代でも研究はされているが習得したという話は聞いたことがないな」


「となると魔法は失われた技術という扱いか。やっぱり気軽には使えないか」


「おい、さらっととんでもないことを言わなかったか」


「あとで説明はするよ。それよりも変換が全然進んでいないよ。集中、集中」


「だから簡単にできることじゃない!」


凄い余裕のない表情しているな。確かに簡単にやられても困るけど、私も意地が悪い。

それにしても人の繋がりとは分からないな。街に着いてたった1日で身元保証人が得られると思わなかった。

今の所、順風満帆といえる。明日には冒険者ギルドで説明を行ってもらえるはずだから、知識も集められる。

前世での最後があれだったから、運が向いてきているのかな。



題名とずれを感じてきた。

どうも統一性が足りない気がする。

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