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05.冒険者とは

05.『冒険者とは』


昨日は夕飯も堪能し、苦労しているリジェネをからかいながら楽しめた。

お金は全部リジェネが出してくれているから問題はないが、紐といえる状況は頂けない。

魔石の換金がまだ出来ていないから仕方ないのだけど。


「説明を今日聞く予定だからその時にまた色々と聞いてみよう」


昨日は結局リジェネに連れて行かれるままに出てしまったから魔石の価値を聞いていなかった。

あとは武器や防具の素材の価値も聞いておいて損はないだろう。

その為には倉庫の中にある物資をある程度披露しないといけないが、そこは仕方ない。


「それじゃ私は冒険者ギルドに行ってくる」


「いってらっしゃ~い」


だるそうだね。そう簡単にいかないのは予想できていたけど苦労している。

でも筋が悪いわけではない。一つの方法に拘らずに色々な方法を試しているから意外と早く習得できそう。

これが終わっても次があるんだけど、今はまだ言わない方がいいかな。


「リースさん、おはようございます」


「あら、意外と早く来たわね。午後から来ると思っていたわ」


午前中の方が混んでいないというのはリジェネから聞いていた。もしかしてさぼりたいのだろうか。

だから何故私の手を引いて二階に上がっていく。今日は説明だけで支部長に会う必要はないはず。

何でいつも支部長に会わないといけないのやら。


「支部長、連れてきました」


「おぉ、来たかね。それじゃリーネはお茶の準備をしてくれ。アリア君はそちらに座ってくれ」


待遇がおかしい。6歳児に対する対応じゃないと思うけど、此処の人達も私のことを外見で判断していない。

昨日の態度からして私も何も考えていなかったけど。


「さてまず君にはこれを渡そう」


「これは?」


「ギルドカードだ。といってまだ君のそれは仮といったところだが」


「やっぱり年齢ですか」


「そうだ。15歳からじゃないと正式には発行できない決まりになっているがな」


説明を聞けば子供にこういった免許証を発行することは出来ないらしい。

ただ将来的に可能性のある子供には仮免的な意味合いで発行することを許される。

だけどできることも限られる。依頼は無理、だけど換金は大丈夫といった風に。

あとはランクアップ方式が基本である。


「ランクが低い内は討伐など危険な依頼は受けることができない。ただランクが上がるほど危険も相応に上がっていく」


「いきなり危険な仕事はさせられないでしょうね」


若い芽を摘むことにもなり兼ねないだろうね。力を過信して先走る若者はやっぱり多い。

そうなれば将来有望でもあっという間に死んでしまう。それを防ぐための措置だろう。

ちゃんと後のことを考えているあたり昔よりはまともになったかな。


「だが君には例外的に正式発効してもいいとは思うのだが」


「規則を破れば、組織に亀裂を生む。それはどんな時代で証明されていること」


「耳に痛い話だな。やはり外見だけで君を判断するのは間違っているな」


「買いかぶりです」


私は過去を知っているから言えるだけ。それが無ければ私だって間違いを犯していただろう。

だけど魅力的な意見だと思ってしまった。物欲には私だって弱いさ。

でも規則は規則。やっぱり守らないと。


「冒険者ギルドについてはあまり難しい説明はない。あとは君からの質問を受け付けるかね」


「お茶を入れている間に説明は終わったのですね」


一通り聞いたところでリーネが戻ってきた。飲み物とお茶菓子を持って。

さて丁度いいかな。リーネの反応を見て一般的な常識も知っておこうと思っていたから。


「魔石について確認です。一般的にどこまでの等級が確認されていますか?」


「最上級のもので3級が確認されている。価値については数年は遊んで暮らせる位だろう」


価値が凄いことになっている。当時は技術開発につぎ込んでいたからお金に換算してなかった。

あとは他の他の等級の価値も確認しておこう。となるとやっぱり現物を見せた方がいいね。


「こちらに5級から1級までの魔石を並べました。この価値について教えてください」


「は、え、あ?」


「……これは夢、絶対に夢だわ」


予想はしていたけど今まで以上の反応だね。驚きすぎて現実逃避しているみたいだけど。

やっぱり最上級だと輝きが違うね、淡く光を放っているのも綺麗だし。

内包している魔力が桁違いだけど。


「あのぉ、大丈夫ですか?」


「い、一体これをどこで手に入れたのだ!?」


凄い剣幕で詰め寄られても、私は絶対に言わない。だって高位の竜を看取った時の形見だから。

前世でも1級の魔石は本当に存在していたか実在を疑われていたほど。

私もこれを手に入れても公表しなかったのは意思疎通ができる竜を討伐されることを恐れたから。

今の時代にもそれほどの竜は存在するはず。彼らがそう簡単に絶滅するとも思えない。


「黙秘です。それで先程の質問の答えは?」


「5級は比較的流通しているから50万前後、4級で300万を超え、3級で1000万は優に超える」


一睨みで質問を黙らせてこちらの回答を得る。確かに支部長のことは信じられる。

でも人の口には戸が立てられない。どこから漏れるのか分からない。

私自身のことならば私が我慢すればいいだけ。だけど他人に迷惑を掛けるのは駄目。

でもよく考えれば私のことを覚えている竜がまだ残っているかもしれない。

あとで挨拶でもしておこうかな。


「魔石で驚いたが、君はこの魔石をどこから取り出したのだ?」


「失われた技術の魔法です」


「何か驚き疲れたわ、もう」


リーネが頭を抱えている。今まで発見されていなかった魔石に、魔法の存在。

理解を超えて、考えることを止めたのだろう。ご愁傷様です。

取り敢えず魔石をまた倉庫に仕舞って事情の説明をしよう。

何も考えなしで色々と情報公開したわけじゃないのだから。


「さて私がここまで情報を提示したのは貴方達二人に理解者になってもらいたいからです」


「理解者かね?」


「えぇ、私はこの姿の為に色々なことに制限が掛かってしまいます。ですから事情を知っている人達にフォローしてもらえればと。

もちろん、それ相応の見返りは用意します。いかがですか?」


とても6歳児が語る言葉ではない。でも今のままだとまともに行動ができるとは思えない。

見た目が子供だと侮られたり、禁止されたりすることが多いはず。リジェネが一緒ならばそういう問題もクリアできるがそれにも限界はある。

なら協力者を増やせばいい。だけど考えなしに増やしても私利私欲に走る輩が出ないとも限らない。

なら自分で認めた人たちに情報を公開していくことが一番いいのではないかと一晩かけて考えたのだ。

それで失敗したのならば自分のせいであるし、人を見る目がなかったと諦めもつく。


「確かに私みたいなものならば分かるが、リーネ君もというのはどういうことかね?」


「支部長に会いたいといって、こんな子供のことをすんなりと案内してくれると思いますか?」


「そうだな、リーネ君を君の専任とすれば色々と都合がつくだろう」


「あの、私の意見は……」


「私が怖いですか?」


得体の知れない子供の相手。古代の魔法という技術を扱い、今まで誰も獲得することができなかった魔石を持つ。

そんな相手の専任となれば色々とやっかみもあるだろうし、生理的に受け付けないかもしれない。

それでも私には自信があった。たった1日しか会っていないが彼女は信用できると。勘だけど。


「アリアちゃんみたいな子を怖がるなんてとんでもない。可愛らしいし、私よりもしっかりしていると思うよ」


「ありがとうございます。それよりも可愛いですか?どちらかというと小生意気な子供だと思いますけど」


「生意気という雰囲気じゃないかな。それに子供を相手にしているというより分別のある大人を相手にしているみたいだから」


「それも異常だと思いますけど」


「何を今更。アリアちゃんが今までしていたことの方がよっぽど異常よ」


全くだね。というか頭を撫でるのは止めてほしい。かなり恥ずかしい。

この反応が駄目だったのか思いっきり抱きしめられた。何故。


「私が妹にすれば良かった」


「残念だが早い者勝ちだった。そうなってくれれば私としても繋がりを得て良かったと後悔しているのだから」


大人気だね私。でもそういったのはいいから、とても恥ずかしい。

前世では殆どの人が遠巻きに眺めていたり、怖がって近寄ってこなかったら直球的な好意に慣れていない。

魔物千体くらい魔法一発で吹っ飛ばしていたから、恐れられても仕方ないんだけど。

でもこの二人がその現場を見てもアリアだから当たり前だと思ってしまうかもしれない。というか絶対に思うね。


「では早速ですが、こちらを報酬というか防犯と対策という形でお贈りします」


支部長には指輪を、リーネには耳飾りを渡す。何かあった時に役立つものを倉庫から出したのだ。

繋がりを得たら情報を狙って二人に危害が加わるかもしれないその対策。


「あの、これ魔力を内包しているように見えるんだけど。それに術式が細かすぎて読めないよ」


「魔法具です。今の時代ですと魔導具と呼ばれるものです」


「いやいやいや、これはどう見てもアーティファクトだよ!」


ちっ、エルフの目は誤魔化せないか。リジェネに聞いていたけどこういった風にアクセサリーに魔力を付与する技術はこの時代にもあるらしい。

私も現物を確認していないから判断はできないけど、この技術も衰退していると思える。

簡単に火種を作り出せるとか簡易的な魔術を無詠唱で出せるとかそんな感じだろう。

でも私が出したのはその上位互換版。ごめんなさい、嘘です。ここまで緻密に術式を刻んでいるから全くの別物だろうね。


「こちらは守りの術式を刻んだ指輪です。キーワード一言で大体の攻撃から守ってくれるはずです」


「上級魔術でもあっさりと弾きそうな魔力ね。現存するどんな攻撃でもあっさりと弾くわね」


「こちらは風の魔法を自在に操れる耳飾りです。攻撃と防御の両方に使えるでしょう」


「付けるだけで上級を通り越して、常識外れの速度と威力が出来そうね」


解説ありがとうございます。前世だと一般的な防犯アイテムだったのに。どうしてこうなった。

ちなみに一般的といっても戦争を行っていること前提のアイテムだから今の時代だと異質だろうね。


「確認だけど魔石は何級かな。それによって魔力切れの推定もできるんだけど」


「2級魔石を使っています。ですから魔力切れの心配は殆どありません」


常時最大出力で使っても50年位は持つだろうね。それだけ3級と2級の間には破格の差があるんだから。

2人とも驚かなかくなったな、呆れてはいるけど。うん、いい傾向だね。常識を破られているという観点から言えば。


「確かにこれほどの逸品を身に着けていれば簡単には後れは取られないが、いいのかね?貴重品ではないのかい?」


「私が作ったのものですから、後で幾らでも作れます」


この程度なら材料さえあれば1日で作れる。だから貴重品でもない。

それにしても2人揃って頭を抱えなくてもいいじゃないか。私もぶっちゃけてはいるけど2人には必要なものだと思うし。

私みたいなのフォローするとなると情報を欲しがる輩は絶対に出てくる。だから防犯対策に渡すだけ。

それは分かっているのだけど、やっぱり常識が邪魔するんだろうね。


「アリアちゃん、伝説の魔女みたいだね」


リーネさん、当たり。私の歴史はこの時代に残っているのは確認済み。酷い方で。

3000年前の戦争は私が引き起こしたもの。そして私を打ち取った国は英雄となり、今なお繁栄している。

それが今私がいる国がその英雄の国となっているらしい。滅ぼしてやろうかな、この国。


「私からは以上です。他に何か聞きたいことはありますか?」


「いや、私の方からはない。リーネ君は?」


「私も特にありません。というか私の常識が完膚なきまでに壊された感があります」


「それは私も同じだよ。まさかここまでの規格外の存在だとは思わなかった」


失礼な、これでも私も人間という名の区切りには入るんだよ。


確かに魔法について常識外れで魔法具もあっという間に作りはするけど。うん、規格外といわれて納得してしまう。

常識もそうだけど、やっぱり加減も覚えよう。というか魔法が使えないとなると武術は必要不可欠だね。

誰かに師事するのもいいけど、最初は独学で色々とやってみようかな。

使う武器に関しては倉庫により取り見取りだから困ることもないだろうし。それを考えれば倉庫の中はアーティファクトでいっぱいだね。

歩く武器庫。私の存在が世界の存亡を左右している。というのは考えないでおこう。冗談でも酷い。


「それではお二方。これからどうか宜しくお願いいたします」


「敬語は止そう。これからは協力者となるのだから」


「私も賛成。何かアリアちゃんから敬語使われるとこそばゆい感じがする」


「りょ~かい。それじゃよろしく」


支部長、リーネと握手を交わし契約成立とする。これでギルドとの繋がりを得たことになる。

それに2人も気づいただろう、私がここまで情報を提示したことによる本当の意味を。

私には力がある。この支部をどうとすることができるほどの力を。

信頼を裏切ればどうなるのかを容易く予想は出来る。

例え裏切られても私はそんなことしないけどね。

さてこれで順風満帆な冒険者をやっていくことができるかな。

暫くはリジェネに付いて回るだけだと思うけど、色々と見聞を広めよう。

楽しい旅になるといいなぁ。


一日一話ずつ上げ続けたらいいなぁ。

どこかで躓いたらすみません。

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