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第5話:告白の代償と、取り返しのつかない罪

激しい口づけが終わり、途切れた呼吸を整えながら、はじめに口を開いたのはエミルだった。

「……っ、なんで……こんな……! 『お前も』死に戻ってたのか……!? だったら、なんで……! なぜ俺を憎まない!!? 俺はお前と、メリーナを殺したんだぞ!?」

頭が追いつかず、錯乱気味に叫ぶエミル。

そんな彼よりも少し背の低いルディウスは、溢れ出る愛おしさを抑えきれずギュッと抱きしめた。

「そうだよね……混乱しちゃうよね。ごめん、エミル。実はね……」

ルディウスは、前世のすべての真相を語った。メリーナとのプロポーズはエミルを焦らせるための狂言だったこと。エミルの愛を確かめたくて、試すような真似をしてしまったこと。

全てを聞き終えたエミルは、顔面を蒼白にさせ、その場に崩れ落ちるように頭を抱えた。

「じゃあ……俺は……お前たちのそんなくだらない真似のせいで狂って……あんな恐ろしいことをしたってのか……!?」

「ごめん……本当にごめんよ、エミル! やりすぎたって、痛いほど反省してる。メリーナにも酷く叱られたんだ。だけど……だけど分かってほしい! 僕は本当に、君が好きで——」

——ボカッ!!

言い切るより早く、鈍い音とともにルディウスの右頬に激痛が走った。

殴られた衝撃で床に倒れ込み、右頬を押さえながらエミルを見上げるルディウス。

「……っ、エミル、本当にごめ——」

続く言葉が、喉の奥で凍りついた。

ポツリ、とルディウスの頬に「雨」が落ちる。

見上げた先で、エミルが苦渋に満ちた表情で、ボタボタと大粒の涙を流していたのだ。

「……凄く苦しかったんだ!! 胸が張り裂けそうで……毎日毎日、自分の犯した罪に殺されそうだったんだぞ!! 俺を振り向かせるため……? ふざけるな……ふざけるなよ!!!」

絞り出すような悲痛な叫びを残し、エミルはくるりと踵を返すと、自室へと逃げるように走り去ってしまった。

静まり返った部屋に、ぽつんと取り残されたルディウス。

殴られた頬の熱い痛み以上に、胸の奥が焼きちぎれるような激痛に襲われていた。

(……なんてことを、僕はしてしまったんだ……)

エミルの涙。あの絶望に満ちた叫び。

どれだけの罪悪感と恐怖を、エミルにたった一人で背負わせてしまっていたのか。それを自分が「試したかったから」などという浅はかな理由で生み出していたのだと突きつけられ、ルディウスは激しい悔恨に打ちのめされた。

血が出るほど強く拳を握りしめ、床を見つめる。

(嫌われた……ううん、嫌われて当然だ。僕がエミルの心を、人生をぐちゃぐちゃに壊したんだから……)

エミルの苦しみの深さを思い知り、ルディウスの心は罪悪感で押しつぶされそうだった。

だが、それでも——手放すことなんて、絶対にできなかった。

(逃がさない。嫌われても、拒絶されても……今度は僕が、エミルの苦しみを全部受け止めるんだ。……少し時間が経ったら、もう一度話しに行こう。何度殴られたっていい、僕のすべてをかけて謝り続けるんだ)

ルディウスは胸の奥で誓うと、エミルが走り去っていった暗い廊下を、深く切ない瞳で見つめ続けるのだった。

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