第2話∶懺悔
それからというもの、俺はルディウス、そしてメリーナの二人と徹底的に距離を取るようにした。
だが、俺の決意とは裏腹に、当の本人たちは以前にも増して「エミルぅ〜」と屈託のない笑顔で懐いてくるのだ。
なぜだ?
今の俺たちは十五歳。前世の記憶を辿れば、この頃にはすでにルディウスとメリーナは恋人同士になりかけていたはずだ。なのに、いまの二人を見る限り、とてもそんな甘い雰囲気には見えない。
ルディウスはあの頃のまま、やわらかな茶色の巻き毛に、まるで綺麗なビー玉のような青い瞳。愛らしいそばかすの浮かぶ顔を見るたび、胸が締め付けられるようにときめいてしまう。
しかも今の彼は、まるで俺に明確な好意があるかのように、隙さえあればすり寄ってくるのだ。
隣を見れば、メリーナまでもがどこか生温かいような、楽しむような視線をこちらに向けている。
……そんなはずはないのに。
肩までかかる艶やかな金髪と、深い緑の瞳を持つ彼女は誰が見ても美少女だ。性格も快活で思いやりがあり、男なら誰もが惹かれるだろう。ルディウスだって、彼女を愛していたはずなのだ。
なぜ前世と状況が違うのかは分からない。
だが、俺が犯した罪を思えば、二人の好意に甘えることなどあまりにも都合が良すぎるし、何より良心がきりきりと痛む。
だから俺は、どれだけ胸が痛もうと二人と距離を取り続けなければならないのだ。
なのに——なぜなんだ。
なぜルディウスは俺の名を呼ぶたび、まるで世界で一番愛おしいものを見るような瞳で俺を見つめてくるのか。
(……俺の、都合のいい錯覚なんだろうか……)
差し出されたあたたかな手を握り返すこともできず、俺はただただ、自分の浅はかさと胸の痛みに耐え続けるしかなかった。




