第83話 断れない理由
マンドラゴラ戦隊の劇場版かぁ。
特別ゲストの声優とか来るのかな?
グリーンに四天王の女幹部、皇帝、それから音楽も担当。
なんていうか……エンドロールがキラキラ王子で埋め尽くされそうね。
「劇場版のエンディング曲知りたい?」
「いいえ」
会議から解放されたので、帰ろうとしたらキラキラ王子に話しかけられた。
とてもいい笑顔だし、嫌な予感がするから逃げよう。
「遠慮しなくていいんだよ、さぁ行こうか」
「私のオフ!!」
そのままいつものスタジオに連れてこられた。
もはやこの高級ヘッドホンが私専用に思えてきたわ。
「あ、こはるが来たー」
「猫」
「頑張ってね~」
何を?
私、理由も説明もなくここに連れてこられたんだけど!
「はいこれ歌詞」
「……」
渡されたのは、マンドラゴラ戦隊劇場版のエンディング曲だった。
「こういうのって豪華キャストに頼むとか」
「国民的アイドルなんでしょう? 十分豪華だよ」
ぐっ、普段から自分で言ってることだから否定できない。
「で、でもアイドルじゃこの曲のイメージに合わないと思うんですけど……」
無駄だと知りつつ抵抗してみた。
「もちろんブルーバージョンで歌うに決まっているでしょう」
やっぱり無駄だった。
知ってたわよ!
でもちょっと抵抗してみたかっただけよ!
「でもそっか、受けてくれないなら仕方ないね」
キラキラ王子が引いてくれた……?
「演奏はPHANTOM BEATにお願いしたんだけど……残念だよ」
「ひゃぁぁぁぁ!」
「時間を取らせてごめんね、歌は別の人に――」
「やります!」
「何か言ったかな?」
「やらせてください、お願いします!!」
土下座する勢いで頼み込んだら、すっごくいい笑顔が返ってきた。
知ってる。
作戦だって分かってる。
でも、PHANTOM BEATと共演する夢のような機会は逃がせない!
「音源はもうあるんだ。じゃあ歌おうか」
「……猫は何でいるんですか?」
「こはるが来るっていうから遊びに来た!」
ただの見学だった。
バックコーラスで入るとか、なんかあるでしょう!




