第65話 のびのび育ってます
今日はマンドラゴラ戦隊の収録の日。
終わったら仕事も終わりだし、今日は何をしようかなぁ。
「おはようございまーす!」
スタジオに入って最初に顔を合わせたのは監督狂い、もといお兄ちゃんだった。
「お兄ちゃんおはよう」
「はい、おはようございます」
「!?」
近くにいた監督が凄い顔でこっちを見た。
「いつから兄妹になったの?」
「昨日です」
「昨日!?」
白藤さん絡み以外では、あまり情緒を乱さないイメージの監督がうろたえている。
「こはるさん」
「はい?」
「僕は将来、監督の養子に潜り込むつもりです。だからお義父さんと思っていいですよ」
「分かった」
「何を!?」
そこに白藤さんも出勤してきた。
「おはようございます」
相変わらず周囲の空気が清浄ね。
監督がふらりと行こうとしたところで爆弾がもう一つ投下された。
「白藤さんはお義母さんです」
「はぁい」
「!?」
監督がむせた。
「まだ恋人ですらない!」
「嘘でしょう!?」
あれだけ空気が完成されているのに、まだだったの!?
「それより!」
ビシッと監督がお兄ちゃんを指さした。
「僕は君を養子にするなんて一言も言ってないよ!?」
「自然に家族になっていきましょうね」
「僕がワガママ言っているみたいに言わないで!」
監督、私も、私も。
「日向さんも止めよう!?」
家族……お小遣いを貰ったり、一緒にご飯を食べに行ったり、一緒に暮らしたり、一緒に旅行に行ったりするあれよね。
「お義父さん、お小遣いちょうだい」
「すでに適応してる??」
「皆さん、おはようございます」
そんなお義父さんの隣まで歩いてきたお義母さんが、楽しそうに笑っている。
なるほど、家族。




