第62話 また撮られた
「こはる、遊びに行こー」
「今日はどこ?」
最近、猫に誘われることが増えたわね。
さすがにゲームセンターでノリノリで踊ったことはバレて、事務所に怒られたけれど、SNSに載った情報は好意的なものが多くてお咎めはなしだった。
一緒に踊った彼は、動画でまた私とコラボしたいと言っていたらしい。
でも、その動画を見る前にゲームセンターで再会して勝負しちゃったのよね。
事務所には「せめて言いなさい」と、これも怒られた。
約束していたわけじゃないから言えるわけないと思う。
「要くん今日も可愛いー!」
「私ともデートしよー!!」
「また今度ね~」
荷物を取ってきたら、アイドル仲間が猫にハートマークを飛ばしていた。
意外とモテるのね。驚きだわ。
「今日は玄に偵察を頼まれてるんだよね」
「偵察……?」
熊さんに?
「最近、こはるみたいなことしてるアイドルがいるんだって」
「私みたいなこと?」
「ゲームセンターで遊んだり、ファンと交流したり」
「別に普通じゃない?」
「全部配信してる」
……ん?
「しかもやらせじゃないかっていう疑惑もあって、それが変な形に捻じれてこはるに被害が及ぶ前にどうにかしたいなぁって」
熊さん……見えないところでも私を守ろうとしてくれてる?
でも、その偵察に私を使ったらあんまり意味ないと思う。
「それで偵察な訳ね」
「遊びに行くついでにね!」
どうやらゲームセンターで遊んで話題になった。という部分しか広まっていないらしく、食べ歩き部分は真似していないらしい。
私、猫と遊ぶ時は食べ歩きの頻度の方が高いんだけどなぁ。
「あっ、おがただー!」
「おやこんにちは」
おやつを求めて歩いていたら、ゲームセンター前で監督狂いと遭遇した。
なんでこんな所に……。
「ここで何やってるのー?」
「ガチャをしていました」
すごい似合わない単語が聞こえてきた。
「……何の?」
社交辞令で聞いてみたら、得意げに商品を見せてくれた。
「マンドラゴラ戦隊のガチャ? えっ、こんなのあるの!?」
「このゲームセンターだけにしかないですが」
「僕もやってみよー」
猫がさっそくお金を取り出した。
ガチャまで制限がつかないように、加減して遊びなさいよ。
「あれ、日向こはる?」
小さく呟いた声は誰にも聞かれなかった。
取り出したスマホでこっそり写真を撮る。
そして後日。
『日向こはるがゲームセンターで男といたけど彼氏?』
そんな一枚の写真がSNSに匿名で投稿された。




