第57話 推し活の到達点
今日は朝からマンドラゴラ戦隊の収録。
「おはようございまーす!」
収録スタジオに入ると、既に何人か集まっていた。
いつもの顔ぶれを見ると安心するわね。
「おはよー」
田中が相変わらずほわほわしている。
「よぉ」
レッド役は相変わらず不遜ね。
まぁ返事が返ってくるだけマシかしら。
「おはようございます」
「おはよ……」
挨拶に振り向けば、見たことがある顔がそこにいた。
「~~!!」
猫と行ったアイス店で出会った監督狂いがそこにいた。
「先日はどうも」
「な、なんでここにいるの!?」
「今日から監督の秘書として働くことになりました」
就職したいとは言っていた。
確かに言っていた。
でも数日前よ!?
秘書ってそんな気軽に決まるものなの!?
「えっ、面接とかは!?」
「その場で採用していただきました」
そこで監督狂いの視線がキラキラ王子に向いた。
何かしら?
「九条さんに」
「……??」
「僕は監督の秘書ですが、雇い主は九条さんです」
ややこしいわね!
「それでいいの?」
「監督のお傍で働けるなら何も問題ありません」
そうね、「監督のデートを見られるかもしれない」という低確率な博打のために、アイス店に張っていたぐらいだし。
思えばあの店で私に声を掛けたのも、監督情報を仕入れるためだったのね。
「緒方君、これお願い」
「はい!」
監督に呼ばれ、嬉々として仕事に戻っていった。
馴染んでる!!
怖い!!
監督への愛で就職した!!




