第52話 推し活
猫と男性はすっかり仲良くなり、マンドラゴラ戦隊のストーリーで盛り上がっている。
「二話の『ここから先は一歩も通さない』って台詞、何度も見返しました」
しかも声優やってる私より詳しい。
「そんな細かいところまで覚えてるんだ」
「はい! 監督の作品が全部好きで、設定資料集も全部持ってます!」
しかも個人的に監督のファンサイトも運営しているガチ勢だった。
ブルーが一番好きなだけで、監督の作品全体が好きだったのね。
私のファンじゃなかった。
監督のファンだった!
ちょっと恥ずかしい。
絶対に口に出せない!!
「なんかファンサイト開けそうな勢いだねー」
「趣味ですけど、監督のファンサイト持ってますよ」
「へぇ! 見てみたい!」
私も興味あるわね。
個人でやってるサイトだし、ブログみたいな感じかな?
「どうぞ!」
猫のついでに私もサイトを教えてもらい、サイトを開いたら……。
今より少し若い監督の写真と、代表作が並んだトップページが表示された。
監督の経歴。
作品年表。
作品別キャラクター紹介。
インタビューまとめ。
非公式グッズまで含めた一覧。
ちょっと待って。
想像以上にプロ仕様なんだけど。
「これ、公式?」
「いいえ、趣味です」
猫の表情が完全に宇宙猫になってる。
「すご……」
「放送当時から少しずつ更新してるんです」
しかもイラストや設定資料の掲載許可まで取っているらしい。
「掲載許可まで取ってるの?」
「イベントでお会いした時にお願いしたら、快く許可してくださいました」
あの人、イベントなんて出演するんだ。
そっちの方が驚きかも。
(これ、本当に私の知ってる監督?)
元々超売れっ子な監督で、過去に伝説作品を持つ。
事情があって一度監督を廃業したが、マンドラゴラ戦隊制作のために復活した。
あの「白藤さん、白藤さん」って、それしか言わない監督の話よね?
「実は今日ここに来たのも、監督が大好きな白藤さんがアイスが好きだという情報をゲットしたからで」
そっちの話も普通に知ってた!!
「運が良ければ監督とデートしている姿見れないかなって思って」
「スタジオに就職した方が早くない?」
猫が真っ当なツッコミを入れた!!
「就職しようと思った時期と、監督が一度引退した時期が重なってしまって」
情熱だけで本当に就職できそうな人材ね。
ただ猫とアイスを食べにきただけなのに、とんでもない人材に出会っちゃった。
「……今も監督と働きたい?」
「はい! その為に必要な知識と資格は取ったんですよ!」
猫の問いに目を輝かせて答える男性。
何が必要か分からなかったので、とりあえず秘書検定を取り、事務やスケジュール管理も勉強したらしい。
今ではリモートワーク中心で事務職として働いているという。
監督に人生を捧げすぎじゃない?




