第51話 写真一枚
食べる前にもう一枚だけと、パンケーキの写真を撮っていたら、近くにいた男性がおずおずと声を掛けてきた。
「あ、あの……」
「はい?」
「こ、こはるちゃん……ですよね?」
眼鏡を掛けた男性が、緊張した様子で両手をもじもじさせている。
なるほど、私のファンね!
そう言えば普通に変装忘れていたわ!
「いつも応援してます!」
「ありがとうございます!」
握手を求められる事もなく、男性は真っ赤なまま頭を下げただけだった。
視線がチラチラとお皿に向いている……?
はっ! もしかして!
「ブルーを知ってる?」
「は、はい、あの、マンドラゴラ戦隊の中でもクールで理不尽なブルーが一番好きです」
私はパンケーキのお皿を持ち上げた。
「どうぞ! 写真撮って良いって、お店の人から許可も得ているわ!」
「いいんですか?」
「もちろんよ!」
「こはる~、机の上に置いた方が映えるよ」
「それもそうね!」
見栄えよく皿を置き直し、さぁどうぞと差し出したら、遠慮なくパシャパシャと写真を撮り始めた。
本気のマンドラゴラ戦隊ファンだった。
あのアニメにファンがいるという概念を持っていなかったわ。
「この葉っぱの再現度が凄いですね」
「ねー、これって何で作られているんだろ?」
猫がファンと普通に会話している。
こいつコミュニケーション能力、普通に高いわよね。
「ついでだから僕のも撮ってー」
「リアルすぎて怖いですね」
そのまま猫と男性がキャッキャと話し始め、猫の隣を勧められてそのまま座ってしまった。
まるで昔からの友人のような距離だ。
ちょっとアンタ、私のファンなんじゃなかったの!?




