第50話 店長の趣味
「お待たせしましたー!」
運ばれてきたパンケーキを見て、私は固まった。
「……え?」
ふわふわのパンケーキの上には、生クリームと季節のフルーツ。
青いクリームやチョコペンで描かれていたのは――
「ブルー?」
マンドラゴラ戦隊のブルーだった。
細部まで作り込まれていて、再現度が高い。
えっ、これ食べていいの?
パンケーキアートにしてもレベル高すぎない!?
「ねぇねぇ、ここってアイス屋だよね?」
「アイス屋ですね。でも店長がやりたいことをやるために開いたお店なので、店内メニューは日替わりなんですよ」
戸惑う猫の質問に、店員さんがにこやかに答えている。
アイス屋の皮をかぶった趣味の店?
「写真に撮ったり、SNSに上げたりしていーい?」
「どうぞー」
いいらしい。
写真OK。
SNS投稿もOK。
パンケーキアートのレベルも高い。
駅に近くて、お店もおしゃれ。
これだけ条件が揃っているのに、何でこのお店、話題になってないんだろう?
「こはる、こはる、写真撮らせて」
「はいはい」
お皿を猫の方に向け、グラスも映るように配置する。
「凄い凄い! 玄に送ってやろう」
「熊さんなら対抗してきそうね」
次に運ばれてきたパンケーキを見て、今度は要が固まった。
「……すご」
チョコペンで毛並みまで丁寧に描き込まれた熊がこちらを見つめている。
リアルすぎて怖い。
話題になりにくい理由、これだったりして。
「普通のパンケーキは……?」
「店長の気分次第ですね~」
ごゆっくりどうぞ~と言って店員さんが下がっていく。
「写真は撮らないの?」
「撮る……撮るけど、これ、どこから食べればいいの!?」
それは、本当にね。




