第49話 アイス日和
外に出ると夏の日差しが眩しかった。
「アイスを食べに行くのはいいけど、どこにあるの?」
「あっちー」
猫が元気いっぱいに歩き出す。
あっちは確か駅方面ね。
「新しいお店?」
「そうそう、ほらこれー」
差し出されたスマホの画面には、新しくオープンしたアイス屋の写真が映っていた。
背景には駅近くの公園が写っている。
カップルや家族連れが多くて、私はあまり近付かない場所だった。
彼氏の一人もいない私にはあの空間は眩しすぎるのよ。
「トリプルもできるらしいんだ」
「やめときなさい、溶けるわよ」
「じゃあダブルにしよ」
「そうしなさい」
カップとコーンが選べるのは普通。
ただこのお店、クレープ生地も選べるらしい。
「クレープの生地は米粉使ってるんだって」
「この間、熊さんがパンケーキに使ったやつよね」
普通のパンケーキとは少し違って、もちっとしていて美味しかったわ。
「あれ、日向こはるじゃない?」
「似てるけど違うかな?」
猫と何の生地にするか悩みながら歩いていた私は、そんな周囲の声に気付かなかった。
「あっ、お店はっけーん!」
「お客が少なくてラッキーね!」
何とこのお店、店内で食べるとパンケーキも注文できるらしい。
「パンケーキあるなんてネットに載ってなかった……」
「現地じゃないと分からないやつね、ほら、生地を選ぶわよ」
オープンしたばかりだから、まだ情報が少ないのかしら。
「……こはる、パンケーキ食べたい」
「この間食べたでしょう」
「でも、ほら」
差し出されたメニューには、熊の顔をしたパンケーキが載っていた。
「季節のフルーツも添えられるんだって」
「アイス店なのよね?」
「店長の趣味です」
私の言葉に店員さんがにこやかに答えてくれた。
自由な店長さんなのね。
「僕これ食べたい、それで写真撮って」
「はいはい。何か飲み物頼んでいい? 喉乾いちゃった」
「やったー! じゃあ店員さん、僕はこのパンケーキ、アイスは――」
何せ支払いは猫。
遠慮する理由なんてなかった。




