第5話 代役が現れた!
収録直前。
(やったわ! 今日の悪役は女性! 私以外の女の子が来る!)
ついにこの現場に、「普通の会話ができる存在」が来る!
ギャルでも妖艶系でも、絶対に仲良くしてみせる!
(これで紅一点じゃなくなる。何としても仲良くなって、女子トークするんだ!)
テンション上げていくわよ!
(ようやくこの現場のバランスが正常に――)
「すみません、ベラドンナ役の方、体調不良でお休みです」
(は?)
一瞬、思考が止まる。
おいスタッフ、今なんつった?
いつもの敵は敵の中でもかなりの雑魚で、キャッキャウフフとマンドラゴラ戦隊の邪魔をして、泣かされては撤退している。
今回はそれに業を煮やした幹部が出てくる予定だった。
「代役はどうします?」
スタッフが監督を見る。
うわぁ、眉間に名刺挟めそうなくらいしわ寄ってる。
「ここで解散したら……白藤さんを見る時間が削られるっ、それは嫌だ。俺の魂の癒し!!」
幹部が休んだことより、収録がなくなってピンク役の人が帰る方が嫌みたいね。
私は普通に帰りたい。
「か・ん・と・く」
駄々をこねる監督に近付いて行ったのは、悪魔のような笑顔を浮かべるグリーン役のキラキラ王子だった。
爽やかなのに、キラキラオーラが隠せてないのよね。
「僕がやりましょうか」
「俺のアニメが乗っ取られるっ!」
「はいはい、今度、好きなキャラのキャラソン作ってあげますから」
「白藤さんので!!!!」
謎の取引が行われ、成立しちゃったんだけど?




