第39話 勉強しよう
クイズだとしても、ある程度のボケは許されるはず。
ただ、外し過ぎるのもきっとまずいわよね。
「わざわざ事前に『歴史クイズやります』って知らせるなんて、勉強してこいってことじゃない」
「そうなんだよぉ……」
田中がしょんぼりしている。
私も泣きたい。
「真面目にその日の収録休む?」
「うぅ、本当にそうしたい」
スマホにマネージャーから通知が届いた。
内容は、まさに今話題にしている歴史クイズについて。
…………え?
「レギュラーメンバーが一人でも休んだら、歴史クイズは次回に回されるらしいわ」
「そんなのあり!?」
普通はない。
レギュラーが一人でも欠けたら企画延期とか、この企画にどんな執念燃やしてるのよ!
企画した人、絶対に私たちを逃がす気ないわね。
「どうにかして覚えないと……」
「うん」
二人して真っ青になっていたら、前の席からクスクスと笑い声が聞こえてきた。
「……なによ」
「助けてあげようか?」
黒い人の肩に頭を乗せたまま、にっこりと笑うキラキラ王子。
その笑顔が一番怖いのよ。
「はい、これ」
「……?」
そのままの体勢で、メモをこちらへ差し出した。
そうですか。
動く気はないから私に手を伸ばせってことですか。
黒い人、ちょっとこの男を甘やかしすぎじゃない?
内心でブツブツ言いながらメモを受け取り、ソファへ座り直して中を見る。
「何これ」
メモに書かれていたのは、歴史年号を歌にした歌詞だった。
語呂合わせ?
「リズムを付ければ覚えやすいでしょ?」
「それは、そうだけど」
「スタジオも貸してあげるから、今日の収録が終わったら行こうね」
「わぁ!」
「田中、正気に戻りなさい!」
この世に只より高い物はないってマネージャーが言ってたわ!
罠よ罠!
「歌にダンスも付ければ、もっと覚えやすいよ。運動にもなるし」
「……」
もしかして……太ったの、バレてる?




