第37話 横綱オムレツ
「こんな大勢で行って大丈夫ですか?」
「予約してあるから大丈夫です」
心配そうにする白藤さんに、のほほんと答える熊さん。
二人が並んでいるせいで、私の隣には歯をギリギリさせる監督がいる。
……離れたい。
スタッフ、一緒に食事に行くなら私をそっちに混ぜなさいよ!
熊さんが見つけただけあり、お店の入口は大きめだった。
体格が日本人の規格外なのよね。
むしろ服が売っていることに驚いた方がいいのかしら?
「人数多いけど大丈夫かな?」
「はい、お待ちしておりました!」
元気のよい店員さんに席に案内されたけど、スタッフは途中で別の席に離れていった。
あ、あいつらっ!
席は4人掛けだった。
私の隣には熊さん。
正面には黒い人、斜め向かいにキラキラ王子。
白藤さんたちは隣の卓。
どうしてこうなった。
「デミグラスも美味しそうだなぁ」
熊さんはきっと二人との付き合いが長いのよね、だから目の前の二人のやり取りもスルー出来るんだろう。
「チーズにも種類があるんだ」
「二層のオムレツもある」
「これは悩むなぁ」
「好きなのを二つ選べばいい、半分俺が食べる」
何あれ。
熟年夫婦だと思ったら甘さが新婚レベルなんだけど。
「こはるちゃん決まった?」
熊さんのスルー力を私も見習おう。
二人から視線を外し、メニューを覗き込む。
オムレツだけで十種類以上ある。
えっソースも選べるの!?
「熊さんはどれにするんですか?」
「前回はチーズオムレツにしたから、今日はこれかな」
「……」
熊さんが指したのは『横綱オムレツ 1kg』だった。
オムレツに横綱ってあるのね。
私は海老クリームにしよう。
サラダはアボカドで。




