第21話 熊さんは優しい
熊さんは食べた。
体形のイメージ通り、モリモリ食べた。
「こはるちゃん、網、熱くない?」
「大丈夫です!」
しかも合間に私を気遣ってくれて……。
これが大人の包容力。
「それ、まだ焼けてない」
肉を取ろうとしたキラキラ王子を黒い人が止める。
「え、そう? 焼けてると思ったんだけどな」
「生だ」
そのまま「こっちを食べろ」と言わんばかりに、キラキラ王子の皿へ野菜を置いている。
空気が恋人を通り越して、熟年夫婦なんだけど。
「こはるちゃんはデザート入る?」
熊さん優しい。
この空間、熊さんがいなかったら精神的に無理だった。
「いけます!」
熊さんは気持ちがいいくらいよく食べる。
つい視線で追っていたせいで、食べ損ねていた。
……おかげでデザートが入る余地があるわ!
大食らいで、一口も大きい。
網の上の肉が次々消えていくのに、食べ方は不思議なくらい綺麗。
がつがつしている訳じゃない。
口いっぱいに頬張るのに、見ていて嫌な感じがしないのよね。
むしろ気持ちいい。
美味しいものを美味しいって全身で表現しながら、幸せそうに食べている。
動物がご飯を食べる姿を見て癒される、あの感覚に近いのかもしれない。
「このチョコタワーいってみる?」
「え、これですか? デザートに食べるにはチャレンジャーすぎませんか?」
「大丈夫、残りそうだったら僕が食べるから」
「玄、甘やかすね」
「こはるちゃんは今日頑張っていたからね」
優しい!
何度でも言える。
熊さん優しい!
疲れた心に沁みる!
……マンドラゴラ戦隊の現場に来てくれないかしら。




