第21話 無自覚は危険
通されたのは奥の広い席だった。
前に通された場所よりスペースが広めで、椅子も大きい。
「この椅子、安定していいよねぇ」
「玄のわがままが発端だけど、おかげで体格がいいタイプに好評だよ」
まさかの熊さん仕様だった。
キラキラ王子と黒い人が当然のように隣に座ったので、自然と私の隣は熊さんになる。
(近い)
いや、これは近いというか、幅が大きいから自然と体が近くなってしまうというか……。
私はアイドルだから、体も顔も小さめだ。
熊さんは規格外に大きい。
隣り合うと、大人と子供というより、大人と小人である。
「こはるちゃん、何食べる?」
「……っ」
熊さんの優しい声に変な声が出そうになって、咄嗟に耐えた。
(こ、こ、こここ、こはるちゃん!? なにそれ、可愛い!!)
変人の男しかいない環境だから、優しい声音がストレートに胸へ刺さった。
「カルビと牛タンは頼むとして、あとハラミとホルモンかなぁ」
しかし熊さんは私の動揺にまるで気付かず、慣れた様子で注文していく。
「カルビは三人前、あと米大」
待って、普通に量が多い。
「玄、まだ頼むの?」
「今日は働いたから」
働かされたの間違いでは?
「こはるちゃんは白飯いる?」
「はい!」
食べる。
頑張った私、偉い。
美味しい肉があるなら食べなきゃ損よ!




