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第20話 オーナーでした
「じゃ、軽く合わせるか」
熊さんがスティックをくるりと回し、ドラムの前に座る。
その瞬間、空気が変わった。
(……え?)
さっきまで癒し系の巨大熊だったのに。
音に触れた途端、別人みたいだった。
その後は普通にスパルタだったし、ようやくOKが出た頃には外が夕焼けに染まり始めていた。
キラキラ王子、こいつ、人の心がないの!?
「つ、つかれ、た……」
「お腹空いたねぇ」
うんうんと、同情はしてくれる。
でも音楽で妥協はしてくれなかった。
巨大熊さんは、しょせんキラキラ王子の手下だったのよ!!
「もう夕方に近いね、夕食ついでに焼肉食べに行こうか」
「いつもの所がいいな、椅子がしっかりしてるから」
「はいはい」
完全に常連の会話だった。
向かった先は、先日スタッフ皆で来た焼肉店。
「席開いてる?」
「オーナー、いらっしゃいませ。いつもの席が空いています」
そしてキラキラ王子がまさかのオーナーだった。
(待って)
焼肉店のオーナーなの?
音楽やって、声優やって、焼肉屋経営してるの?
こいつの財力、どうなってるの。
もしかしてビルも焼肉屋も、氷山の一角なんじゃないでしょうね……?




