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Queenの仰せのままに  作者: 成瀬琴音
2/5

episode 1

『いよいよ本日12時、国会議事堂前で日本政府によるソルジャーの発表となります。報道陣も集まり、今か今かと待ち構えております。生中継で放送され……』

「うわ、どれもニュースばっかりだ。え〜この時間のワイドショー楽しみにしてたのにぃ」

 昼飯のラーメンをすすりながら、妹がそう愚痴をこぼす。基本的にテレビには興味がない俺にとっては、ニュースであろうとワイドショーであろうと、どうでもいいことだ。

「んね、お兄ちゃんは興味ないの? ニュース」

 箸でテレビを指して「これこれ」と訴えてくる。さすが妹だ。よく分かってる。

「……別に誰でもよくねぇか? 結局俺ら国民は全員巻き込まれるんだし」

「でも気になるよ! だってソルジャーは日本を背負うことになるんだよ? その人達が外国より弱くて、日本が植民地にされちゃったらやだもん」

 まあ、妹が言うことも分からなくもない。これから始まる戦争に、みんな不安なんだ。俺だって興味こそないが、今何が起こってるかぐらい理解してる。戦争の発端は……いや、発端はない。強いて言えば昔からの国同士のいざこざだろう。国同士の不仲は、昔から少しずつ大きくなっていった。嫉妬や確執は膨らみ、はち切れるのは時間の問題だと、誰もがそう思っていた。その引き金を引いたのは……アメリカ合衆国。その圧倒的な力で、国を一つ消した。アメリカ合衆国兵の中でも一際目立ったのは7人の特殊能力者だ。攻められた国は、7人に手を触れることもなく散った。他国はアメリカを恐れて気を鎮めるよう手を施したが、権力を持つアメリカがそう簡単に引き下がるわけがない。だが、アメリカは一つ提案してきたんだ。『兵を7人にしてやってもいい』と……日本を含む全ての国が7人なら、と心を落ち着かせた。何万人もの兵よりはマシだと、そう思ったんだろう。他国はアメリカの提案にすぐさま賛同した。フェアを保つために、どの国も兵士は7人で行われることになり……その兵士が今日決まる、というわけだ。直接戦うのは7人だが自国が戦場となるわけだから、7人にしたところで死人が出ないなんてことはないだろう。結局犠牲者が出るんだ。

「お兄ちゃん! あと1分だって! クイーンが私だったらどーしよ!」

「んなわけあるか。ソルジャーは18歳以上だっての。おまえ16だろバカ」

「そーだけどー。この国のクイーンだよ!?……クイーンって呼ばれてみたい……」

 クイーンになりたいと言う妹に呆れる。クイーンとはソルジャーの1人だ。ソルジャーはランク付けされており、下からビショップ、ナイト、ルーク……そして最も力を持つと言われてるのがクイーン。常に戦場にいることになる人物だ。そのクイーンになりたいだなんて、自分から死にたいと言ってるもんなのに、妹は考えが甘い。

『午後12時になりました! 内閣総理大臣率いる日本政府が今! 国会議事堂前に姿を現しました!』

「お兄ちゃん! そんな汁ばっか飲んでないでテレビちゃんと見て! 発表だよ発表!」

「はいはい」

 興味がなさすぎて見る気が起きない。特殊能力を持ってる奴なんて俺の周りにはいないんだし、心配する必要もない。妹には悪いが、ラーメンが先だ。汁が冷めてしまう。

『えー内閣総理大臣の小川誠一郎です。この度、日本のソルジャーが決定し、ここでその発表を行いたいと思います。えー日本には人権がございますので、本名は明かさずにイニシャルと年齢だけの発表となります。ご了承下さい』

「え! 嘘! イニシャルだけとかありなの!? そんなの誰だか分かんないじゃん!」

「うっさいわ! 部屋狭いんだからボリューム考えろよ!」

「お兄ちゃんのがうっさい! あー!もう1人聞き逃したー!お兄ちゃんのせいだからね!」

「あぁー? なんで俺のせいになんだよ!」

「お兄ちゃんが文句言うからでしょ!?もー……あ! イニシャルK.Oだって! お兄ちゃんと一緒だよほら!」

「あ、ほんとだ。ってだからなんなんだって話だよ! 俺と同じイニシャルなんて何万人といるわ!」

『えー以上です。該当者には政府から担当者が派遣され、すぐさまバトルの準備に入っていただきます』

 なんだ。あれだけ騒いだわりにはあっさりしたもんなんだな。ほんの数分しか喋ってないじゃねぇかよ総理大臣さん。もっと説明とかないのか? 該当者は人生変わるようなもんなんだぞ? まぁ俺の知ったこっちゃねぇわな……

 ピンポーン

「お兄ちゃん、出て」

「お前のがドア近いだろ。お前が出ろよ」

「やだ寒い」

 こんの我儘妹。いつもそうだ。インターホンが鳴ってドアを開けに行くことをこいつがしたことなんてない。重い腰を上げ、妹を睨みながらコタツから出る。

「はいはいどちら様?」

 ガチャリとドアを開けると、そこにいたのは

「お迎えに上がりました。大島翔太さん、ご同行願います」

 いきなりスーツの集団に囲まれるなんて、意味が分からない。


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