第十六話 新しい街へ
無色から始まったセレスたちの冒険は、ついに地方の町を飛び出します。
次の拠点は、王都に近い大都市ヴェルンハイム。
依頼も人も面倒ごとも、たぶん今までより大きくなりそうです。
新しい街へ、いざ出発。
「――というわけで、俺たち、しばらく拠点を移すことになった」
朝食の席で、ガロンが唐突にそう切り出した。
「拠点を移す?」
「ああ。ギルドから正式に要請が来てな。東の大都市――王都に近い『ヴェルンハイム』ってところで、銀ランク以上のパーティーが不足してるらしい。臨時の応援要員として、しばらく向こうで活動してほしいそうだ」
「王都に近い、ね」
セレスは興味深そうにつぶやいた。
これまで活動していたのは、あくまで地方の町だ。もっと大きな街となれば、依頼の規模も、出会う人々の幅も変わってくるはずだった。
「面白そうじゃない」
「私も王都方面の情報は、いろいろと集めておきたかったところよ」
イリスが静かにそう言った。
街道事件で口にした「追ってる相手」――その手がかりが、王都近くにあるのかもしれない。
セレスはそれとなく察したが、あえて何も聞かなかった。
「私、王都に行ったことないです! 楽しみ!」
ミュゼが無邪気に声を弾ませる。
「よし、決まりだな。準備が整い次第、出発するぞ」
ガロンの号令に、四人はそれぞれ頷いた。
数日後。
荷物をまとめた四人は、馬車に揺られながら東を目指していた。
「王都って、どんなところなんですかね」
「行ったことないから分からん」
「私も噂でしか聞いたことないわね。大きな城壁に囲まれた、この大陸で一番栄えた街だとか」
揺れる馬車の中で、他愛のない会話が続く。
セレスは窓の外に流れる景色を眺めながら、ふと自分の手首の紋様に触れた。
(新しい場所、か)
女神から聞いた、「理解すればするほど強く継承できる」という力の性質。
これから出会う人々や、経験する出来事が、この力をどう育てていくのか。
そんなことを考えると、少しだけ胸が高鳴った。
「――着いたぞ」
やがて、遠くに巨大な城壁が見えてきた。
街を囲むように連なる石造りの壁は、これまで見てきたどの町よりもはるかに大きい。
「これが、ヴェルンハイム……」
馬車の窓から身を乗り出したミュゼが、感嘆の声を漏らした。
城門をくぐると、そこには活気に満ちた、これまでとは比較にならない規模の街並みが広がっていた。
「賑やかだな」
「銀ランク以上のパーティーがひしめいてる街よ。気を引き締めないと」
イリスの言葉に、セレスは軽く頷いた。
「まずはギルドに顔を出すか」
馬車を降りた四人は、街の中心にそびえる、ひときわ大きな建物――ヴェルンハイム冒険者ギルドへと足を向けた。
新しい街、新しい出会い、そして――まだ見ぬ何か。
セレスたちの物語は、次の章へと歩みを進めていく。
第十六話をお読みいただき、ありがとうございます!
舞台は大都市ヴェルンハイムへと移ります。
これまでの地方の町から一転し、新しい環境での物語が始まります。王都に近い大都市ということで、新キャラクターや新たな強敵との出会いも増えていく予定です。
イリスが抱える「追ってる相手」の手がかりも、この街で少しずつ見えてくるかもしれません。
長編としてまだまだ続いていく物語ですが、これからも楽しんでいただけるよう頑張ります。
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次話もお楽しみに!




