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女神の勘違いで女の子に転生した俺、ギルドで測定不能と言われたけど普通に無双してました  作者: 夜華カナタ
第一章 無色判定、はじまる

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第十五話 それぞれの理由

街道での騒動を終え、ようやく休みをもらえたセレスたち。


……だったのですが。

普段から騒がしい面々が、まともに休めるはずもなく。


少しだけ肩の力を抜いた、いつもよりゆるめの一話です。


「今日は依頼なし、完全休養日だ! 各自好きに過ごせ!」


朝一番、ガロンの宣言とともに、パーティーには珍しく丸一日の休みが与えられた。


「わーい! じゃあ私、街の市場を見て回ってきます!」


ミュゼが真っ先に駆け出していく。


ガロンも「俺は鍛冶屋に武具の手入れを頼みに行く」と言い残し、それぞれの方向へと散っていった。


「――で、あんたはどうするの?」


残されたセレスに、イリスがそう尋ねてきた。


「特に予定はないけど」


「なら、付き合いなさいよ」


「いいけど、どこに?」


「ついてくれば分かるわ」


そう言って、イリスは先に立って歩き出した。


セレスは軽く肩をすくめると、その後を追った。


連れて行かれたのは、町の外れにある小さな墓地だった。


「ここは?」


「私の育ての親が眠ってる場所」


イリスは一つの墓標の前で足を止めると、静かに膝をついた。


持ってきた花を供え、しばらく無言で手を合わせる。


セレスは少し離れた場所で、黙ってそれを見守っていた。


「――昔ね」


やがて、イリスがぽつりと語り始めた。


「私、生まれつき体が弱くてね。鑑定を受けた時、無属性――正確には、あんたと同じ無色判定だった」


「……そうだったのか」


「みんな、私を憐れんだわ。可哀想な子だ、って。育ての親だけは違ったけど」


イリスは花に触れながら、遠くを見つめるような目をした。


「あの人は、いつも言ってた。数字なんかより、お前がどう生きるかの方がずっと大事だって。だから私、必死に剣を振った。誰よりも練習して、誰よりも失敗して……気づいたら、金ランクにまで上がってた」


「ミュゼと似たような話だな」


「あら、気づいてた?」


「なんとなく」


イリスは小さく笑うと、立ち上がって埃を払った。


「あの人は、私が金ランクになる少し前に、病気で亡くなった。だから、私の成長を見せられなかった」


「それは――」


「同情はいらないわ」


イリスはやや強い口調で遮ると、それから少し柔らかい声で続けた。


「ただ、あんたを見てて思ったの。無色って言われても平然としてる姿が、なんだかあの人と重なって」


「俺、そんな大層な人間じゃないけど」


「そういうところが、似てるのよ」


軽く笑うイリスに、セレスは少し面食らったような顔をした。


「あんたが何者なのかは、まだ全部は知らない。でも――」


イリスは真っ直ぐにセレスを見据えた。


「あんたのそばにいると、なんだか、あの人の教えを裏切ってない気がするの。だから、しばらく一緒にいさせて」


その言葉には、いつもの刺々しさはどこにもなかった。


「別にいいけど」


セレスは肩をすくめながら、あっさりとそう答えた。


「そういう、あっさりしたところも嫌いじゃないわ」


「褒めてる?」


「さあ、どうかしら」


いつものやり取りに、二人は顔を見合わせて小さく笑った。


夕暮れ時、宿に戻った四人は、久しぶりにゆっくりとした夕食を囲んでいた。


「今日は皆さん、それぞれ楽しんでました?」


「市場で美味い串焼き見つけたぞ」


「私は剣の手入れが終わって満足だ」


賑やかに話す三人を眺めながら、セレスはふと、この時間の心地よさを噛み締めていた。


(無色から始まった旅も、随分と賑やかになったもんだな)


女神の勘違い、ガロンとの出会い、ミュゼの明るさ、イリスの過去――。


知れば知るほど、この力も、この仲間たちとの絆も、深くなっていく気がする。


「――セレス、何ぼーっとしてるの。食べないと冷めるわよ」


「今食べる」


軽口を返しながら、セレスは食事に手を伸ばした。


窓の外では、町の明かりが一つ、また一つと灯り始めていた。


彼女たちの旅は、まだまだ続いていく。

第十五話をお読みいただき、ありがとうございます!


これで「銅ランク編〜街道事件編」は一区切りとなります。


ついに、イリスの過去が明かされました。無色判定を受けながらも金ランクまで上り詰めた彼女の背景や、セレスとの共鳴を感じていただけたら嬉しいです。


「理解すればするほど力が強くなる」という新ルールとも、実は今回の絆の描写がつながっています。


次のアークからは、また新しい舞台と新しい出会いを描いていく予定です。長く続けていく物語ですので、気長にお付き合いいただけますと嬉しいです。


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次話もぜひよろしくお願いします!

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