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女神の勘違いで女の子に転生した俺、ギルドで測定不能と言われたけど普通に無双してました  作者: 夜華カナタ
第一章 無色判定、はじまる

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第十四話 女神、また来る

転生先では無色判定。

能力は測定不能。

なのに、女神からはなぜか追加で呼び出し。


――今さら何の用ですか?


セレスと、やらかし女神。

異世界での冒険の途中に挟まる、少し不穏でちょっと迷惑な会話回です。

その夜、宿の部屋で一人になったセレスは、疲れた体を寝台に横たえていた。


「……疲れた」


街道での一件から数日。パーティーはようやく一息つける休息期間に入っていた。


まぶたが重くなり、意識が少しずつ薄れていく。


――そして、次に目を開けた時。


セレスは、見覚えのある真っ白な空間に立っていた。


「え」


「あ、久しぶりですね!」


場違いなほど明るい声とともに、光り輝く空間の中心に、あの女神が姿を現した。


相変わらず神々しい空気を纏っているが、その表情はどこか気まずそうだった。


「あんた、まだ生きてたんだ」


「し、失礼な! 私は最初から生きてます! というか、死んでません!」


「そりゃそうか」


セレスは軽くあくびをしながら、周囲を見回した。


「ここ、夢?」


「はい。夢の中に少しだけお邪魔させていただいてます。実は、ちょっとご報告というか、訂正しておきたいことがありまして」


「訂正?」


女神は気まずそうに視線を泳がせながら、両手をもじもじと組み合わせた。


「以前、剣術の心得とか、体の動かし方とか、少し渡ってしまったかもって言いましたよね」


「言ってたな」


「あれ、実は『少し』どころじゃなくて、結構な量、渡っていたみたいでして……」


「……はあ?」


セレスは半眼になった。


あの初対面の日からずっと抱いていた予感が、ここに来て的中した形だった。


「詳しく言うと、颯くんが前世で――あ、颯くんっていうのは、あなたの元の名前ですね――前世で経験した、体の動かし方に関する記憶や感覚の断片が、かなりの部分、そのまま持ち越されてしまっていたようなんです」


「前世で剣術なんてやってなかったんだけど」


「その代わり、なんというか……格闘技や、スポーツの経験は?」


「まあ、ちょっとは」


「多分、それが土台になってると思われます。剣を握った経験自体はなくても、体を思い通りに動かす感覚――いわゆる運動神経というやつが、そっくりそのまま今の体に馴染んでしまったのではないかと」


女神は、おずおずとそう説明した。


セレスはしばらく黙り込み、それから深くため息をついた。


「……なるほどね。だから、あんな初見の相手にも対応できたわけか」


「はい。多分、そういうことだと……」


「あんた、本当にあの時、何を確認してたんだよ」


「……本当に、色々見過ぎてしまって……申し訳ございません」


女神はしゅんと肩を落とした。


神々しい見た目に反して、妙に人間くさい仕草だった。


「まあ、いいよ。おかげで無色扱いされても、それなりに戦えてるし」


「そう言っていただけると……!」


女神はぱっと表情を明るくすると、それから思い出したように付け加えた。


「あと、もう一つ。『借り物の力』についても、少しだけ分かってきたことがあります」


「へえ」


「あれは正確には、颯くんの前世の記憶や感覚の断片と、私が謝罪の証として込めた力が混ざり合って生まれた、いわば――」


「いわば?」


「私にも、まだよく分かってないんです」


「おい」


「す、すみません! ただ、一つだけ確かなのは、あの力は対象の『本質』を深く理解すればするほど、より強く継承できるということです。表面的な情報だけでは、部分的にしか力を引き出せません」


その言葉に、セレスは先日の戦闘を思い出した。


あの正体不明の男から力を継承できなかったのは、単に相性が悪かったのではなく、彼のことを何も知らなかったからなのかもしれない。


「なるほどね。理解、か」


「はい。仲間の皆さんのように、深く関わった相手であればあるほど、力も安定しやすいはずです」


「参考になった。ありがとう」


「い、いえいえ! こちらこそ、ずっと謝れずにいて、すみませんでした……!」


女神は深々と頭を下げると、それから光の粒子となって、少しずつ薄れ始めた。


「あ、それと、最後に一つだけ」


「ん?」


「颯くん――いえ、セレスさん。その体、今のあなたに似合ってると思いますよ。心から」


その言葉を最後に、女神の姿は完全に消えていった。



目を覚ますと、宿の窓から朝日が差し込んでいた。


「……夢、だったのか」


セレスは寝台から体を起こし、自分の手首の紋様に触れた。


まだ、微かに温かい。


(理解すればするほど、強く継承できる、か)


考えを巡らせながら、セレスはベッドから立ち上がった。


窓の外では、町の朝がいつも通り始まろうとしていた。


「――さて。今日は何から始めようか」


誰に言うでもなく呟いて、セレスは身支度を整え始めた。

あとがき

第十四話をお読みいただき、ありがとうございます!


ついに女神が再登場し、剣術の心得や身体の動かし方の謎にも、ひとまず説明がつきました。


そして、「理解すればするほど強く継承できる」という『借り物の力』の新たなルールも判明しました。


これから先、仲間との絆が深まるほど、セレスの力も強くなっていく――そんな展開を描いていければと思っています。


女神のポンコツっぷり、そして最後の一言に免じて、今回は許してあげてください(笑)。


次話からは、また新しい依頼と展開に進んでいきます!


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