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6:呪力が効かない少女

ス=スナップ モ=モリガン


ス「うわ! 何で居るんだよ!?」


モ「いきなり辛辣な言い方だな。別にいいだろうが」


ス「良くねぇよ! 人の家だぞ! 何くつろいでんだ!?」


 少女は、何故か俺の洞窟すみかに勝手に入って来たくせに、堂々とくつろぎ始めやがった。


モ「人の家ねぇ……洞窟を住居にする奴が何処にいるんだよ。アンタが勝手に住んでるだけだろうが」


ス「う……確かにそうだが……てかアンタ誰だよ?」


 こんなとこで痴話げんかをしている所じゃない。

そもそもこの野郎見たいな口調のメスガキは誰だ?


モ「あたし? あたしはモリガン。モリガン・ケットシーだ」


ス「あ、ああ……」


 モリガンと名乗ったメスガキは、目の前であぐらをかきながら、鏡を取り出して髪をいじり始めた。

鏡は高級商品だから、家柄は良いはずなんだが、それを感じねぇ喋り方と態度。

舐めた小娘だ……少し脅かしてやろうか。


ス「おい、あんま調子乗るなよ……? メスガキ。焼き殺すぜ?」


 俺は冷たく威圧を込めた口調で脅しながら、「呪打拳(メルティス・ドウォーン」をこのメスガキに構える。

だが、メスガキは俺にビビる様子はない。


モ「ちなみに、あんたの呪力はあたしには効かないよ。まぁ殴って来るなら遠慮なくやり返すけどね」


ス「なに……?」


 俺の呪力が効かないだと?


ス「アンタもあの”呪いの大怪獣”の噂を知ってて、正体が俺だと思ってんだろ? だったら俺の呪力の危険性も分かってるはずだ。それなのに俺の呪力が効かないってのはどういう事だ?」


 俺がその噂を初めて知ったのは、昨日(ループ前)だけどな。


モ「フフ、教えようか。なぜなら、あたしもあんたと同じ穴のムジナだからだよ……」


 メスガキはそう言うと、帽子を取る。


ス「頭の上に……獣の耳……?」


 このメスガキ……いやモリガンも異形症だったのだ。

「全身異形症」の俺とは違い、モリガンの場合は体の一部分のみ異形化している「半異形症」と言う特性だ。

極稀な「全身異形症」程ではないが、「半異形症」も世界的に見れば珍しい存在だ。

「半異形症」の存在についてはお袋から聞いていたが、実際に見たのは初めてだ。


ス「だが、なんで同じ”異形症”だと、呪いが効かないんだ?」


 モリガンは腰に片手の甲を当てて答える。


モ「単純な話さ。異形症の奴らは、呪力への耐性を持ってんだ。なんで耐性が有るのかは解明されてないが、あたしらの抗体から厄介な呪いを治療する研究も進められているぐらいだ」


ス「なる程……」


モ「話が脱線したね。教えようか。なんであたしがここに来たのか……」


ス「そうだな……説明してくれ」


 俺はこの口の悪いメスガキ、モリガンが何故俺の洞窟すみかに居るのか気になっていた。


モ「単刀直入に言うと、アンタを”あたしら”の元へスカウトしに来た」


ス「スカウト……?」


 突拍子もない話に首をかしげる俺に、モリガンは指をさして淡々と言った。


モ「あんたがここに来てから、もう24回以上、この5月は繰り返されてる。……で、驚くのは後だ。あんたをスカウトしに来た理由、これに直結するんだからさ」


 俺の体感ではここにきて二年は経過していると思っていた。

まさか一か月も経過していなくて、それを二年分繰り返していたのか? てか何で俺が”エポナ大森林”来てからそのことが分かるんだ? 聞きたいことは山ほどあるが、まずは目の前のモリガンの話に集中しよう。


モ「このループの核になってんのは世界にはびこる”呪い結晶”だ。その呪いに干渉できんのは、呪力耐性があるあたしらだけだ。それにあんたは銃で殺されて死んだはずだが、いつも通りループした。あんたはこの世界でイレギュラーな存在だ」


ス「そのイレギュラーが……ループを止める鍵だってのか?」


モ「ご名答。あたしらはこの”終わらない五月(メイ)"を終わらしに来た。……一人でこの洞窟に引きこもって、永遠につまらない一ヶ月を繰り返すか。それとも、あたしらと一緒にこの歪んじまった世界をブチ壊すか。……どっちがいい?」

この話はカクヨム様でも公開されています。


質問 

スナップは5歳で村を出て12年が経過し、現在17歳と言っています。

しかし、モリガンは「この5月は24回以上繰り返されている」と言いました。

これはどういう事ですか?


回答 


スナップが村を出てから、確実に十年は経過しています。

その十年の間、彼は五メートルを超える巨体へと成長しました。

そして、世界各地を転々としていたスナップは、十五歳の頃に「エポナ大森林」に住み始めました。

この頃から、世界で「ループ現象」が発生。

この世界最大の王国、ケルト王国のメガロ・ケルト国王は、世界が混乱し説明を求める中、沈黙を貫いていました。

しかし、十年以上人里に降りていなかったスナップには知る由もなく、この24回以上のループを含めた上の体感で自分は十七歳だと思い込んでいました。

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