5:何故か生きてた
ス=スナップ ?=???
ス「……!! あれ……?」
ここは……いつもの洞窟だ。
ス「あれ、確か俺……銃で撃たれて死んだはずじゃ……?」
どういう事だ? 今でも鮮明に残ってる。
体を撃ち抜かれて、流れた赤い血の感触。
死に向かっている苦しみと恐怖感。
ス「ちょっと待て……! 今って何日だ!?」
と言っても、ここはダンジョンの中だ……。
時計も日付が分かる物も有る訳が無い。
ス「体の傷も何とも無い……何事も無かったように」
あの散歩に行った夜から、刺激的な事ばかりだ。
だが何でだろうな……悪い気はしねぇんだよな。
これも長い間、虚無に等しい狩猟採取の生活の影響だな。
ス「ハハハ! 何か今、すげぇ楽しい気分だ! 久しぶりに心が躍ったよ! 一回死んだけど……」
テンションの上がった俺は変に踊り出した。
最低な夜だと思ってたんだけどな。
ス「それにしても、何で生きてんだろうな? アイツらが言うには一回死んだ奴はループしても生き返らないって話だったが?」
テンションが落ち着いて来た俺は、地べたに腰かけて思考をめぐらす。
俺が考える可能性は二つだ。
一つは、実は死んでいなかった説。
たまたま意識を失った日が月末で、意識を失って絶命するまでにループに巻き込まれた説だ。
だが、この説には矛盾がある。
俺が撃たれて意識を失ったのは、目覚めた直後、いわば朝方だ。
日をまたぐのは深夜だから、それまで半日以上の時間が有る。
意識を失う程の怪我をした状態で、治療せず半日も生存することは、強靭な肉体を持っている俺でも困難だと思う。
だから、二つ目のイレギュラー説が意味を成している。
つまり、この世界で俺だけが死んでも一か月前に復活できる。
そんな唯一の存在なのかもしれない。
ス「たしかに、俺は人間から生まれてんのに、見た目もバケモンだし、普通の奴には無い呪力まで備わってるしな……」
もうこの際俺の体質が何であれ、驚きはしない。
自分が普通じゃないことぐらい嫌と言うほど思い知っている。
ス「まぁ、こんな世界で生きてても虚無だぜ……」
さっきみたいなスリルを味わう方法は……思いつく限り人里に下りる事だろう。
当然大騒ぎになって、「スナップVS人類」の開幕だ。
人さまからしたら迷惑以外の何物でもないな。
ス「俺も人さまに迷惑かけてまで、刺激を求める程腐ってねぇよ……」
仕方ない。
これ以上の刺激は諦めて、いつもの生活に戻ろう。
取り敢えず何か疲れたから二度寝するか……
?「アンタがスナップだね……?」
ス「……ん? 誰だ?」
俺が目を閉じようとした時、何者かの声が聞こえてきた。
体を起こして周りを見る。
?「ここだよ! あたしだよデカブツ!」
少女の声? ただ何か可愛げねぇ喋り方だな。
よく見ると、目の前に金髪の少女が立っていた。
帽子をかぶったショートボブヘアをハーフアップに結んでいて、水色のきれいな瞳をしており、ガキの頃本で見た様な騎士の格好をしている。
恐らく十二、三歳程の身長だが、胸が有る事から、それ以上の年齢だと予測できる。
この話はカクヨム様でも公開されています。
時系列
東暦3008年 スナップ生誕
東暦3013年 スナップ村を出る「一話まで」
東暦3023年五月一日
スナップ「エポナ大森林」を拠点にする。
この日から”ループ現象”が始まる。
ループ24回目以上
スナップが怪しい男たちに殺害される。「四話」
次のループで何故か復活。「五話」




