4:銃口
ス=スナップ 髭=髭面の男 ハゲ=スキンヘッドの男
次の日の朝、目を覚ました俺は巨体で伸びをすると、昨日の男たちの話を腕を組みながら頭の中で考えていた。
ス「”イグア・ノードン”の話は置いておいて、一か月を繰り返してるってのはなんでなんだ?」
俺が長年ダンジョンにこもっている間、この世界じゃ色々な事があったとは思うが、そんなタイムリープ的な現象があった事を聞いたのは初めてだ。
俺の体感では十二年ほどの経過だが、実際はそんなに経過していないかもしれない。
ス 「聞いた感じ世界全体が一か月を繰り返しているって事だよな? 噂になってるという事は、世界の全員が過去の時系列の記憶があるっていう訳だ……」
興味深い現象だ。
だが、今の俺には関係ない。
どのみち世界がループしてようが、俺の生活が変わるわけじゃない。
ス「考えてもしょうがねぇ……狩りでも行くか……」
俺は立ち上がると、洞窟の外に出る。
バンッ!!
ス「……! え……?」
突然、銃声と共に胸に強い痛みが走り、俺は手で押さえる。
手を放し、抑えた手を見ると、本来水色のはずの手が真っ赤な地で染まっていた。
髭「逃がさねぇぜ……盗聴野郎……!」
ス「……!」
男の声に振り向くと、昨夜の髭面の男が銃を持ってスキンヘッドの男と立っており、ニヤニヤとしながら銃口を向けていた。
ス「噓……だろ……? 撃た……れた……?」
何でだよ……たまたま……聞き耳……立ててた……だけだろ……?
髭「どんな話でも……盗聴は盗聴だからな。悪いが死んでもらうぜ……」
髭面の男は銃口を降ろすと、スキンヘッドの男と共にその場を後にする。
ハゲ「それにしても、あの噂の”イグア・ノードン”がこんなあっさりやられるとはな」
髭「この銃と弾はミスリル制だ、十メートル超えのドラゴンにも通る……」
男たちは、ヘラヘラと嘲笑する。
”イグア・ノードン”……? 俺はスナップだ……人違いすんなよ。
髭「丁度いいぜ。”奴”は被害者こそないが、賞金はついている。狩れば億が貰えるぜ」
ハゲ「だけどさ、それもループすりゃチャラになるんだろ? コイツも生き返っちまう」
髭「それは心配ねぇな。この一か月間で死んだ奴は、生き返ることは無い。ループしても死んだことになるだけだ……先月のループでもあの裏切った部下は消えたままだ」
は……? 冗談じゃねぇ……! これじゃ本当に終わりじゃねぇか……死んでたまるかよ。
ハゲ「おい! コイツ動き出したぞ!」
髭「チッ! 往生際の悪い野郎だ! ハチの巣にしてやるぜ!」
こんな死にざま……俺はごめんだ!!
ス「呪熱線!!!」
ハゲ・髭「……!」
俺は最後の力を振り絞り、呪力を凝縮した熱線を指に宿し、男たちに撃ち込んだ。
ハゲ・髭「ぎゃああああああ!!!」
男たちは絶叫しながら消し炭となった。
ス「はぁ……はぁ……はぁ……クソ……!」
何とかハチの巣は回避できたが、出血が多い。
早く洞窟に戻って、傷をふさがねぇと……いや駄目だ……このままじゃ……マジで死んじまう。
俺は何とか這いつくばって洞窟に戻ると、壁にもたれかかる。
ス「はぁ……はぁ……取り敢えず……今日はお休みだな……」
まさか……朝起きた瞬間に死にかけるとはな……マジで人生で最後にして……最低な朝だぜ。
ス「やべぇ……意識が……遠くなってきた……」
奴らの話じゃ、このまま死んでも、ループ後に復活することは無い。
この体感の十七年間、特に面白みのない人生だったな。
お袋……もしあっちに行ってたら……会えると良いがな。
そんなことを考えながら、俺は目を閉じた。
この話はカクヨム様でも連載されています。




