2:怠惰の十二年後
それから十二年後、十七歳になった俺は世界各地を転々とする旅を続けていた。
俺は十二年で大きく成長し、恐らく五メートルを超えているだろう。
体格や外見的に人間ではない。
以前コントロール出来なかった呪力も、二、三日ぐらいなら封じ込めるようにはなった。
まぁ、だからと言ってもう「故郷」に戻る事は無いだろうがな。
お袋の安否は心配だが、村の奴らはお袋には優しかったから、上手くやっているだろう。
元から俺の取りつく島は無かった訳さ。
今俺は人里離れたダンジョン、「エポナ大森林」で自給自足の生活をしている。
ここは、大森林だけあって動植物が豊富にそろっていた。
俺はこの一帯の生態系の頂点に立っていると言っても過言じゃない。
角の生えたデカいイノシシも、金色に光るデカい虎も、足の代わりに魚の様なヒレの生えた巨大なワニも、俺の敵じゃ無かった。
「さてと、そろそろ飯でも狩りに行くか……」
周りに人がいないと、勝手に独り言が出てくる。
正直一人の方が気が楽だ。
だが、誰かと友達になる事に憧れが無い訳じゃない。
俺だって本当は、友達と飲みに行ったり、一緒に馬鹿したりしたかった。
だが、この外見と呪力がそれを許さない。
いくらコントロールできると言っても、長ければ長いほど溢れてくる呪力はデカくなって危険だからだ。
もし俺の呪力が効かない奴がいたら、ダチになって見たいもんだ。
「コイツは、ビッグホーンホッグか」
そうこうしている内に獲物を見つけた。
いつも通りの奴だ。
額に長く鋭い角を携えた、体高五メートルの巨大イノシシだ。
俺はコイツの肉は主食の様に何度も食っているが何度喰っても飽きないぐらい美味い。
「コイツの狩り方は分かってんだよ」
俺はいつもの様に、足音を消し、近くの茂みに隠れて奴が背中を向けるのを待つ。
まるで、ヒョウのように静かにその時を待つ。
「……」
その時が来るのは早かった。
ビッグホーンホッグが後ろを向いた瞬間、俺は電光石火の勢いで茂みから飛び出した。
背中にしがみつくと、俺は体から高濃度の呪力を流し込む。
「ブヒゴオオオオオオ!!!」
ビッグホーンホッグは凄まじい雄たけびを上げながら、暴れ散らかすが、体内に流れ込んだ呪力がすぐに体を蝕む。
ビッグホーンホッグは白目をむいて泡を吹くと、そのまま絶命した。
「……」
俺は無言のまま、絶命したビッグホーンホッグを肩に抱え上げて、拠点に戻った。
以前なら、獲物を仕留めた時の快感で舞い上がっていたが、今となってはただ生きていくための作業でしかない。
爪で肉をはいで、起こした火で焼いて、拠点に取ってある木の実や山菜を添えて食う。
ただそれだけ。
「ここ数年はこんな感じだな。なんか生きてる実感がしねぇ……」
確かに怠惰と言うのは楽だ。
ただ幸福でもない。
ゼロだ。
村にいた時の俺のマイナス度合いと比べればマシなのかもしれない。
だが、この先もずっとこの生活で生きていくのかと考えると虚しさを覚える。
「よし、ちょっくら散歩でもしてくるか。夜中だけどな」
夜中は寝て過ごしているが、気分転換もありだと思った俺は、洞窟を出た。
この話はカクヨム様でも連載されています。
質問
スナップの身長は5メートル以上と有りますが、正確には何センチですか?
また、これほどまでに巨大な体格だと、服などの装飾品は何処で仕入れましたか?
回答
スナップの身長は510cmです。
五歳時点では150cmほど。
服は、ダンジョンで倒した獲物の毛皮を、”ダイコンドル”と言う荷物の運搬などにも利用される巨大な鳥に、代金代わりの鉱石などの素材とともに、近くの街まで運ばせて仕立ててもらっています。
ダイコンドルは世界中に存在し、人里に降りないスナップが見つけるのも容易です。




