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プロローグ
皆が眠りに着く真夜中。
静寂が訪れている街中で1人の男が走っていた。
「はぁ…はぁ…はぁ…くそっ」
周囲を確認しながら路地裏へと入り、物置に身を隠す。
「な、なんで俺達がこんな目に…くそっ!」
男は悪態をつき、路地に積んであった木箱を殴った。その衝撃で木箱の上で寝ていた小動物がふんぎゃーと鳴きながら逃げてく。
「君達は悪くない。ただ、運が悪かっただけだ」
路地裏に逃げ込んだ先の通路から、ふと、別の男の声が聞こえた。
「ひいっ!や、やめてくれ!俺達が何したって言うんだ!お前に何もしていないだろ!」
怯えた表情で裏路地から現れた男に言い放つ。
「だから言っている。君達は悪くない、運が悪かったのだ」
そう言う男の両手には刃渡り50cm程の短刀が握られていた。月の光で反射するその刃には、赤黒い血液が滴っている。
「なっ、何言ってんだよ…。何でそんな理由で俺達が殺されなくちゃならないんだよ…」
刃を向けられる男は震える声で懇願するが、
「うっ」
後ずさりながら移動していたので、物置に躓いて尻餅をついてしまった。
「ついていなかったな」
「ひっ!や、やめろおおおお!ぎゃあああぁぁ………」
男の断末魔は町中に響き渡った。




