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武闘会 <2~3回戦>




『それでは、2回戦、第1試合目………始めッ!』



ワァアアアアアアアアアア!



「ふうー」



「あ、デュークお帰り~」



リオンの試合が始まると同時にデュークが控え室に戻ってきた。みんなの視線が一気に浴びる。



「遅かったじゃん。そんなに強かったのか?」



「ああ…、何だったんだアイツ。あんな魔法は見たことがない」



『おっとリオン選手、1試合目と同じ融合魔法を放ったぞぉおお』



デュークは俺の隣に座り、水分を補給した。



「俺は魔法に疎いからへ~て感じなんだけどな」



「それにあの黒い槍あっただろ? あれなんか物凄い魔力を感じたのに、顔色変えずに何発も打ってきやがった」



へー、そんな凄い魔法なのかあれ。俺には人の魔力を感じることができねえからわかんね。



『な、なななんと!リオン選手のあの魔法を防いでいるぞぉ!この水の防御魔法は凄い!』



「ま、勝ったからいいじゃん」



「それもな…、アイツ、わざとくらいやがった」



はい?あの斬撃をわざとくらう?頭おかしいのか?



「だから勝った気はあんまりしないのだがな…はは」



別に勝ったからいいじゃん気にすんなよ天才。



「あ、そうだデューク。魔法障壁ってあるのか?デュークが投げた剣を障壁みたいなので受け止めていただろ、アイツ」



俺は試合中に疑問に思ったことを聞いてみることにした。



「いや…あれも見たことがない。各属性の防御魔法ならあるが、魔力自体の障壁は存在しないと思う。もしかしたらアレも防御魔法の1つかもしれないな」



「やっぱ魔法ってすげえな!オラビックリだぞ!」



「ははは、本当に魔法に疎いんだな。でも、2試合目からは魔法が試合に勝つ鍵となってくるぞ? 大丈夫なのか?」



今までの試合を見る限り、確かに肉弾戦だけでは勝ち上がってはいけないだろう。



『あああ!ここでリオン選手が均衡を破ったぞおお!』



皆は魔法と肉弾戦を駆使して戦っている。魔法が戦いの要となっている感じだ。



「大丈夫だ!反則級の魔法が使えるからな!」



「それは是非見てみたいな」



「なはは、多分次の試合で使うかもね~」



俺は不敵な笑みを浮かべてやった。



『……勝者、リオン選手~!やはりこの男は強い!デュークに匹敵するのではないのか!』



ワァアアアアアアアアアア!



いつの間にかリオンの試合が終わっていた。弱点を聞くの忘れたんだぜ。



それからまた2人で試合を観戦していた。俺は魔法に慣れておくためにデュークに魔法について色々と教えてもらった。



たくさん質問しても嫌な顔一つせずに丁寧に答えてくれるデュークはやはりイケメンだった。スーパーケメンは中身もスーパーイケメンだった。



「…………というわけだ」



「なるほどなるほど、ありがとう!」



魔法には魔法名だけを唱える魔法名詠唱型と、長ったらしい文章を魔法名の前段で読み上げる全詠唱型の2種類がある。それぞれ戦闘によって使い分けるらしい。



全詠唱型は、前にリリィが説明してくれた『どの魔法をどれだけ使う』をより明確にしたもので、魔法の威力、速さ、狙い、全てにおいて魔法名詠唱型よりも精度が上がるらしい。相手に大きな隙ができた時や必殺級の魔法を出す時に使ったり、回復系や援護系の補助役が採用しているとのことだ。ちなみに、この前段の詠唱文は学校で習うのもあれば、自分で造り出すものあるのだとか。



魔法名詠唱型は、全詠唱型よりも威力が落ちるが、より速く魔法を撃てる。それに鍛えれば全詠唱型と同じぐらいの威力を出せるらしい。肉弾戦が好きな奴は魔法名詠唱型のスタイルを好んで採り入れる。



しかし無詠唱型はまた話が違ってくる。リリィの説明にもあったように『魔法を使う意思』を他の形で補う事がかなり困難を極めるようだ。出来たとしても、魔力を大幅に使うし、威力が大きかったり小さかったりとムラが出る。さらに失敗すれば暴発して自爆してしまう可能性があるんだと。だから無詠唱型を獲得する事はほぼあり得ないということだ。



それじゃあ、相手が何かを唱えた瞬間に俺の魔法を発動すれば余裕で避けれるな。



「じゃあザルクって奴、すげえ強かったんじゃねえの?」



ザルクが魔法を放った時は全て無詠唱だった。というか一言も喋っていない。



「ああ、あんな魔術師はそうそういない。いたら絶対に有名になっている筈なんだがな。俺の知り合いでも、無詠唱を獲得している実力者は3人ぐらいだ」



どうせお前の知り合いとか全てVIPだろ。どうせお姫様とかだろ。どうせおっぱい大きいんだろ。どうせちゅっちゅし放題なんだろッ!



「何で睨んでんだ?」



「あ、いや、ちょっとデュークの後ろの奴が睨んできたんで…」



やべっ、顔に出てしまってたか。顔に出す癖を直さないとな。



「ああ?」



デュークは後ろを振り向いた。振り向いた先の奴がデュークに睨まれてビビっているのがわかる。ごめんちゃい☆てへ。



「大したことないじゃないか」



「あ、ああ、そうだな。はは」



デューク怖すぎ。仲良くなっておいて良かった。こんな奴に睨まれたらおしっこ漏らすどころじゃ済まないだろう。身体の全ての穴という穴から液体やら個体が噴き出すにちがいない。そう、いっぱい出ちゃうこと噴水の如く。



ワァアアアアアアアアアア…



『……それでは、2回戦、第3試合を行いたいと思います。って、これあのおっぱいの奴か!さっさと出てきやがれぇえ!』



ワァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!



どうやら俺は大人気らしいな。



「ははは、ご指名じゃないか!頑張ってこいよ!」



「いってくるぜ!」



「あ、それと、お前もしこの試合に勝ったら向こうの控え室だからな。間違えんなよ~」



「え?嘘だ!何で離れなきゃいけないの!やだやだやだあ!ねえ!見捨てないでえええ!」



『こらー!さっさとでてこーい!!』



司会者から催促の連絡が入る。



「ほらほら。またその次勝ったら戻ってこれるだろ?その時にリオン対策を叩き込んでやるよ!」



「まじか!絶対だからな!おっしゃ行ってくんぜええ!」



俺は叫びなから会場へ向かっていった。



「ははは、アイツ面白いな。さてさて、お手並み拝見だ」



俺は会場へ到着する。開始線までとぼとぼと歩いていった。



『なにノロノロ歩いてるんだ!遅えんだよ!何か言うことないのかよ、ああ!?』



ソウダソウダアアア

アヤマレボケェエエエ



ちょっとみんな怖いよぉ。僕がいったい何をしたんだっていうんだ!仕方ないな~もう。よしよし、ここは素直に謝ろうじゃないか。



俺は正座した。



『お? なかなか話のわかる奴じゃねえか』



「本当に……………す……す……………」



『す? すがどうしたんだよ早く皆に謝れよ』



ソウダソウダアアア

モットイッテヤレエエ

アーヤマレェエアーヤマレェエアーヤマレェエアーヤマレェエ



観客からは謝れの大合唱が始まった。



「凄くおっぱいが好きなのぉおおおぉおおおおお!!」



俺は立ち上がって言ってやった。



ゲラゲラゲラ



会場は一瞬にして静まり返る。まさに時が止まった瞬間だった。どこからかナビィらしき笑い声が聞こえてきたのは気のせいだろうか。



「誰が謝るかばーか。家に帰ってケツの穴でもぺろぺろしてろばーか」



まだ何か言って欲しそうだったからお尻を叩きながら言ってやった。



『くそがああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!殺せぇええぇえええええぇえええええぶっ殺せぇえええええぇえええええぇえええええ』



ついに司会者が発狂しやがったか。なかなか時間がかかったぜ。



コロセェエエエエ

コロセェエエエエエエエエ

コロセェエコロセェエコロセェエコロセェエコロセェエコロセェエコロセェエ



観客からはついに殺せの大合唱が始まった。



そんなに殺して欲しいの?いいよ、ボコボコにしてあげるね!名も泣き対戦相手(以下村人C)。うふっ。



『もういいよ始めちゃって!さっさと殺しておやり!』



村人Cは司会者に命令されてしまっていた。



コロセェエコロセェエコロセェエコロセェエコロセェエコロセェエコロセェエ



コロセェエの大合唱は止むことを知らず、さらに大きくなっていく。



あー、わかったわかった。んじゃさっさと終わらしてやんよ!



「ふ、この会場の皆さんは貴方を殺せと言っているが、私はそんな気はないぞ?正々堂々と勝負しようじゃないか?」



村人Cは何か言ってきた。試合が始まってるのにお喋りとはなかなかの自信家なんだな。



『おおおおお!なんという清らかな心!さすが聖騎士!おっぱいまみれのお前とは全然違うな!くたばれ!』



コロセェエコロセェエコロセェエコロセェエ



ちょっと酷すぎじゃね?確かにからかったのは悪かったけどよ、くたばれは酷すぎだろ!あー、なんかムカついてきた。



「皆さんはそう言っ…………」



―――まだお喋りしてるのかよボケッ!アクセル!!



「言っ…………て……………い……………ま……………」



コ…………ロ…………セ………ェ……………




歓声と村人Cの言葉がかなりの勢いで遅くなっていく。そして俺は自分の出せる精一杯の速さで村人Cに近づいた。



「……………な………………!……」



村人Cは驚いた顔をしかけているが視線は俺を追えていない。多分見失っているんだろう。そして腰に差してある剣を抜こうと右腕を動かそうともしている。



一瞬でここまで動けるとはなかなかやるじゃねえの?だか遅すぎだよバイバイ!



「おっぱい!」



俺は掛け声と共に村人Cの首を居合い抜きで跳ねた。実際の間隔だと多分ここまで1秒もかかっていないんじゃないかな。



「…………う…………………ぎ…………………」



村人Cは倒れようとするが、遅い、遅すぎる。そこで俺は鞘に刀を納めてから魔法を解除した。



村人Cは鈍い音を立てて倒れる。もう動く気配すらない。カッとなってやっちまった、てへ!ってやつだな。



気付けば会場は静まり返り、コロセェ大合唱はもう終わっていた。



『げ………』



げ?俺の強さの素晴らしさにゲロっちまったってのか?



『外道だあああああああああああああああああぁあああああぁ!!相手が話をしているのに攻撃するとは何を考えてるんだああああ!?』



クサレボケェエエエ!

シネェエエエエエエエエエ!



再び会場は沸き立つ。



「はあ? 試合始まってたんだろ? なのに話しかける方がバカじゃね?」



ウルセェボケエエエエエエ!

セイセイドウドウトシヤガレエ!



『しかし、彼はいったいどうやって倒したんだ?……いやいや、どうせセコい手を使ったに違いない!!次こそコイツを殺してやれぇえええ!!』



まあ、仰る通り俺の魔法はセコすぎるな。その気になれば……



『はやく控え室に帰れ!次の試合が始めれないだろが!』



そろそろこの司会者ウザくなってきたな。後で司会者の靴をトイレに流してやろう。



カエレエエエエエエエエエ

カエレエエエエエエエエエ



はいはい、帰りますよ帰りますよ。俺は投げてくる物を避けながら赤コーナーの控え室へ向かっていった。





ーーーーーーーーーー

ーーーーーーー

ーーー




ワァアアアアアアアアアア



「………………」



「れ…レイラ……」



「な…なんだ?」



「…なんか……凄いね…」



「あ……ああ」



「…………………」



「ゲラゲラゲラ」



「「「「「…………………」」」」」



あまりの出来事に、ナビィ以外のギルドのみんなは黙ってしまっている。ナミでさえ黙ってしまっている。



「ユウ…みんなに嫌われちゃってるね…あんなに凄いのに…」



リリィが少し悲しそうに呟いた。



「ああそうだ!ユウは頑張っているのに!殺せはないだろ!」



レイラはというと、ユウがみんなにバカにされて頭にきていた。



「まぁまぁ、レイラちゃん落ち着いて。このまま勝っていったらみんなも認めるわよ」



「くっ……もう優勝でもしたらいいんだ!」



「あら?揉まれてもいいの?」



「あ…」



レイラは約束を思い出したのか、どんどんと顔が赤くなっていく。



「ふふ、また赤くなっちゃってるわよ?」



「ほんとだぁ~」



「うるさい!マスターのせいだ!」



「あらあら、ごめんなさいね」



「あ!でも次勝ったらリオンと当たるんじゃないの? どっちを応援するの?」



リリィは思い出したようにレイラに尋ねた。



「そ、そんなの決まっている!」



「もちろんユウだよね~?」



リリィはニヤニヤしながらレイラに詰めよる。



「皆は絶対にリオンを応援するだろうしな!誰1人として応援されないのは可哀想だからな!」



「ほんとにそれだけ~?」



リリィはさらにニヤニヤする。



「そ、それだけだ!もう!うるさいぞ!」



レイラはまた顔を赤くして今度は膝に顔を埋めた。



「かわい~」



「……………」



「うふふ、でもね、誰1人としては間違っているわ。私もユウを応援するよ?」



ナミがレイラに向かって優しく呟いた。



「マスター…」



「あたしもあたしも~」



「俺はアイツのパンツ姿ってのを見てみたいがな!」

「パンツぐらい酒でも飲ませたらやってくれるんじゃねえの?」

「バカっ!ユウに酒なんか飲ますな!」



ギルドのみんなも次々に話し出した。



「ゲラゲラゲラ。リオンに負けたらやけ酒でもするんじゃねえの? ゲラゲラ」

「それはいかん!何としてでもユウに勝ってもらうぞ!」

「おう、俺はユウを応援する!」

「俺もだ!」「「「「俺も!」」」」



ギルドの皆はナビィの一言でユウを応援しようと誓った。ドンマイ、リオン。





ーーーーーーーーーー

ーーーーーーー

ーーー






「ふん、よく耐えているじゃないか」



「あーん?」



反対側の控え室に行くとリオンが話しかけてきた。相変わらず俺に対しては無愛想な話し方だ。



「それに不意討ちみたいな勝ち方しかできないのか? 同じギルドにいる身として恥ずかしいぞ」



リオンが鼻で笑うように言ってきた。



「だったらギルド抜ければ?」



俺は鼻くそをほじりながら返した。



「なにい!」



「それにあれが試合じゃなくて殺し合いならもうアイツは死んでるんだぞ? 勝ち負けにセコいもクソもないんだ。それはただの言い訳だ。お前も戦闘のプロなのにそんなこともわからないのか? 俺はお前と一緒の人間で恥ずかしいぞ」



「ぐぅ…」



言い返す言葉が見つからないのか、リオンは黙ってしまった。俺は鼻くそを飛ばす。



くふふふ…。きもティい。言い負かすってきもティいい。びくんびくん。



「それよりお前、まだ抜いてなかったのか? 鼻毛が飛び出てるぞ?」



「おい、その手にはもう乗らないぞ!」



もう一度リオンをからかおうと思ったが、さすがにそこまでバカではなかったか。



「え? いいの? あーあ、そんなこと言っちゃうんだあ?モニターってアップで映るからな~。そんな鼻毛みんなに見られてもいいんだ~。へ~」



だから俺は本当らしきことをほのめかして煽ってみた。



「嘘だな!もう信じないぞ!俺はもう向こうへ行くからな!絶対に話しかけるなよ!」



そう言ってリオンは休憩室の端の方へ行った。とか言って本当は話しかけて欲しいんだろ?ツンデレめ。



リオンの姿をずっと追っていると、なんと奴はみんなに見えないようにして鼻毛を抜き始めた。俺からは後ろ姿しか見えないが、あの手の動きは確実に鼻毛を抜いている。



ちゃっかり気にしてたんだな。くそわろた。



改めてリオンはいじり甲斐があると確信した瞬間だった。





それから2回戦はあっという間に終了した。デュークも一瞬で決着をつけ、1回戦のあの激闘が嘘のようだった。



『それでは~第3回戦をいっちゃいま~す。この試合が終わったら昼休憩に入りたいと思いま~す。選手諸君も試合が終われば食べにいってくださいね~』



司会者の元気が無くなってきた。お腹でも減っているのだろうか。



「ふん、じゃあな!」



リオンは俺に話しかけて会場へ向かっていった。



なんだかんだ言って話したいのじゃないかツンデレ。ま、今回もリオンが勝ってくるんだろうな。



『………試合…開始!』



ワァアアアアアアアアアアアアアアアアア



試合が始まり、会場からは大きな歓声が沸く。



「終わるまでちょと寝るか。朝早かったから眠いんだよな。ふぁあ」



俺は椅子に横になり目を瞑った。



これで優勝したらまじでおっぱいだな。ぬふふ。あの強気なレイラの羞恥な姿を見れるのだ。堪能しない方がおかしい。俺は男なんだ。おっぱいには夢と希望がつま……………すぴい。



ものの数十秒にして俺は夢と希望が詰まったおっぱいの世界へ旅立った。




ーーーーーーーーー

ーーーーーー

ーーー




ワァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!



『なああああああああああああああああああああああああああああああああ!』



「おっぱ!なんだなんだなんだなんだ!おっぱい!」



会場と司会者の爆発的な音声のうるささで、俺は夢の国から強制帰還された。



『なんということだああああ!!リオン選手の敗北だああああああ!こんなこと、誰が予想していたあああああ!』



司会者からはリオンが負けたというコメントがあった。俺は耳を疑う。



『まさか、まさかの展開!誰もがリオンが勝つと信じていた…。しかし今倒れて気絶しているのはリオン!ヤマト選手の勝利だああああああああああああああ!!』



ワァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!



会場のみんなや司会者はテンションが上がりきっているのがわかる。



「え? リオン負けたの?あんだけほざいてたのに負けたの? ざまあ。後でからかってやろうじゃないか!なはは!」



これは良いネタだ。いじりまくれるぜ!ぐひひ。え?負けたのに可哀想だって?何々~?聞こえな〜い。



「てか、これで俺が負けてもパンツ無しじゃね!? やっふいいい!きたああああ!」



「うっせえぞゴラッ!」



俺までテンションが上がってきて叫んでいると、控え室にいる他の選手から怒声が飛んできた。



「ごめんなさ~い」



俺は軽く謝った。



『しかしこの男、こんな実力を持っていたとは!かなり強いぞお!それにこんな武器は見たことがないぞお!』



モニターで確認してみると、ヤマトと呼ばれた男の手には柄が長い刀を持っていた。



「え? 薙刀だろ? この時代には無いのか?」



『はいはいはい~!盛り上がってきたところで、次はお待ちかねの殺戮ショーだあああああああああ!』



ワァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!



『出てこいおっぱい野郎!くされボケェエエエ!試合が始めれないだろうがぁああ!しねぇえええええええ!』



デテコイオラアアアアア!

コロシテヤレエエエエエエエ!

オオオオオオオオオオオオオ!!



「酷い言われようだなおい」



腹立たしい気持ちを抑えながら、俺は会場へと向かっていった。



ワァアアアアアアア!!



『きたきたきたきたあああああああ!さぁ、さぁ、きたよきたよぉおおおお!きたぁあああああ!!』



俺が会場へ着くと、一段と歓声(怒声)は大きくなり、司会者もさっきよりテンションが上がって発狂していた。



「うるせえなおい」



『さあ、殺しておやり!もう始めちゃって!バンバン殺しておやりぃいいい!』



司会者ちょとおかしくねえか?



コロシテヤレエエエエ

コロセェエコロセェエコロセェエコロセェエコロセェエコロセェエコロセェエコロセェエ



再びコロセェエの大合唱が始まった。



「………………」



そんな大合唱を気にせず、俺は対戦相手に集中する。試合が始まれば周りの音などどうでもいい。



「私は先ほどの奴よりも甘くありませんよ?」



そういう相手(以外村人D)は白色のローブに身を包んでおり、杖を装備している。フードは被っていないので素顔は確認できる。顔は……まぁ普通だ。



すると急に村人Dの周りからオーラのようなもの現れた。



『おおおお!なんという魔力だぁあああ!』



ワァアアアアアアアアアア



「……………」



司会者からコメントが飛ぶ。そんなに凄いのか?俺には全然わかんね。



「この魔力を当てられても顔色一つ変えないのですか…。ここまで上がって来た実力は本物のようですね」



村人Dは驚いた顔で話しかけてきた。



まだ喋ってやがる。ここの参加者はバカばっかなのか。つか魔力なんか当てられてる感じしねえよばーか。



『何をダラダラしてるんだぁあああ!殺せぇえ、殺せええええええええ!』



司会者からまた怒声が飛ぶ。



あーうぜ。うぜえ。この試合が終わったらボコボコにしに行く。確定。



「来ないんだな? 全空域に伝う雷鳴神よ!我が手を刃とし、我が身体を衣となりて敵を討て!……ぶつぶつ」



村人Dは詠唱を始めた。唱えるにつれて魔力のオーラが濃くなっていき、さらに大きく揺らめき出す。さらに村人Dを中心として風まで巻き起こり、雷のような電撃を纏わり始めた。



『こ、これはぁああ!? この魔法はぁあ!? これは確実に死んだぁああああ!あひゃひゃひゃひゃ』



司会者は完全に壊れた。



――全詠唱型か?お喋りは程々にってな!……アクセル!!



「…………は……………お…………」



村人Dはもはや何を喋っているのかわからない。俺は刀を抜いて全力で近づく。




「……………………!………………………………!」



コイツも驚いた顔をしているが視線は俺を捉えてはいない。



「おっぱぱーい!」



俺はまず村人Dの左肩から斜めに斬り裂き、そして胴を薙いでその勢いのまま後ろに回り込み、最後に首を斬り落とした。もう一度言うが血は出ていないし首も繋がったままだ。



時間の間隔を戻すと、村人Dは音もなく倒れた。



『…え?…………』



会場は今度こそ水を打ったように静まり返っていた。誰一人として叫び出す者はいない。どうやら、コイツが何で倒れているのか司会者含め観客は分かっていないようだ。



俺は倒れている村人Dを蹴り飛ばし、観客席の中央本部席にいる司会者を睨む。観客からは少し悲鳴が聞こえた。



「お前もこうなりたいか?」



『ひいっ』



司会者は情けない声を出す。



「そういや、このペンダント付けていたら死なねえんだったな。司会者は強制で他俺に文句ある奴、そこの倒れている奴のやるから今すぐ降りてこいよ」



俺はニッコリと微笑んで司会者や観客へ優しく言ってやった。



『ひいぃっ』



観客の何人かも怯えているのがわかる。



「こないのか? しっかたねぇなぁ~。俺から行ってやるからちょっと待っとけよ」



俺は鞘に収めた刀を再び抜いて、ニコニコしながら司会者の方へ歩いていった。



『く、くるなぁあああああああ!』



司会者は慌て出す。相当ビビっているのがわかる。やっぱりニコニコしながら恐ろしい事を言うのが1番効果的だな。うん。



「ははははは。なにビビってんだよ? 死なねえんだよ?安心しろって、3時間ぐらいで終わらせてやるから」



俺はここでもっとビビらせてやろうと思い、魔法を発動させた。時間をこれでもかってぐらい引き延ばし、一気に20mぐらい進んで魔法を解除する。



奴からしたら一瞬で20m程近づいたように見えたはずだ。これ以上のインパクトはないだろう。



『うわああぁあああああああああああああああああぁぁああぁあああぁあああぁぁぁぁ!くるなぁあああ……ドタバタ……バチッ………ギャァアアァアアアィア゛ァア゛ァアアァ……ドタバタ……ギャーギャー…………バチッ…………ブツンッ…………………………』



ウワアアアア!!

コッチクルナアアア!!

ギャー!ニゲロー!!!



どうやら司会者は逃げ出したようだ。周りにいた観客も逃げ始める。



「逃がすかよオラー!!!」



俺はさらに魔法を発動させ、壁際近くまで移動する。



ギャー!!!!

コッチキタアアア!!!

ヤバイニゲロ!!!!

ギャーギャー!!!



進行役の司会者が逃げ、さらに阿鼻叫喚を撒き散らしながら逃げる観客達。会場が徐々にカオスと化していく。



『みなさん落ち着いて下さい!!』



「お?」



司会者の声が急に綺麗な女の人の声に変わった。



『急遽司会を勤めさせていただきます、マリア・チノイリと申します。皆さん落ち着いて下さい!皆さん落ち着いて下さい!』



マリアの声で観客たちのざわつきは徐々に落ち着きを取り戻す。



『ユウ選手!』



マリアは俺の名前を呼んだ。



『先ほどの司会者が無礼を働いた事をお詫びします。それに止めれなかった私にも責任があります、本当に申し訳ありませんでした。会場の皆さんの分も私が代表して謝ります、本当に申し訳ありませんでした』



なんとマリアは謝ってきた。普通、関係ない人が起こした事を自分の責任だって言って謝れるか?コイツすげえな。



「いや全然いいよ、気にしてないし」



『え? でもさっきはあんなに怒っていらしたじゃないですか』



「え? あれ? 冗談だよ?」



『へ?』



マリアは度肝を抜かれたような声を出した。



「みんながギャーギャー喚きながらね、逃げ惑う姿を見てね、なんか楽しくなってね、ついつい調子に乗ってしまったのだ。てへ」



『……………』



ゲラゲラ



司会者や観客たちは絶句している。どこからかナビィの笑い声が聞こえる。



「あ、もう俺の勝ちでいい?帰るよ?」



『え、ええどうぞ。ユウ選手の勝利です!』



ワァァ



小さな歓声があがった。



こうして俺は3回戦を突破し、ベスト8になった。しかし司会者をビビらす為に余計な魔法を使ったおかげで魔力は半分ぐらいに減った感覚だ。



この昼休憩で回復するといいが…。そう願いながら俺は控え室へ向かって行った。



「お疲れ!派手にやらかしてきたな!ははは」



控え室に戻るとデュークが話しかけてきた。何故か喜んでいる。



「ははは…ども」



「全く前代未聞だぞ!司会者をビビらせて帰らすなんてな!ましてや観客にも…!ははは!」



確かに、司会者だけでなく観客もビビっていた。吐き散らかしている奴もいてたし。ちょっとやりすぎたか。



「ここまできたからには決勝までこいよ」



デュークは俺に優しく、だが力強く言ってきた。



「おう!いってやんぞ!でも決勝で当たったら負けてくんね?」



いやだって優勝したらレイラのおっぱいだよ?優勝商品よりもそっちの方が欲しいね!切実に!



「残念だな、俺は手は抜けない性格なんでな!」



くそ~。やっぱりか。デューク常に全力っぽいしなぁ~。きっつう。てかそれ以前に決勝まで上がれるやら否や。あ、腹減ってきた。



「じゃなあなデューク!俺は腹減ったからもう行くな!頑張れよ!」



「そうか、また試合前にな!」



「あ、外ってどうやって行くんだ?」



俺はこの控え室から外への行き方は知らない。



「その扉を出たら、案内があるからその通りに進んで行ったらいいぞ」



そう言いながらデュークは扉を指差す。



「まじか!サンキュー!んじゃまた」



「おう」



デュークは手を上げて見送る。俺は扉から出て案内通りに進んで行った。途中にトイレがあったので駆け込んだ。





ーーーーーーーーーー

ーーーーーーー

ーーー






「………………」



ユウが扉から出ていった後、デュークはにこやかな表情から一転、険しい表情に変わった。先のユウの試合を思い出す。



「あの魔法…いったい…」



デュークから見たら一瞬だったが、確かにユウが魔法を使っていたのはわかっていた。だがどんな魔法なのかさっぱりわからなかった。



「それに、あの魔力…どこかで…」



さらにデュークはユウの魔力の質をどこかで感じたような気がしていた。



「…………」



額に手を当てて考えるが、いつまで経ってもわからなかった。



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