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霊魂管理局 地縛霊回収課  作者: わしお
3章 - 星を落とした悪魔

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第78話 鉛色の心

 大粒の雨が無機質なコンクリートを濡らす。行き交う人々は色とりどりの傘の花を咲かせ、雨音に負けないほど賑やかな声を響かせている。

 そんな街の様子とは裏腹に、ひなの心は空と同じ(なまり)色をしている。降りそそぐ水滴はひなの体を通り抜け、足元に大きな水たまりを作っている。

 ビルの巨大なスクリーンでは、今日の芸能ニュースが数秒ごとに切り替わっている。その中の一つが、ひなの心に重りとなってのしかかっていた。


 通りかかった男女が、スクリーンを見て驚きの声を上げる。


「えっ、れいにゃ卒業だって」

「アイスタの? マジ? まあ、熱愛とか言ってたもんね~」

「ドームで卒業ライブとか、規模でっか!」

「でも、れいにゃが抜けたアイスタってどうなんの? れいにゃで人気保ってたようなもんでしょ」

「たしかに。これで全盛期メンバー全員卒業だろ? なんか時代が終わった感じするよなー」

「それは大げさすぎ」


 男女は笑いながら、ひなの体をすり抜ける。跳ねた泥はひなにかかることなく、足元の水たまりを茶色く濁す。


 先ほどからひなの視線は、スクリーンに映る女性にのみ注がれている。女性は上目遣いの瞳を潤ませ、ステージの中心でぎゅっとマイクを握りしめている。下がった眉尻はいかにも寂しげだ。

 音のないスクリーンでは、女性が何を言っているのかはわからない。けれど容易に想像がつき、ひなは馬鹿にするように鼻を鳴らす。

 ひなは口の端を上げ、スクリーンを睨む。いつも明るいその瞳には、憎悪にも似た黒い色が(にじ)んでいた。

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