表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
霊魂管理局 地縛霊回収課  作者: わしお
1章 - 鎖の花が咲く夜に

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

42/51

第41話 解ける未練の鎖

 真夏日のような暑さを感じながら、真白は目の前の鏡をぼんやりと見つめる。生前の罪を映すというその鏡には、若かりし頃の非行に走った自分や、つい最近の霊を縛っている自分が映っている。


(冥界の裁判ってこんな感じなんだ)


 紫蘭からかいつまんで聞いたことを思い出しながら、真白はただ時間が過ぎるのを待つ。御簾(みす)の向こうには“閻魔王”がいるらしいが、今のところ一言も発していない。

 罪が全て暴かれ、真白は御簾へと目を向ける。真白の周囲を(せわ)しなく動いていた鬼たちも、閻魔王の言葉を待つように立ち止まった。


「……下がれ、獄卒(ごくそつ)たち」


 御簾の向こうから聞こえた懐かしい声に、真白は無意識に表情が緩む。似合わない口調と無理に出したような低音は、いったいどんな表情で発しているのだろう。

 鬼たちは命令通り、早足にその場を去る。直後、勢いよく御簾が開かれた。

 両腕を広げて走ってきた男は、満面の笑みを浮かべている。記憶の中と何も変わらない姿に、真白はいまさら、彼が本当に人間ではなかったのだと認識した。


「まーちゃん!!」


 紫蘭は走ってきた勢いのまま、真白の体を強く抱きしめた。

 忘れかけていたあだ名を呼ばれ、真白は目頭が熱くなるのを感じる。紫蘭の背中にそっと手を回すと、記憶の中よりも体積が大きく感じた。


「……太った?」

「なんで最初に言うのがそれなの!? 太ってはいないよ! たぶん……」


 紫蘭はすり寄るように、真白の肩に顔を埋める。


「迎えに行けなくてごめんね。僕、本当にまーちゃんと……」

「それは手紙読んだから知ってる」

「読んでくれたんだ!」

「あの胸焼けするほど重い手紙ね」

「すごいでしょ! 頑張って書いたんだよ!」

「褒めてないから」


 紫蘭はゆっくりと真白を離し、にこやかに微笑む。


「ずっと、会いたかったよ。まーちゃん」

「……私も。会えてよかった」


 真白の口元から自然と笑みがこぼれる。真白は目を細めながら、未練の鎖がからからと解けていくのを感じた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ